あたしが 『好きだよ』と 言ってみたら 君は 『そう』と 言っただけ
俯いたまま 歩く道は アスファルトの ざらざらがよく見えて 蟻がうろちょろと 歩いていて 隣の影が ゆるゆると動くたびに 驚いたように走り出す
背中の向こうにある夕陽は もう紅いのか 影のように暗いのか わからなくて
ただ横にいる君が 早くもなく 遅くもない歩調で 進んでいくから
ただ同じ歩調で 進むことしか出来なくて
何度も心の中で 繰り返される言葉は 迷い続けて出口を 君に求めたのに
君は『そう』と言っただけ
だから あたしは もう一度 『好きだよ』と呟いた
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