ふうこの英国留学日記-その後

2002年11月06日(水) すべては想像力の問題 vol2


私は、田口ランディのMLの読者である。
今朝届いた彼女のMLに
「想像力は自分で考えるための翼だ。」
とあった。

私はイギリスにいることで、日本のマスメディア報道に感化されることが
少なくなっている。東京にいると、実家で朝日と日経に目を通し、
移動中の車内では数冊の雑誌を読み、夜や週末ははニュース番組や特別報道
番組などをあたりまえのように観ていたので、マスコミから得る情報は
ここにいる間とは比較にならないほど多かった。

私はとても感化されやすい性質であり、情報を鵜呑みにしてしまいがちなので
私がマスコミから得る情報ははときに、私の判断や感覚を混乱させる。

日本のような、情報が溢れる社会ではどれが正しい情報で、それをベースにして自分でどう考えるかということがとても難しくなっている。

気づかぬうちに、様々なメッセージは私たちの脳に入り込み、
それは繰り返されることによって、常識として刷り込まれていく。

私は最近、自分のプライベートなことにしても、社会的問題にしても
ときに外野の声をシャットアウトして、事実だけを事実して認識し、
自分で考え、判断することをもっと大事にするべきだとつくづく思う。

知らぬ間他者によってMisleadingされないように、
事実を呑み込んだうえで、自分の想像力を正しく駆使して。



2002年11月05日(火) ハラハラ・バンバン


宮沢賢治の詩のゼミでのプレゼンが今日だったので、
どうにか資料と翻訳をしあげて、プレゼンに挑んだ。
直前3時間に夢中になってまとめたけれど、しっかり準備ができたとは言いづらく、ハラハラしながらも教室へ。

教授には
「訳の英文にはまだまだ問題はあるけれど。。。
強くこころを打つ美しい詩なので、続けて翻訳に取り組む価値はある。
よくやったね。」 

他には、アフリカ人のクラスメイトから
「こういう家族や恋人を失う悲しみには、普遍的なものがある。世界のどこでも
 感動を呼ぶよ」
ドイツ人からも「美しい詩だわ。私は気に入った。情景が目に浮かぶわ。」
との言葉をもらった。

賢治の詩自体が褒められたわけで、私は単に選んで訳しただけなのだが、
自分が好きな日本の詩を外国人が詩の良さを理解して感動する程度には
イメージを伝えることができたようで、とても嬉しかった。

これこそが翻訳をすることの醍醐味なのかもしれない。

今度は誰を訳そうかしら?
他に好きな詩といえば、高村光太郎の「智恵子抄」なんかが好きなのだけれど、
「レモン哀歌」じゃあまりにも「永訣の朝」と似すぎている気もするし、
啄木はちょっと地味かと思うし、うーん、今度は女性ということで
与謝野晶子なんかいいかもしれないね。「君死にたもうことなかれ」とか。
でも、やっぱりあまり好みじゃないなあ。やはり、「智恵子抄」かな。

もし、これを訳してみたら?という提案があったらぜひメールください。

メールアドレス:cr7a−tkhs@asahi-net.or.jp

原文がこちら(イギリス)では手に入らない可能性があるので
原文のテキストがネット上で手に入るもしくは、原文をご存知のものでお願いします。

ハラハラしどおしのプレゼンが終わったら、夜は花火大会が大学のまわりであって、バンバンと爆音がなり響いていた。本日は、ハワード・ホークス・デイと言って、何十年か前に国会議事堂を爆破しようとして捕まった彼の記念ということで、イギリスでは花火を上げる慣わしになっている。
夜になってから、あまりにもバンバン・ボンボン爆音が鳴り響くので、気になって大学内で比較的高い建物の屋外階段に登って、あたりを見回してみたら、4ヶ所くらいで打ち上げ花火をしているのが見えた。180度近いパノラマに開けた視界の中で、遠くに四箇所くらい交代で花火が打ち上げられるので、あっち向いたり、こっちを向いたり、忙しい。

帰りに、道路に近い草の上で1人で花火見てたら、レンタカー会社のお兄さんが、わざわざ車止めて寄ってきて、「道に迷ったの?」と聞いてきたのには笑えた。
「ううん」というと、「本当に大丈夫なんだね?」と念を押してきたので、「大丈夫です」と言うと、「気をつけて」と言って去っていった。
親切な人もいるものですねー。



2002年11月04日(月) ほんとうのこと


「本当のあなたを 本当の言葉を知りたいんです」
 
 とくるりは歌っているが、ほんとうのあなた、ほんとうの言葉なんて
 どこにあるんだろう。

 私はここにいる。生きている。これはほんとう?
 あなたは私の友達。     これはほんとう?

 すべては個人の判断に委ねられる。
 
 何がほんとうで、なにがほんとうでないんだろう?

