Deckard's Movie Diary index|past|will
スルーにしようと思っていたのですが、モントリオール映画祭でイノベーション賞(“詩的で、現代的な、非常に美しい革新的映画のための賞”・・・わかんねぇ〜(苦笑))を受賞したので最終日に観てきました。東陽一監督作品『風音』。沖縄の美しい海を臨む崖の中腹に鎮座するこめかみに穴が開いた頭蓋骨。“風音”とは、その穴を風が通る時に鳴る音のことで、“泣き御頭(なきうんかみ)”と呼ばれるその頭蓋骨を巡って3つの話が交差します。DVから逃げ故郷・沖縄に戻ってきた母と子。戦争で行方不明になった初恋の人を毎年沖縄へ捜しに来ている老婆。子供の頃に島に流れ着いた特攻隊員を埋葬したことのある漁師。もちろん、それぞれは微妙に絡んでいるのですが、3つの話が作品としての大きな塊になっているとは思えませんでした。少しずつジグソーパズルのピースがズレている印象です。無理やりハメていると言うよりも、スカスカな感じでしょうか。面白い展開の脚本だとは思うんですけどねぇ・・・もう少し上手にまとめて欲しかったです。おそらく東陽一向きじゃなかったんでしょう。基本的には群像劇ですからねぇ・・・。それにしても何故に背景に流れる音楽がジプシー音楽なんですかねぇ?特にハマっているとは思いませんでした。場違い!とも感じませんでしたけどね(苦笑)。
『コウノトリの歌』はベトナム人が作ったベトナム戦争をモチーフにした映画です。ベトナム映画と言えば『青いパパイヤの香り』『夏至』等で有名なトラン・アン・ユン監督作品が有名ですが、ベトナム戦争を扱った映画は初めて観ました。他にも74年(ベトナム戦争終わってないじゃん)に作られた『ハノイの少女』とか97年『サイゴンからの旅人』00年『朝よ、来ないで』03年『ハノイの12日間』とかあるそうですが、全く知りません。この映画はベトナム軍(当時は“ベトコン”って呼んでました)に帯同していた元従軍カメラマンの証言を元にしたドラマ部分と現在の彼を捉えるドキュメンタリー部分の二つのパートから成り立っています。完成度は高くありませんが(二つのパートの絡みがチグハグですし・・・)、興味深い作品ではありました。つまり、当然のコトなんですが、全てのエピソードはベトコン側から描いています。それが、どうにも新鮮に感じてしまいました(大汗)。内容は戦争映画では良く描かれるストーリーで、もっと“勝利”を意識した部分があるのかなぁ・・・と思っていたので、それも良い意味で肩透かしでした。結局、戦争なんて勝っても負けても人々の苦しみは同じなんですよ。この映画に触れたコトでベトナム側から描いたベトナム戦争映画をもっと観たくなりましたね。特に『ハノイの12日間』ってのは観てみたいです。
♪よ〜く考えよう〜 お金は大事だよ〜 あ、失礼しました。
<ネタバレしています>
『ハムナプトラ』シリーズで名を売ったスティーヴン・ソマーズが監督、脚本、製作を兼ねる『ヴァン・ヘルシング』。ブラッカイマーより、さらにお馬鹿なブラッカイマーっぽい映画でした(って、なんじゃそりゃ!)。お寒い限りのストーリーは全く意に介さず、ひたすらCGで作った映像を「どや、オモロイやろ!」って見せられてもねぇ・・・(苦笑)。つまんねーよ!どうせ荒唐無稽なら、もっとハチャメチャなストーリーにすればいいのに!例えばドラちゃんとヴァンちゃんが異母兄弟で、アナ王女はヴァンちゃんと生き別れた双子の片割れで、フランケンの脳はドラちゃんの親父のモノで、心臓はヴァンちゃんの母親のモノで、でもってフランケンはドラちゃんに「I’m your father」とか言っちゃったりして、オマケにフランケン博士とヴァンちゃんの助手Qちゃんは親子で・・・みたいな感じでいかがでしょう(笑)。ところで、いつ頃から人間のキャラも不死身になっちゃったんですか?チャリエンでは既に全員が不死身でしたが・・・(苦笑)。
