Deckard's Movie Diary
indexpastwill


2004年11月11日(木)  砂と霧の家

『砂と霧の家』で2004年アカデミー賞の主演男優賞候補になったベン・キングズレー、助演女優賞候補になったショーレ・アグダシュルー、なるほど!納得の熱演です。またこの作品が初監督作のヴァディム・パールマンは次回作が楽しみになるような魅力的な演出を見せてくれました。映画は悪い人間が一人も出て来ない悲劇で、“起承転結”の“起承転”までは、素晴らしい緊張感に溢れているのですが、“結”でいかにもハリウッド的な安直さに流れてしまいました(>_<)アチャ!惜しい作品です。“求めていたのは、家ではなく家庭だった・・・”と語られている内容を土俵際まで追い詰めたんですけどねぇ・・・(苦笑)最後の最後にハリウッド的エンターテインメントにうっちゃられた感じです。原作もあのようなオチなんですかねぇ・・・ちょっと、理解に苦しむなぁ・・・。ただ、考えてみれば、ヤンキー君の行動なんてあんなモンなのかもしれません・・・勝手に勘違いするし、直ぐ撃っちゃうし!まるでイラク戦争の縮図そのままじゃん(苦笑)。そういう訳ですから、観て損の無い作品ですし、絶賛される方が居ても不思議ではありません。もちろん、文句を言ってるオイラだって嫌いじゃありません。最後にひと言! オリジナル作曲賞にノミネートされたジェームズ・ホーナーの音楽なんですが、ハッキリ言って、しつこいです!


2004年11月10日(水)  みんな誰かの愛しい人

2004年カンヌ映画祭脚本賞受賞。『ムッシュ・カステラの恋』のアニエス・ジャヌイの新作『みんな誰かの愛しい人』です。ジャヌイ本人は、前回は脇役のバーテンダーでしたが、今回は重要な役どころで出演しています。公私共にパートナーのジャン・ピエール・バクリも例によって脚本&出演で、気の合ったところを見せているのですが・・・う〜ん、イマイチ乗れませんでした。有名作家であるエチエンヌ、その娘ロリータ、二人の関係に巻き込まれる人々の話しなんですが、相変わらず人間描写は上手いですし、テンポもいいです。ところが、エチエンヌとロリータはあまりにリアル(実際に居る!という意味です。)過ぎて、全く思い入れは出来ません。とにかく自分勝手な奴らなんです。大作家先生はそれでも構いませんが、娘もただの甘ちゃん以外のナニモノでもありません。だいたい、太っているコトなんか、自分のせいじゃん!そんな二人を中心に描かれてもねぇ・・・。ジャヌイ演じる歌の先生&新進作家夫婦をメインに据えた方がよっぽど魅力的なストーリーになったような気がします。まぁ、如何にもフランス人が作りそうな内容ですけどね(苦笑)。大した魅力も無く自分勝手な振る舞いをする人物を見せられるより、そういう理不尽な人に振り回される人々を描いてくれた方が、小市民のオイラには嬉しいです。


2004年11月08日(月)  血と骨 OLD BOY

梁石日原作、崔洋一監督、崔洋一&鄭義信脚本の『血と骨』です。物凄い力作です!役者、撮影、美術、音楽、その他、映画に関する全ての技術はおそらく来年の映画賞を総なめにすると思われます。そのくらい凄まじい熱気に溢れ、心を穏やかでいられないシーンの連続です。『夜を越えて』(梁石日原作、金守珍監督、脚本は丸山昇一)の時も感じたのですが、明らかに今の日本人とは違う“血”を感じてしまうのはオイラだけでしょうか?梁石日の実在の父をモデルにしたらしいですが、とんでもない男です。しかし、あの頃の日本ならありえるかもしれません・・・まぁ、微妙に関わっている世代なモンですから・・・f(^-^; ポリポリ。で、映画ですけど、衝撃作なのは確かなんですが、オイラみたいな濃い〜映画ファンは“衝撃”程度では騙されません(でひ〜)。はっきり言って消化不良でした。キャッチコピーでも謳ってる「これは家族の物語である」なんですが、どっちつかずの印象が残りました。父なのか、息子なのか、母親なのか、家族なのか・・・どれこもれもが中途半端に感じてしまい、イマイチでした。一番理解出来ないのが、どうして金俊平(ビートたけし)と英姫(鈴木京香)とのなれ初めのシーンが無いのでしょうか?それを描かれなければ、何故にこの“家族”が誕生したのか分かりません(後で調べたら例によって俊平が力づくで英姫をモノにしたようですけど・・・)。個人ではどうにもならない“家族”としての“絆”・・・その辺りの描写もないがしろなので“家族”という“塊”としての存在感が薄く、それぞれがバラバラな印象でした。これでしたらトンデモ男・金俊平をもっと掘り下げた方が面白かったんじゃないでしょうか?金俊平は清子(中村優子)に対して子供のような行動をみせたりしますし、男の子を欲しがったりするワケですから、もっと人間臭い見せ方も出来たような気もします。もちろん!以上のようなツッコミを入れながらも補って余りある力作なんですけどね!でも、言い方を変えれば“力作”を演出した手腕は評価出来ますが、見方を変えれば、それでこの完成度となれば、ある意味“崔洋一”の限界がこの辺りにあるのかもしれません。それでも観て良かったし、作られて良かった映画です。ナンダカンダ言いながら、本年度の邦画ベスト10には入ってくるでしょう。しかし、あのモダンチョキチョキズの濱田マリって・・・以下自粛。


