愚者
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(幸福論その1からの続き) 結局、誰も「幸せ」とは何か?が分かっていない、と また同じ話の堂々巡りが続き、結論は出なかった。
私と友人二人とは高校時代、同じバンドを組んでいた 良くも悪くもすべてが理解しあえる、30年近い付き合いである。 バンドで演奏していた曲は、ボーカルが作詞・作曲したものが多かった。
彼の作った曲で、今でも鮮明に覚えている詞のくだりに 「僕はただ幸せになりたい・・・誰にも邪魔されずに!」 という、一節がある。 この歌の、このフレーズがずっと頭から離れないでいる。
お互いに、社会人になってからも、彼らと年に一度は 顔を合わせ、酒を酌み交わし、昔話に花を咲かせる。 高校生の頃、私たちは社会に適合できるのだろうか? 苦悩や不安を隠すかのように、バンドに没頭しバカなこと ばかりの言動や行動を取っていたことなどである。
このときに、閃いたのがこの歌の一部だったと 後々に彼から、他の曲の題材などといっしょに聞かされた。 幸せに飢えていて、それを掴み取ろうと必死だった。 破滅していくのを待っているだけ、若いときはそんな気がしていた。
三人とも家庭を持ち、家族と暮らすことが当たり前になっても 幸せというものを実感できずにいるようだ。 たぶん、この先もなかなか分からないのだろう、幸せとは。
誠幻
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