星の行方(レックナート視点2プレイ記)
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そういえば二人きりだな、と思った瞬間、ピリカちゃんが走って来た。 ピリカちゃんは心配そうにぼくを見上げる。 きくまる「絶対、帰ってくるよ。約束したんだから…」 こんな小さい子を不安にさせて、まったくあいつは。
ああ、遅い。 ナナミ「ねぇ、ねぇ、ねぇ、覚えてる?きくまるが、ルードの森で迷子になった時の事」 え、急に何を。そのことは、実はあんまり思い出したくない…
何かしら、どんな過去かしら。「実は迷子になってたんじゃなくて、自分を捨てた家を自力で見つけて、尋ねようとしたらゲンカクに見つかって止められた」とか、そんな過去かしら。 ルック「また妄想ですか。きくまるだったら見ればいいじゃないですか」 やあねえ、へたな事実よりも、妄想のほうが面白い場合もあるじゃない!
ナナミ「ゲンカクじいちゃんが、探しに言っている間、私とジョウイは、やっぱりこうしてきくまるのことずっと待ってたんだよ」 … ナナミ「あの時もきくまるはちゃんと戻ってきたから。ジョウイも必ず戻ってくるよね」 …。 ナナミ「あのね、さっきの話の続き。こんな風にして、きくまるを待っている間ね、ジョウイはね…ふふふ、ずっと泣いてたんだよ。 ねえ信じられる?あのジョウイがぼろぼろ涙を流して…あ、この話をしたことは秘密だからね。ジョウイに『絶対に言うな』って言われてたんだ」
ジョウイはきくまるの友達だ、大事にしろって、ナナミがすごくうるさく言うようになったのは、大体その頃からだ。
ナナミ「ねぇ…きくまる。私思うんだけど…ジョウイが帰ってきたら、もうこんなところからは逃げ出して……!!!!!」 ナナミが言葉をとぎらせるや否や、まっすぐに走り出す。 ジョウイが帰ってきた。
わあっどうでもいいからジョウイ、ナナミに抱きつくなあ!!
ルック「どっからどう見ても、ナナミが抱きついてるようにしか見えないんだけど」 あっはっは!!だから余計に悔しいんでしょうよ。見て御覧なさい。嫌でしょうがないのに引き剥がしたりしないで傍でやきもきしてるだけでしょ。せいぜい「待ちくたびれたよ」とかって嫌味を言う程度よ。あー愉快愉快。
フリック「アナベルさんよ、俺は、あんたらとは付き合いが浅いが、こんな子供をスパイに使うほど、都市同盟ってのは、困っているのかい?」 フリックがアナベルさんに凄む。まあどうせ、失敗してぼくらが殺されたって「身勝手なガキが逃げた」だけで済むと思ったんだろうね。効率的なやり方だと思うよ。 人道に悖るけど、(あの気の小さい)若者の暴走だといってしまえばそれで終わりだし。
きくまる君、ジェスの名前覚える気、ないみたいね。
ミューズ側ののらくらした対応に、今度はビクトールが切れた。これじゃますますぼくが怒るわけにはいかないなあ。
ビクトールも、性格が変わったわねえ。こんな効率の悪いやつだったかしら。前はもっとずる賢かったわよね。
それにしてもジョウイ、遅い。 ナナミは心配して門まで見に行った。ぼくもすぐに後を追う。
ナナミ「私はもう少し待ってみるから、きくまるはレオナさんのところで休んでていいよ」 きくまる「いっしょに待つよ」
何も知らなくても、ナナミには判るんだろうか。直感みたいなもので。 それとも、ぼくの不安を感じてとっているのだろうか。
アナベルさんはぼく達のことを知っていた。ジョウイの家族のことも。 アナベルさんが知っていて、帝国側が知らないわけがない。 もし、例えば、ジョウイの家族が人質にとられたりしたら?…どんな力を持ってても、意味の無い物になるんじゃないのか?
そんなことはちょっと考えればすぐわかることなのに。 なまじ力があるが故に、その力に甘えすぎてたのか。
死ぬ心配なんてしていない。あいつはこんなところで死ぬようなタマじゃない。 ただ、心の中の、もやもやした黒いものが消えない。
なあんだ、あのふたりったら結局、アツアツなんじゃない。心配して損したわ。 ルック「…(どっちに対して言ってるのか、聞こうとしてやめた)」
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