いやぁ、タランティーノが好きそうな映画ですねぇ!というワケで、2004年のカンヌ映画祭グランプリ作品『オールド・ボーイ』です。原作である土屋ガロンの漫画はツラツラと読んでいたのですが、まぁ、例によってほとんど憶えていません・・・(⌒o⌒;A。でも“監禁”の意味はなんとなく記憶の片隅に・・・。映画はかなりクセのある進み方をするので、多くの人は面食らうかもしれませんが、途中から問題無くなりますから頑張って観てください(苦笑)。で、結局はどうなんでしょう?この内容って!個人的には後味の悪い映画でした。とにかく何を書いてもネタバレになりますから、あまり書きたくないんですけど、見て損は無いでしょう(ホントかよ!)。因みに監督は『JSA』で知られる映画評論家上がりのパク・チャヌク。彼にこの漫画を勧めたのは『殺人の追憶』の監督ポン・ジュノ。で、ユニバーサルでのハリウッドリメイク(またかよ!)の主演はジョニデなんですかい?どーでもいいですね、こんなヨタ話(苦笑)。とりあえず、今度キチンと原作の漫画を読んでみようっと!


2004年11月05日(金)  やさしい嘘 コラテラル

あちらこちらで何らかの賞を受賞しまくっている『やさしい嘘』ですが、別にどうってコトない映画でした。85歳で女優デビューしたというお婆ちゃん役のエステラール・ゴランタンの表情に惹かれて観に行ったのですが、残念な結果になりましたf(^-^; ポリポリ。オチも綺麗過ぎますし、挟み込まれるエピソードの数々もピンと来ませんし、とにかく退屈でした。映画を観終わってから友人に「スルーで問題ないんじゃないですか!」とメールを送ったら「『グッバイ・レーニン』とは違うんですね?」と返信されて、さすがにこいつ感の鋭い奴だなぁ!と感心したのですが(映画じゃなくて、そっちかよ!)。確かにお婆ちゃんはスターリンを英雄視していますし、主演一家の住むグルジアの現状も垣間見せてくれますし、ラストの画もそういう形で終わりますが、それぞれがリンクしていません。結局は皆が様々な“嘘”をついている映画なんですが、もう少し脚本を練った方が良かったんじゃないでしょうか。映画自体が嘘臭くなったらダメですよ。



マイケル・マン+トム・クルーズ=『コラテラル』。う〜ん、何処が面白いのか分かりませんでした。白髪頭にして押さえた演技のトム・クルーズはそれなりに魅力的ですし、マンの演出も彼らしい雰囲気に満ちています。でも、だからナニ?って感じです。まぁ、何も無くてもイイんですけど、個人的には退屈でした。ある意味、平凡な人間(ジェイミー・フォックス演じるタクシー運転手)が巻き込まれた非日常なんですけど、リアルに描かれ過ぎているワリには、いきなりスーパーマンだったりするし・・・もっとヘタレなら良かったのに(苦笑)。っつーか、やっぱ長過ぎ!でも、トムの頭じゃないけど、全編いぶし銀っぽい輝きは感じられるので、評価する人はけっこういそうな気もします。オイラはダメでしたが・・・ボソ。


