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■ アドリブ〜。
書く気もないのに今、パソコンに向かっている自分がいる。 パソコンの前に座ってから、もう何十分がたとうとしているのだろう。 書いては消して、書いては消して、そればかり繰り返している。 終いにはこんな自虐的な文章を書き始めてしまうわけだ。 まったくどうかしているとしか思えない。 仕方ないので、辞書でも引いてみてその語句を題材に書いてみるというわけのわからないことをしてみよう(これもアドリブww) ああ、なにも考えずに書き始めてるぞw さて、何が出るのか……魔法の杖よりも怖いw …………この企画ストップしていいですか? い、いや…その作為なくパラパラと開いたページで最初に目が入った語句が……「薔薇色」……いや、マジで。 方向性をどうしようw やっぱり筋肉筋肉筋肉!? いやいや、まずいってw 仕方ないのでもう一個語句を選んでその二つからテーマを決めよう。 …………最悪の結果が出ました。 「至純」 これ以上なく純粋なこと……。 もうやるしかないか……(ここまで本当に作為なしです)
「至福の世界」
部屋。 真っ白い部屋。 カーテンもベッドも壁も床も……全てが白い部屋。 なんの生命感もない部屋に一輪だけ淡いピンク色の花が生けられている。 この部屋の中に風が吹くこともなく、何にそよがれることもない花は静かにそこにいてくれる。 私はたまに尋ねてくる家族と先生以外の誰かと会うことはなかった。 家族も先生もいつも来てくれるわけじゃなかったし、ずっと近くにいてくれるわけでもなかった。 私はあまり長い時間人にあっていると具合が悪くなってしまうそうなのだ。 みんな、私のためを思って短い時間だけしか会えないのだ。 でも、お父さんやお母さんにあっても話したいことがあるわけじゃなかった。 ただ一日中、ベッドの上で寝ているだけの私にとって二人に話して聞かせるだけのものなんてなかった。 だから、いつもお話はお父さんとお母さんのほうからしてくれた。 私はそれをいつもニコニコしながら聞いている。 そうするとお父さんもお母さんもニコニコしてくれた。 なにも私はお話は出来ないけど、二人が来てくれて、二人が私にお話をして嬉しそうにしてくれているだけで嬉しかった……。
ある日、お父さんとお母さんは少しだけ悲しい顔をしながらこう言った。 「……あのね…お父さんとお母さんね……」
お母さんは何かを言おうとして泣き出してしまって、その何かを言えないでいた。 私はなんとなく自分はもうすぐ死ぬんだって分かった。 そして、お父さんとお母さんはそれを伝えようとしているのだって分かった。 私も泣き出しそうだった。 死ぬことは毎日考えてきた。 でも、それがもうそろそろだと分かると怖くて仕方がなかった。 それだけじゃない。 お母さんとお父さんの悲しみと辛さも私に伝わってくるのだ。 いくら笑顔を作ってあげたくても作れない。 私が笑ってあげないと、二人とも笑えないのに。 私は必死に笑おうとした。 でも、そう思えば思うほど私は笑顔の作り方を忘れてしまう。 あれ…おかしいな……いつも出来るのに……。 私が必死になって笑顔を作ろうとしているとお父さんがお母さんの話の続きをし始めた。 いや、それが話というほどのものであるかは分からない。 が、お父さんは大事な話を続けた。
「智子、お父さんとお母さんな、もう来てあげれないんだ……海外に行かないといけないんだ。智子……」
一言一言をゆっくりとお父さんは言った。 私は意味も分からずにそれを聞いていた。 ただ一つだけ分かったのは私はまだ死なないけれど、二人は少しの間ここには来れないという事だった。
「智ちゃん……強く、生きてね」
肩を震わしながらお母さんはそう言った。お父さんもその横で声を殺して泣いていた。そして、二人で私を抱きしめてくれた。 強く。 強く。 私を抱きしめてくれた。 それが両親を見た最後の日だった。
何年が過ぎたのだろう。 私は今でも生きている。 両親が来なくなってからも私は生き続けていた。 あの日から私は両親に手紙を書き始めた。 先生に頼んで毎日、二人の元に送ってもらっている。 ただ返信は返ってこなかった。 多分、忙しくて仕方がないのだろう。 返事が来なくても私は毎日書き続けていた。 忘れられたくない。 自分がそこにいることを覚えていてほしい。 その思いだけで書き続けていた。
お父さん、お母さんへ。 聞いてください! 大ニュースです! 私のドナーが見つかったんです! これでやっと私もお父さんとお母さんと一緒に住めるんです! 今まで書かなかったけど、本当はお父さんとお母さんと会えなくてすごく寂しかったの。 でも、もうすぐ会えるから今はすごい嬉しくて仕方がないです! ずっとずっとこの部屋から出れなかったから、たくさん行きたい場所もあります、見たいものもたくさんあるんです! お父さんとお母さんと一緒にいろんなところに行きたい! 早く治して、お父さんとお母さんに会いたいです。 もうすぐだから、待っててください。 お母さんのカレー、食べたいです。 お父さんのお話、聞きたいです。