 本気で嘘をついているとき自分でもそれが本当のように感じたことがある。。
 
 Realであるということ。それを実感させてくれるものって
 世の中になんて少ないんだろう。
 (私がリアルを感じた数少ない映画として、カネフスキーの「動くな・死ね・蘇  れ」がある。)

 私は、父に、お前のいうことは「うそうそしている」と言われたことがある。
 友達には、ふうこが言うと、「もっともらしく聞こえる」と言われたこともあ  る。

 本当かどうかなんて考えるのは止めたほうがいいのかもしれない。
 考えたってわからないのなら。



2002年11月03日(日) 永訣の朝−とわのわかれ

火曜日の授業で詩の翻訳のプレゼンせねばならず、
日本の詩を紹介するということで
宮沢賢治の「永訣の朝」を翻訳してみました。
なんか、英語だとイメージ違う?!

−−−
The morning of a eternal parting by Kenji Miyazawa

Dear my sister
Today you will go far away
It is sleety outside and strangely light
[Please bring me some sleet]
From the slightly red, and much more gloomy cloud
The sleet is falling thick and wet
[Please bring me some sleet]
I run out like a turning ball of a gun into the dark sleet
To take some snow and rain which you will eat
In these two chipped bowls
Painted with blue pattern of a herb
[Please bring me some sleet]
From the blue grey gloomy cloud
The sleet is sinking thick and wet
Oh, Toshiko
Now that you are dying
To make me more delightful
This bowl of the clean snow
You ask me to bring
Thank you for my laudable sister
I will make my way in a straight
[Please bring me some sleet]
In the terrible fever and short gasps
You ask me the last one bowl of snow
Which fall down from the sky
Called the galaxy, the sun, or the atmosphere…
….On the two granite stone
The sleet has been accumulated forlorn
I stand on it unstable
Keeping balance of the two pure white elements, snow and water
From the glossy branch of the pine
Full of transparent cold rain drops
I take the last meal for my sweet sister
We have grown up together
And have been familiar with this blue pattern of the bowls
You are also leaving from it today

You are really leaving today

Oh my laudable sister
You are burning gently and pallidly
In the dark of a folding screen or a mosquito net of the patient room
The all snow I take from everywhere is totally pure white
From the horrendous and boisterous sky
This beautiful snow come down

[If I were born in next time, I would not suffer from only my problems.]

Now I pray from the bottom of my heart
For these two bowls of snow which you will eat
I wish it become an ice cream in the heaven
And bring the sacred food for you and everyone
I give all my happiness to pray for it



2002年11月01日(金) 価値のない女

以前からずっと観たかったフォッシーが監督した映画「キャバレー」をスクリーンでみることができた。1972年のアカデミー賞受賞作品だ。

キャストが最高。特にライザ・ミネリは彼女にしか演じられないであろうサリーを作り出していた。
歌、ダンス、身振り手振り、メイク、衣装。どれをとってもこの役のサリー
でしかない有りよう。
本当のベルリンがどうだったのかわからないが、退廃とファシズムの足跡を聞く
ここで描かれているベルリンの風俗は危うさを含んだ美しさで、古びることなく
観る者を魅了する。

途中、サリーが、映画関係者の男性に約束を反故にされ、
"He does't care me. I am not worth to care. I am.... I am nothing!"
と嘆くシーンがあった。
画中の彼女はとても存在があって、もちろん価値のない女からはほど遠いのだが、
彼女がつぶやくこの言葉は私に重く響いた。

尊敬や愛情を抱く人物から粗雑に扱われると、どうしも傷ついてしまう。
自分の存在価値なんてないんだと思う。
価値や能力がなくても、生きていきたいと思っているというところが、辛いところ
なんだろう。


自分の魅力や価値になんて考えたくもないけど、そういうわけにもいかない。
どうしても、社会や人との関わりのなかで人は思い知らされていく。
多くの場合、私は、自分の実力や容姿の美しさや、魅力のなさを思い知るたびに
悲しみ、落ち込んで自信を喪失してきた。
それが辛くて、気づいていても、はっきり認識しないよう誤魔化そうとすることもあった。
そして、だんだん年をとるにつれ、この程度かな。。。と客観的に落ち着いて考え、現状を受け入れられるようになってきたと思う。

いろいろな人と話をするうちに、たいていの人が、自分なんてなんて意味のない存在なんだと、思って眠れない夜を過ごした経験をもっているんだな、と気づいた。
だから、私なんて、自信なんてなくて、価値なんてなくて当たり前。と思ったら楽になった。

価値と意味は違う。私に価値がなくても、私の生は少なからず他人に影響する。
私によって、傷つけられたり、何かを失ったりした人もいる。
どんな人間もその大小に差はあるけれど、社会に影響しているのだ。
私の生は良い悪いにかかわらず、なんらかの意味(作用)を生み出している。