2004年11月04日(木)  笑いの大学

96年に初演された三谷幸喜の『笑いの大学』の映画化です。映像化不可能と言われていたそうですが、映画を観る限り、そういう印象はありません。それは脚本が良かったのか、演出が良かったのか分かりませんが、どちらにせよ十分笑える作品になっています。役所広司は達者ですし、稲垣吾郎も良い味を出しています。稲垣は、途中から三谷を若くしてちょいと二枚目にした人間に見えてきましたよ(苦笑)。演出もシンプルで分かりやすいですし、昭和15年設定のセットも申し分ありません。芸術家じゃない限り、多くの人間ってのは何かしら規制された方が普段以上の力を発揮出来たりするもんなんですよね。映画は全編を通して気持ち良く笑わせてくれて、そのままスンナリ終わるのかと思っていたら最後に大きな山場が用意されていました。観ながら「この課題をどうクリアするのかなぁ・・・それによっては傑作になるぞぉ!」と期待していたら、結局は大甘なエンディングに落ち着いてしまいました。う〜ん、残念だなぁ・・・そこまでがBESTの出来だっただけに惜しまれます。そういう結末にするのなら、最後の課題は一体なんだったんでしょうか?もう一捻り欲しかったですね。しかしながらTV畑出身の監督・星譲の力量は十分感じられたので次回作を楽しみにします。


2004年11月02日(火)  隠し剣 鬼の爪

世界が待っていたらしい山田洋次の新作『隠し剣 鬼の爪』。観ながら、ストーリーにチグハグな印象が拭えなかったのですが、エンドロールを観ていたら原作は“隠し剣鬼の爪”と“雪明り”という二つの藤沢周平作品が元になっていたんですね。案の定というべきか、いまいち上手く納まっていません。また、『たそがれ清兵衛』に比べると山田節が巾を効かせており、その分緊張感が足りないのですが、それが良かったのかどうか?まぁ、初の時代劇だった前作と、余裕が出来た今作の違いなんでしょうね。主人公の片桐は原作より、かなり誠実な人間に描かれているそうですが、その辺りも山田節ってコトなんでしょう。それでも十分楽しめる作品にはなっています。ただねぇ、個人的にはこの映画の最大の欠点だと思うんですけど・・・主演の永瀬正敏なんですが、全く魅力を感じないんですよ。役者として、どうなんですか?永瀬正敏って?う〜ん・・・影が薄い印象なんですよ。今回も決して下手ではないんですが、存在感が希薄というか、こういうキッチリとした作品では“主演”というオーラを全く感じさせてくれません。その点、真田広之は端正過ぎるのが欠点なんですが、存在感は感じるんですよ。相手役の松たか子を始め、脇役が皆良いだけに目立ちます。浅野にしても、そうなんですけど、大作の主演は難しいような気がします。コレってインディーズ系の映画ばかり出ている弊害なんですかね?どちらにせよ、もっと堂々とした演技が出来ないと大作では一生脇役かもしれません。あ、そうそう!富田勲の音楽は良かったですわ。


2004年11月01日(月)  ピエロの赤い鼻 エイプリルの七面鳥 モーターサイクル・ダイアリーズ

最初は全く観る気は無かったんですけど、予告編でそそられてしまいました。まぁ、予告編は内容を見せ過ぎていたので不安はあったんですけどね・・・というワケで『ピエロの赤い鼻』です。さすがにスピルバーグが映画化権を買ったほどですから(またかよ!)、とても良く出来たストーリーなんですが、ストーリーテーリングが下手なので全く盛り上がりません。劇中で“現代”として描かれる時代は1960年代らしいのですが、分かり辛くピンと来ません。例えば、自分が子供の頃に聞いた親父の話・・・みたいな描き方もあったんじゃないでしょうか。自分の子供に話して聞かせる祖父の話ってパターンにしたら、もっと魅力的な作品になったかも知れません。監督のジャン・ベッケルは『モンパルナスの灯』で有名なジャック・ベッケルの息子であり、自身は『クリクリのいた夏』が有名ですが、同じ監督作『殺意の夏』を観ても分かるように、この手のキッチリしたストーリーは苦手のような気がします。良い話なんですけどねぇ・・・・ボソ。 



