愚者
DiaryINDEX|past|will
20年ぶりに友人と会った。 彼は高校卒業後に、夜の世界へと足を踏み入れた。 音楽家志望で、歌の上手な男だったが資金を稼いで 東京に乗り込む予定でいた。
20年前に会ったとき、ディスコでDJをやっていたが その頃はもうそんな夢をあきらめていたように見えた。 ただ、目は死んでなかったことは、はっきりと覚えている。
20年ぶりに会った彼は、とても様々な経験をしてきたような 風貌で、以前の彼を知る私でさえ、どこかで会っても 分からないくらい、面影は残っていなかった。 それでも、今の彼はそんなことを卑下しているようにも 辛い過去を滲ませるような感じにも見えなかった。
少しの時間だったが、彼と話をしていると 昔、夢に胸を弾ませた頃がよみがえってきた。 懐かしい笑顔は、長い時間会っていなかったように 思えない、あの頃毎日会っていた友人の顔に見えた。
誠幻
|