先生の話を聞いてすぐに私はその手紙を書いた。 今までこんな気持ちで手紙を書いたことはなかった。 嬉しくて嬉しくてたまらない。 病気が治って、私はこの部屋から出ることが出来て、しかも両親と住むことが出来るのだ! こんな幸せがあっていいものなのだろうか!? 私の人生はもうすぐ始まるのだ。 幸せに満ちた世界が私を迎えてくれるのだ。
――手術は成功した。 適合もよく術後はも安定そのものだった。 なのに、先生の顔は曇っていた。 何か不安があるのかと私が聞いても「君の体に問題はない」と言ってくれた。
お父さん、お母さんへ。 もうすぐ退院の日です。 まずはパスポートを取らないと二人に会いに行くことは出来ないですね。 どうやればパスポートを取れるんでしょうか、ちょっと分かりません。 先生方はパスポートよりも電車の乗り方さえ分からないんじゃないかと笑っていました。 お父さんとお母さんは私の退院の日に日本には戻って来れないですか? 先生にはそんなことはないよって強がりましたけど、やっぱり分からないし、外の世界は怖いです。 忙しかったらいいんです、でも少しだけわがまま聞いてほしいな。 早く会いたいです。 あれから大きくなった私(あんまり大きくなってないけど)を見てほしいな。 それではまた書きます(書く前に会えたりして)
退院。 それは訪れることのない幻の日だった。 まさかこの白い繭から自分が出れる日が来るなんて思わなかった。 季節は初夏と呼ばれる少しだけ夏に変わりつつある心地のよい日のこと。 私は看護婦さんの用意してくれた服に身を通して、外に出た。 服は淡い緑のワンピースだった。 今までずっと入院しててパジャマ以外、着たことのない私にとってそれはとても可愛くて、とても嬉しかった。 早くこの姿を二人に見てほしくて仕方がなかった。 私は「退院の手続き」をするために先生の部屋に呼ばれた。 先生の部屋は質素なものだった。 もっとも私の部屋からすれば色々なものがたくさんあった。 壁に目をやるとカレンダーがあって、今日の日付をグルグルと赤いペンで何度も何度も囲んでいるのが見えた。 「智子ちゃん、退院おめでとう」 先生は本当に嬉しそうにそう言って私を迎えてくれた。 私も嬉しくなって「ありがとうございます」と嬉し泣きしそうになりながら答えた。 「……うん、それでだな」 声が急に沈んだ。 どうしてだろう? 私の病気はもう治ったはずだ。 そうだからこそ私は今日という日を迎えることが出来たのだ。 今更何を気にするのだろう。 「先生?」 「……これを君の両親から預かっているんだ」 すっと先生は私の前に一通の手紙と通帳を差し出した。 「…………え?」 なにが? これはなに? 私の前にある二つの物の意味……。 先生の辛そうな声の意味……。 違う…そんなわけがない……私は震える手で手紙を開いた。 中にはずっと私が待ち焦がれていた二人の字があった。 二人の私への返事があった。
智子へ。 退院おめでとうございます。 私たちはずっとあなたがこの日を迎えることを一緒に夢見てきました。 よく今日まで辛い日を一人で頑張って来れたね、それだけで私たちはあなたを誇りに思います。 あなたは強い子だって私たちは信じています。 だから、最初に伝えないといけないことがあります。 智子、私たちはもうこの世界にいません。 私たちはあなたを救うためにはあまりにも資金的余裕がありませんでした。だから、二人であなたに保険が行くようにして死ぬことに決めたのです。 不甲斐ない親です、それでしかあなたを救う道がなくて、もしあなたが退院したとしても私たちはあなたを迎えにいくことも、一緒に住んでやることも出来ないのです。 何一つ親らしいことをあなたにしてあげれなくてごめんなさい。 もっとたくさん色んなところに連れてってあげたかったし、おいしいものたくさん食べさせてあげたかった。 海とか山とか一緒に行きたかったね。 お父さん、昔ボーイスカウトしてたからキャンプとかするのが夢だったんだ。 お母さんもピアノを一緒に弾きたかったのよ。 もっとたくさんあなたと過ごしたかったって思います。 それさえ出来ない自分たちが一番悪いんだってわかってます。あなたに不憫な思いをさせている、この手紙だってあなたを苦しめるだけでしかないことだって分かっています。 でも、これが最後だと思うと書かずにはいられないのです。
智子、お父さんとお母さんはもう一緒にいてあげれないけど、世界にはあなたを大事に思ってくれる人がたくさんいます…谷崎先生もその一人です。あなたのことは谷崎先生に全て頼んであります。それに看護婦さんの宮井さんもあなたのことを大事にしてくれるでしょう。 世界は決して楽しいことばかりじゃないと思います。あなたはそのことを誰よりも強く知っていることと思います。 ですが、それ以上に世界は優しさと温もりに溢れているのです。 どうか強く、強く生きてください。 そして優しい、人の痛みの分かる子に育ってください。 今日という素晴らしい日に涙は似合いません、どうか泣かないでいつもの笑顔の智子でいてください。 大好きな智子、可愛い智子、私たちの智子。 ずっと見守っています。 ありがとう。 お父さん お母さん より
それは私の……幻だったのでしょうか。
という風にまとめてみました。 んむぅw なんだこれwwwww アドリブで書くとこうなるわけかw なんだかなぁw というわけで、ねま〜すw
2003年08月31日(日)
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