願わくば、価値はなくとも、A Small, Good Thing (ささやかだけれど、役にたつ)でありたいね。






2002年10月31日(木) どこまでもゆける


最近、くるりのアルバム「The World is Mine」にハマッている。
このPopな中にあるどうしようもない情緒性。。。
なんて、電子音に乗る歌詞のせつなさ

そして、最後に「どこでまでもいける」と彼らは歌う

限界はある。でもそれを自分で規定してしまうことはつまらない。
いつだって、不安はある。
しかし、完全な絶望なんてない。
どこまでもゆける。。。とたとえ錯覚にすぎなくても
歌ってくれてもいいじゃないかと思う

中でも
World's End Supernovaがお気に入り。
「アイラブユー皆思う これだけがメロディー奏でだす」
「夜を超え僕らは旅に出る」「心は消さない」

真夜中に車に乗り込んでどこまでも走りぬけだそうとしたときの昂揚感。
朝が来るまで、仲間とリズムに身を委ねているときの体のビート。
ときどき、こういう曲に出会う。
私の中の何かを刺激して、駆り立てるような、泣きたいような気持ちにさせる曲。

「本当のあなたを 本当の言葉を知りたいんです」

といつだって私は思ってる




2002年10月27日(日) How far I stand...

Today, I was very satisfied myself.
I slept well, had a warm bath, and ate some food I cooked by myself.

I listened to music in my room, and read website.
I went a food store after the rain stopped.

It was very windy and cold today, but walking qiuickly made my body hot. Nothing special things happen, but I felt being satisfied my life.

However, after I came back to my room and listen to other CD again.
The melody reminded me sweet days with my ex-boyfriend.
I listened to the music with him in those days, and suddenly I felt very sad because I noticed many people and event has gone through my life.

I became really nostalgic about my past days.I know it will never back.I feel everything has gone so quickly, and now I stand alone so far from there. I have got many things in my life, but day by day, I have lost many things I've got. Always only momery left in my heart.
I asked myself why I came so far away from where I was before.

I remember when I was really feek happy together with him, I wish the moment would continue.
The cloud in Britain is moving very quickly, such as the cloud I worry everything will leave me soon.

The reason why I think in this way might mean that I was very happy in the past.



2002年10月26日(土) ブリーフ一枚


今日、コインランドリーに洗濯にいった。

洗い終わった洗濯物を洗濯機から取り出していると、
見慣れぬものが、と思ったら、
男物のブリーフが一枚私の洗濯物にまぎれている!!

最初、自分のパンツかと思って取り出して広げてみてぎょえー!!
なんで、私の洗濯物の中に、しかもよりによって男もののブリーフが。
どうして混ざっていたのか良くわからないけど、
仕方ないので、洗濯機の上に広げて置いてきました。

私の人生で、パンツを洗うような関係にある男性は父以外
いまだにいないことに。。。ふと気づきつつ。

パンツ一枚でいろいろ考えさせられました。
しかし、どうして??

(ちゃんと洗濯する前に洗濯機の中が空だったのは確認した。)



2002年10月25日(金) Tragedy

Recently, I concentrate on watching movie based on British Literature.

I watched Romeo and Juliet, Othelo, Sense and Sensibility, Lord of the Flies, and Titus in one week.

Yesterday, I watched Titus played by Anthony Hopkins.
It is a very gorgeous and dramatic drama but, it is the bloodiest story in Shakespear.

I was so shoked by this movie, it is like a beautiful night mare.
I could not stand many cruel scenes....

However, this complicated story well shows us what is a humanbeing,
what is love and hate, what is sex for us.

From the ancient times, humanbeings love and hate each other, and having sex and killing each other. I really feel this fact from this
movie.

Here is a very heavy theme in this movie, but Shakespear is enough great writer to illustrate this.



2002年10月21日(月) 愛するということ


最近、親しい友人に送ったメールに私はこう書いた。

愛情を表し、相手に伝えるために努力する。
愛情っていうのは気まぐれなものじゃなくて
愛そうとする意志によるところが大きい、ってことを判っている人って
少ないんじゃないかなと思う。
愛することはそんなに簡単じゃない。それなりに経験も技術もいると思う。

これは、彼らのカップルの言動や行動を聞いて、私は彼が彼女を愛そうとしていると感じたと書いたあとに続けたものだ。

私のこういう考えは、10代の時に読んだ、エーリッヒ・フロムの
「愛するということ」(原題 The art of loving)によるところが大きい。
私はこの本に大きな影響を受けたし、友達にプレゼントしたこともある。
フロムは、この本の中で愛は技術であり、愛するためには知識と努力が必要であると述べている。
愛は与える行為であり、与える行為としての愛の能力は、その人間のの性格の発達程度による。そして、愛するということの積極的な性格は、他人への配慮、責任、個人の知識等の重要な要素であると教えている。

この本からの一言
「愛するには勇気が必要である」

というのは、私はこの本にこんなことが書いたあったことすら
すっかり忘れていたけれど、この本に出会って10年以上たった今、
心からそう感じる。




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