『HERO』に続くチャン・イーモウの新作『LOVERS』は<チャン・イーモウ展“featuring Zhang Ziyi”>みたいな展覧会を観に行ったと思えば問題ないでしょう(苦笑)。ストーリーは驚くほど投げやりですし、グラフィカルな様式美を追求する演出は、格闘シーンはともかく“LOVERS”な場面になると、コッ恥ずかしいモノがあります(笑)。特にラストは「これが笑わずに居られよか!」っつーくらい、口あ〜んぐりモノです。それでも観る価値は十分あると思いますよ。何せ、世にも美しい展覧会ですから(笑)。ワダエミの衣装も綺麗ですよぉ〜♪コンテ通りと思われるシーンの連続なので、ちょっとボーっと観ているとゲームのCGムーヴィーのような趣きもあり、なんだかなぁ・・・という印象も無きにしも非ずです(一体、どっちなんだよ(笑))。でも、チャン・ツィイーはマジで美しいですし(この人は成長してますねぇ!)、金城は下手くそですがそれなりにハマってます。で、友人も指摘していますが、アンディ・ラウがちょっとズレてるかなぁ・・・だって、この人ってルックスがグラフィカルじゃないじゃん!個人的にはもっと冷たい美形が良かったです。金城にチビっと無骨系が入ってるので・・・往年の田村正和とか近藤正臣(古いよ!)、最近だったら京本正樹(オイオイ…( ;・_・)ッ( ゚ー゚)ウキ…)とか、最近だったら北村一輝とか・・・どちらにせよ、切れ長系の美形が良かったかな(笑)。
「由井正雪のような長髪を振りかざしながら、長州力率いる維新軍の登場です!」あの古館一郎を一躍有名にしたプロレス第二期黄金期・・・アレからもう24〜5年が経つんですねぇ・・・(遠い目)。『マスク・ド・41』は猪木や長州力、タイガーマスクの登場に一喜一憂していた高校生が中年になった時の話です。リストラがきっかけで家庭崩壊した41歳の中年男・倉持(田口トモロヲ)は、何を血迷ったか趣味のプロレスに全てを注ぎこんでしまいます。オイラは少女やゲイの心の内なんて、ほとんど理解出来ないボンクラですが、妻子持ちで生活に疲れている中年男の気持ちは十分理解出来ると自負しております(笑)。まぁ、家庭なんて多かれ少なかれ問題を抱えているワケで、どうにか踏み止まっていられるのは収入があり、それなりに生活出来ているからで、その支えが無くなった時に色んな問題が噴出し一気に崩壊へ向かうってコトは良くあることです。この作品は崩壊家庭の描写と蛯脇(松尾スズキ)が絡んだプロレス部分の描写がいまいち噛みあわないので、映画としてのまとまりに欠けていますが、美味いけど形の悪いオニギリみたいな味わいがあります(苦笑)。オイラにはドタバタ風味の味付けがちょっと濃かったですが・・・それでもこの映画が好きです。情けない中年男が昔から好きだったしょーもない趣味で一念発起して、なんとか立ち直るというストーリーが自分的にはツボなんですねぇ(苦笑)。だって多くの男性って、毎日たいして好きでもない仕事(昔は好きだったのかもしれないけど、いつのまにか“好き”だけじゃすまなくなってしまいます)をこなしながら、チビチビと趣味の世界でストレス解消したりしてるワケですよ(って、勝手に決め付けてます)。で、何も無くなって四面楚歌状態になった時に、開き直ってその若かりし日々に燃えた趣味の世界で一旗揚げよう!ってのは、楽しいじゃないですかぁ!応援したくなります。現実では、抱えているモノが多ければ多いほど守りに入って無難に生きていくしかないのですが、そんな中年オッサンの溜飲を少しでも下げてくれる映画だと思います。倉持の妻を演じた筒井真理子が120%そんじょそこらに居そうな主婦を熱演していて好感触(笑)。ラストでの決着の仕方がまたまた痛快で、最後に来てさらにメートルが上がっちゃいました(ろぶさん的表現から引用)。また、切羽詰ってもヌル〜い親子関係とか、妙に力が抜けててリアルに感じました。まぁ、実際に大変なのはこれからですからね。特にお薦めはしませんが、オイラはこの映画は好きです!蛇足ですが、この映画の中で度々登場するプロレス仲間が集まる飲み屋ですが、以前オフ会の二次会で使った店です。花園神社横にある『唯唯』でした。オイラが学生の頃から出入りしていた店で本来は映画と音楽好きが集まる場所です。入り口に通じる階段には松田優作のポスターが貼ってあるんですよね。また皆で行きたいモンです。
