愚者
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2006年04月07日(金) 年輪

 20年ぶりに友人と会った。
彼は高校卒業後に、夜の世界へと足を踏み入れた。
音楽家志望で、歌の上手な男だったが資金を稼いで
東京に乗り込む予定でいた。

 20年前に会ったとき、ディスコでDJをやっていたが
その頃はもうそんな夢をあきらめていたように見えた。
ただ、目は死んでなかったことは、はっきりと覚えている。

 20年ぶりに会った彼は、とても様々な経験をしてきたような
風貌で、以前の彼を知る私でさえ、どこかで会っても
分からないくらい、面影は残っていなかった。
それでも、今の彼はそんなことを卑下しているようにも
辛い過去を滲ませるような感じにも見えなかった。

 少しの時間だったが、彼と話をしていると
昔、夢に胸を弾ませた頃がよみがえってきた。
懐かしい笑顔は、長い時間会っていなかったように
思えない、あの頃毎日会っていた友人の顔に見えた。


誠幻