たまの日々

2009年06月15日(月) 明滅

週末、蛍を探しにいった。

昔、毎年通っていた場所は、
記憶の深い森の奥に消えてしまい、
地図とにらめっこ。
たどり着けるのか不安だらけで
思い出のかけらをひろい集めていった。

記憶の中で残っている最後の目印を右折、
暗い夜闇の中へ心細くなりながら進む。
目的地にたどりつける確率より、
森の中で迷子になってしまう危険性の方がよっぽど高い。
どうかみつかりますように。

たいして進まないうちに、
たくさんの路駐車を発見。
山際の、
田んぼくらいしかない暗い道に、
たくさんの家族連れや恋人たち。
あわてて車を止めて、
私たちもついていく。
少し歩いていくと、
小川があって人、ひと、人。
そしてそれよりたくさんの蛍。
あのころより、
どの年よりたくさんの蛍。

さやさやと流れる水音を聴きながら、
ほんとうはこんなものなのかもしれない、と思う。
もう、
信じるべきはあのころの思い出じゃない。
それがどんなに美しくても、切実でも。

ひらひらと揺れる光を見つめながら、
新しい場所を探さなくては、と
ひそやかに強くそう思った。







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