数々の話題を巻き起こしている『華氏911』。この映画はジョージ・W・ブッシュに対して真正面から片手に敵意を、片手に侮蔑を掲げて作られています。もちろんジョージ・ブッシュとそれを取り巻くカネの亡者達は完璧なる戦争犯罪人(っつーか、悪魔だろ!)ですから、当然のお仕置きです!ただ、ブッシュ批判だけの作品だったらカンヌでパルムドールは取れないでしょう。裕福と狡猾、貧困と無知、クソくだらねぇ選民意識・・・真のメッセージはそこにあります。映画としての完成度は『ボウリング・フォー・コロンバイン』には及びませんが、それは、おそらくマイケル・ムーアの拳が怒りに震えていたからでしょう。描かれているコトのほとんどは公になっている事実(怪しいモノもありますが・・・ボソ)ばかりですが、観る価値は十分にあります!ドキュメンタリーだろうと、創作だろうと、そんなジャンル分けはどーでもイイんです。要は、作者が何を伝えたかったのか?マイケル・ムーアのメッセージは多くの人々に間違いなく伝わるでしょう。しかし、世の中には『スターシップ・トゥルーパーズ』を反戦映画と受け取る人も居るように(苦笑)、悲しいかな、これほどまでに明快なメッセージさえも伝わらない人が居るんですよねぇ・・・。
『TOMORROW/明日』『美しい夏キリシマ』に続く黒木和雄監督の戦争レクイエム三部作の完結篇『父と暮せば』。今回は前二作と打って変わって戦争の悲惨さをストレートに訴える台詞劇になっています。原作が井上ひさしの戯曲というコトもあり、ほとんどのシーンは原爆で焼かれた家(旅館)の一角で演じられ、さながら舞台劇を観ているように原田芳雄と宮沢りえの二人劇として進んでいきます。広島弁で交わされる二人のやりとりは時にあたたかく、そして切なく、時に微笑ましく、そして悲しくもあります。テーマは分かりやすく、演出にも不足はありませんが、例によって地味すぎてモノ足りません。被爆というトラウマからの脱出、生きていく糧になる出会い、その為の父の役割等・・・もっと映画的手法を使ってドラマティックに描いた方が良かったんじゃないでしょうか。もちろん悪い映画ではありませんが、ベタな話だけにあざとく描いてくれた方が観ている方としては、安心してドップリ浸かれるというモンです(苦笑)。どうにも作りが真摯過ぎて固いんですよねぇ。魅力的な話だけに惜しいなぁ・・・ボソ。さて、宮沢りえです。確かに上手くなりましたし、広島弁の長台詞もしっかりと自分のモノにしています。それでも、演技だけで人を感動させるほどの力量にはまだ足りません(だからと言って、この役を宮沢以上に上手く演じられる若手の役者が居るとも思えませんが(⌒o⌒;A) すっかり“女優”という仕事が板についてきた宮沢ですが、この映画は彼女にとって“素晴らしい女優”になる可能性を感じさせる作品でした。
見終わった帰り道、「プレデターが自爆した時の爆発って大きかったようなぁ・・・キノコ雲上がってたし・・・アレでシュワちゃんが生きてるってオカシイよなぁ・・・そう言えば、先日観た『プレデターvsエイリアン』の予告編・・・アレはヤバそうだなぁ・・・」な〜んて、考えながら歩いてました。真相は・・・『IZO』を観ると言っていた友人に携帯メールを送ろうと思い、その文章を考えていたワケです。え、わからない?(当たり前やがなぁ(笑))つまりですねぇ!この映画は近年最強の地雷映画なんじゃないかと思い、その強力な地雷の威力をどう表現しようか考えていたんです(バカですねぇ)。というワケで『IZO』は“プレデター自爆級”の超ヤバい地雷映画です。武知鎮典+三池崇史はこれまで『許されざる者』『荒ぶる魂たち』『新・仁義の墓場』等で一緒に仕事をしていますが、この作品は全くの異質の映画になっており、救いようの無い駄作として仕上がっています。70年代に道端に転がっていた出来損ないの前衛映画のような、しょーもない描写に終始します。あの頃は三上寛でしたけど、今回は友川かずきですか・・・なんだかなぁ(苦笑)。今どきこんな時代錯誤な映画を作る人が居るんですねぇ。観客の半分は上映中に昏睡状態ですし、場内から出ると次の回を期待に目を輝かせて並んでいる人々と目を合わすことすら出来ない・・・っつーか、うなだれていたからか!(爆)しっかし、この時代に“天誅”するつもりなら相手を曖昧にしないで、もっとキッチリ落とし前をつけろ!てんだぁ〜。空前の豪華キャストの皆さんも、くだらねぇ仕事を受けたモンですねぇ!“オールスター・スーパー・カルト・ムービー”ですってぁ?・・・アホか!ところで桃井かおりって外反母趾ですか?
デッカード
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