蜜白玉のひとりごと
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季節はずれの雪。とんでもなく寒い。東京の寒さは「札幌より寒いかどうか」が基準なのか、どの気象情報も札幌より寒い3℃を強調しているけれど、もっと体感温度を信用してもいい気がする。寒いよ!
迷うことなくモコモコのダウンジャケットを着て歩くと、フェンス越しの竹やぶからはホーホケキョ ケキョケ キョケ?耳を疑って立ち止まれば傘の中に吹き込んでくるのはみぞれまじりのつめたい雨と桜の花びらという、しっちゃかめっちゃかな今朝の通勤路。冬も春もムキになっている。
ベランダのクリスマスローズを摘んで母の家へ。もともと父が育てていたものを家を売るときに実家の庭から移植した。父はクリスマスローズとかスミレとかハナニラとか、まだうっすら寒い春のはじまりに地面近くで勝手に咲く花が好きだったように思う。「勝手に」というのは多年草ってことだ。多年草はたいして手をかけなくても毎年出てくるし、少しずつ面積を広げていく。
来週から入院する。入院なんて幼稚園以来だ。幼稚園の時のことはよく覚えていないからこれはもうほとんどはじめてみたいなものだ。ここ10年くらいは人の付き添いでよく病院へ行ったけれど、いざ自分のこととなると気持ちをどこへ持っていっていいのやら落ち着かない。
退院後もしばらくは自宅安静と言われているから仕事は2週間と少し休む予定になっている。仕事を始めてからこんなにまとまった休みははじめてだ。転職する時だって間髪入れずに次の職場へ移った。そんなまとまった休みが病気療養というのもつまらない話だけれど、こんな理由でもなければそうそう休まない。
死ぬような病気ではないにしても内臓を切るからそれなりに危険はあって、こんな可能性もありますよ、あんな可能性もありますよ、と医師や看護師から事前の説明を受けるとやっぱり多少はひるむ。一方でほんのちょっぴり好奇心というか興味があるのも事実で、自分の身体がどう変わるのか、それとともに気持ちはどう変わるのか(あるいは変わらないのか)と考える。こんな外的(いや内臓だから内的か?)要因はめったにないから、体験者であると同時に観察者でもありたい。
しばらくは思うように動けないらしく、家族はもちろん、友人、同僚、周りの人たちには本当にお世話になります。こんなに面倒くさくて自分には関係ないであろう話をみんな親身に聞いてくれて、励ましてくれて、ありがたい。ひとり黙って任務を遂行するなんて芸当はできなくて、話せる人にはほとんど話してしまった。
持っていく本は2冊決めた。本を読む元気があればいい。それと入院日記もつけたい(いつもの日記帳を持っていくだけだけど)。 『トーベ・ヤンソン−仕事、愛、ムーミン』 ボエル・ウェスティン 講談社 2014 『お勝手太平記』 金井美恵子 文藝春秋 2014
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