フラっと入った町の家具屋さんで片隅にポツンと置かれてある木製の椅子。一見どうってコトない椅子なのに、けっこうな値段がついている。誘われるように座ってみると、フワッとお尻を包み込んでくれるような座り心地に「お!」っと心の中で感嘆の声が漏れる。立って繁々と椅子を眺め、少し触ってみる。木だけで出来た椅子。どうしたらこんな座り心地になるんだ?そして、また座る、また「お!」。今度は手のひらで丹念に探りながら、その技に迫ろうとする。細かな曲線、微妙な窪み、すっげぇなぁ・・・と思いながら、離れた場所にいた友人を呼び「座ってみ!座ってみ!」と即す。そして、友人の口からも「お!」っと声が漏れる。とまぁ、ほれぼれするような“匠の技”(『大改造劇的ビフォーアフター』じゃないよ!)みたいな映画です。う〜ん、ちょっと違うなぁ・・・もっと軽い感じだなぁ・・・えっとぉ、数も多く無いし、ヘンテコな形のピースばかりなのに、始めると気持ち良いくらいカチ!カチ!っと、それぞれが納まる。で、完成した形は最初の雑多なピースからは想像も出来ないような素敵な姿。そんな立体パズル(そんなモンあるんかい!)みたいな映画でしょうか!う〜ん・・・ある意味、現代の感謝祭(Thanksgiving Day)の最良な姿ってのはこういうコトなんかなぁ・・・み〜んな、家族なんですよね!って、そんな感じ。まぁ、日本ではありえない祝日の形であるのは間違いないですね。さて、無駄な前置きが長くなりましたが『エイプリルの七面鳥』です。実に単純なストーリーです。仲違いしている母娘が感謝祭の日に一緒に七面鳥を食べる!ってだけの話です。『ピエロの赤い鼻』の良く出来たストーリーに比べると、なんの変哲も無い平々凡々な話です。それなのに、エンディングで胸に込み上げてくる熱いモノは比べようもありません。大事なコトもそうでもないコトも全てを日常生活の中でさり気なく垣間見せながら、全ての台詞、会話、場面、そして小道具までも無駄なモノはひとつも無く、そのセンスの良さは憎らしいほどです。観始めると、どんどん嬉しくなる映画とでも言うのでしょうか・・・仲違いしていた母娘の話が、こんなにも大きくて素敵なエンディングを向かえるとは思いませんでした。人間を見つめる眼差しはどこまでも優しく、おそらく監督・脚本のピーター・ヘッジス(『ギルバート・グレイプ』『マップ・オブ・ザ・ワールド』『アバウト・ア・ボーイ』等の脚本家、劇作家であり、今作が初メガホン。)という人は、どんな人間に対しても、何処かしら良いところを見つけられる人なんでしょう。しょーもないドラッグディーラーでさえ、ちょっとした小道具のヤリトリでお茶目に見えたりします。つくづく“センスの良い映画”というのはこういう映画なんだなぁ・・・と、再認識してしまいました。娘役ケイティ・ホームズの“あひるの百面相”も、母親役パトリシア・クラークソンの繊細に弾けた演技も忘れ難い『エイプリルの七面鳥』は、いつまでも胸の内に大事にしまっておきたくなるような、愛すべき小品と言えるでしょう。この母娘って一番の似た者同士なんだよ、きっと!あーあ、こういう邦画も観たいよぉ・・・ボソ。



『モーターサイクル・ダイアリーズ』はチェ・ゲバラの青春時代、若かりし頃の放浪を描いたストーリーですがハッキリ言って、どうってことない作品でした。だって、退屈ですよ、この映画!個人的にはウォルター・サレスの出世作『セントラル・ステーション』も何処が面白いのか良く分かっていませんから・・・f(^-^; ポリポリ。映画はあちこちをロケして丁寧に作ってあるので、それなりに見応えはありますが、全体に情緒に流れてしまって、説得力が感じられません。ナンだか・・・描き方が簡単なんですよねぇ・・・ダメ邦画の脚本みたいです。南アメリカ大陸で育っている人には感じるトコロがあるのかもしれませんが・・・、オイラには分かりませんでした。ダイアリーズのモーターサイクルも何処かにいってしまいますし(笑)。映画の出来としては、アララ〜って感じじゃないんでしょうか?


2004年10月29日(金)  シークレット・ウインドウ

巷で評判の宜しくない『シークレット・ウインドウ』ですが、オイラはけっこう楽しめました。まぁ、『ホワット・ライズ・ビニーズ』でも楽しんだオイラですから、この手の映画に関してのハードルがきっと低いんでしょう(笑)。そりゃ、今更のネタですけど、そこにツッコミ入れてもねぇ・・・だって、難病モノの恋愛映画のように今更のネタだったとしても面白い映画はたくさんあるじゃないですか!(ダメダメな方が圧倒的に多いですが♪〜( ̄ε ̄;))また、この手の映画だと毎度の如く「途中で分かっちゃったんで、楽しめませんでした」って云う輩も出没するからなぁ・・・ボソ。例え今更のネタだとしても、そこへ向かう過程の方が大事ですから。確かにその点はヌルいんだけどね(結局はヌルいんかい!)。上っ面のストーリー・テーリングは良いとしても、結局はそうなってしまった過程の描き方がおざなりなんだよなぁ(って、ダメじゃん!)。だから、いきなりタネ明かし〜!みたいな流れになって、チャンチャン!っつー結末になっちまいます。まぁ、ハリウッドのこの手の映画って、ほとんどがこのパターン。だから「途中で分かっちゃったんで・・・」みたいに云われちゃうんだよなぁ。もう少し文学的なセンスとかが混ざればイイんだけどなぁ・・・例えばポランスキーの『反撥』に出てきたような象徴的なカットの積み重ねみたいなね。ミッキー・ロークが出てた映画でもそんなんのがあったなぁ・・・アレも監督はイギリス人だったわ。ティモシー・ハットンもどうしてこんなに軽い野郎なんでしょうか(苦笑)。ラストは原作とは大きく違っているそうですが、個人的には気に入りました!キッパリ!それにしても、先へ進みたい時にかかって来た電話の鬱陶しいコトと言ったらありゃしない!それも計算のうちなんでしょうけど、思いっきり「こいつ、ウザイ!」って心の中で叫んでいました(苦笑)。


2004年10月28日(木)  トルク

『トリプルX』『S.W.A.T』『ワイルド・スピード』の製作者ニール・H・モリッツの新作『トルク』。もちろん!その手の映画です。四輪が二輪に変わっただけで、大して変わりはありません。ただ、監督がTV出身のジョセフ・カーンという人なんで小気味良い編集は上手いんだけど、全体の関係を見せるような説明カットが下手なんですよ。だから、アクションシーンでの位置関係が良く分からなかったりします。ロブ・コーエンはその辺りは職人でしたからね。まぁ、それでも勢いだけは四輪よりあるのでそれなりに観られちゃいますけどね(苦笑)。で、それなりに楽しめるじゃん!と思っていたら、ラストでズッコケたわ!ラストはバイク同士の追っかけっこになるんですけど、コレが信じられないくらい陳腐なCGなんですよ。今どきこんなCGは卒業制作でも作らないだろ!制作費を使い切っちゃったとしか思えない情けなさでした。え、アイス・キューブですか?相変わらずキュートでしたよ(苦笑)。


2004年10月26日(火)  ナイトメア・ビフォア・クリスマス/ビンセント/フランケン・ウィニー

『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』の特別上映に行ってきました。お目当ては10年前に公開された時にも併映されていたティム・バートンのデビュー作『ビンセント』。『ナイトメア』のコレクターズ・エディションにも収録されている『ビンセント』ですが、コレ好きなんですよ。主人公の少年ビンセント・マロイは名前が同じビンセント・プライスが大好きで、エドガー・アラン・ポーを愛読するという、ちょいと変わった子供です。誰が観ても思うように、この作品はティム・バートンの子供時代そのものなんでしょう。本人も語っているように「何も無い町で、いつも空想に耽っていた・・・」まさにその様子が描かれています。何を撮ってもプライベート・フィルムになってしまうティム・バートンですが、その原点がこのフィルムに凝縮されています。バートンがそんじょそこらのオタクと違うところは、この『ビンセント』を観ても分かるように、キチンと一般ウケ?するような娯楽性を持ち合わせているところだと思います。今回併映されている『ビンセント』と『フランケンウィニー』を続けて観ると、子供丸出しの感性で嬉々として映画を作っているのが見えてきて、微笑ましくなってしまいます。『フランケンウィニー』のファースト・シーン、フランケンシュタイン少年が家族や友人に自作の映画を披露している場面があるのですが、今でもバートンの心の中はあんな感じ、つまり「ねぇ、今度のボクの『映画」観て!観て!」って感じなんでしょう。そしてそれこそが、オイラがバートンを愛して止まない理由です。「いつまでたっても子供なんだから」と姉は言いました。「子供は楽しいぜ!」とコーディ(ストリーツ・オブ・ファイアー)は返します!このヤリトリこそが、オイラにとってのバイブルです(・_・)ヾ(^o^;) オイオイ。子供は楽しい!子供は一度やったら止められない!子供万歳!!バートン万歳!


デッカード |HomePage

My追加