Deckard's Movie Diary
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2005年03月18日(金)  レイ

最終日の最終回で、ようやく観てきました。やっぱり立ち見が出ていました。テイラー・ハックフォード監督作品、ジェイミー・フォックス主演(アカデミー賞主演男優賞受賞)、レイ・チャールズの半生を描いた『レイ』。個人的な評価はチョー大甘ですが最高評価とさせていただきました。だって、レイ・チャールズと言えば、あの高倉健だってアンディ・ガルシアとデュエットしちゃうくらい有名な歌手ですからね(笑)。そんな偉大な歌手を描いた映画なんですから!観る前から最高評価に決っています。って、大嘘ですけどね。ただ、想像していたよりは断然良かったです。とても丁寧な作りに好感が持てたし、テンポも心地良かったです。ただ、難を言えば、もっとあざとい映画的なシーンが欲しかったかも?です。ちょっとキレイに作り過ぎているのかなぁ・・・事実を丹念に追っているだけで、いまいち監督の思い入れというか描きかったコトが感じられませんでした・・・それは、この映画にレイ自身が絡んでいたからかもしれないんですけどね。


2005年03月16日(水)  ローレライ ロング・エンゲージメント あずみ2

「あの(特技監督で名を馳せた)樋口真嗣でも、この程度かよ!」と友人はその稚拙な映像に落胆し、「あの(ミニチュア映像で名を馳せた)樋口真嗣が、CGばっかりかよ!」と友人はその安直さに激怒した、ある意味、皆が漠然と期待していた樋口真嗣監督作『ローレライ』。各言う小生もまた漠然と期待していた一人でした。友人達が指摘している映像部分の致命的欠陥はまさにその通りで、ただただ頷くばかりですが、映像に関しては今回の経験を次に生かしてくれそうな気もします。個人的には、映像の稚拙さや脚本のお粗末さよりも、相当にがっかりした部分がありました。「映画を作る意識の幼稚さ!」とでも言うのでしょうか、これはもう予算とかセンスとかの問題ではありません。単に作り手の意識の幼稚さとしか思えません。

<ネタバレしていますm(_ _)m>

映画が始まって暫くは「そんなに悪くないじゃん・・・」と思っていました。オープニングから、その後の展開に期待が持てるような作りでしたし、多少は映像的に無理があるなぁ・・・とは思いましたが、これで話が面白ければ十分じゃん!ところが、ローレライの秘密が暴かれた時に愕然としました。ローレライがどのような仕組みで動いているのかは問題ではなく(個人的には全くOK!でした(笑))、重要人物である女性の描き方に驚きを隠せませんでした。これはおそらく多くの方が漠然とは感じながら、わざわざツッコミを入れないだけなコトのですが、オイラには耐えられませんでした!アウシュビッツで育ち、様々な人体実験の対象になり、油塗れの潜水艦の一箇所に幽閉され続けて来た女性が、何故にあんなにも美しいのでしょうか?まるでこれから化粧品のCMにでも出演するのかと、見間違うばかりのサラサラ髪に健康優良児のようなツルツル素肌!幾らなんでもドッチラケ!ですよ。染みひとつ無い美しい手の甲に刻印された収容者番号のアップは悪い冗談かと思いました。その瞬間から、この映画を観る姿勢がマイナス方向に大きく傾いてしまい、最後まで修正出来ませんでした。こういう演出の部分というのはお金や時間が大してかかるワケでは無く、単に意識の問題です。どんなにも優れたテクニックでリアルな映像を作り出しても、どんなにも見事な演技を役者達が披露したとしても、こんなシーンが一発でも有れば全てはぶち壊しです!もっと不健康に汚して登場させ、少しずつ本来の女性らしい仕草や表情を取り戻していくような演出にしたら、どうだったんでしょう。「しょーもない言いがかり!」と言われても、個人的にはこの一点でこの映画を幼稚な作品!と評価します。


『アメリ』で世界を席巻したジャン=ピエール・ジェネ&オドレイ・トトゥの新作『ロング・エンゲージメント』。う〜ん、つまらなくは無いんだろうけど、面白くも無い!例えば、どんなに面白い話だって、話下手の奴が話したら面白くないでしょ?欠伸しているのに気づけよ!みたいな・・・簡単に言ってしまうと、そんな印象の映画でした。ジェネのやりたかったコトは分かりますが、致命的なのはオドレイ・トトゥ演じるヒロインに全く思い入れが出来ないコトです。その原因は明らかで、二人の絆があんまり感じられないからです。つまり、もっと素直な時間の流れで作った方が良かったんじゃないでしょうか?そういう意味では“策に溺れた”演出のかなぁ・・・( ̄。 ̄ )ボソ…それでも観て損はないでしょう。ジェネが作りだす映像世界は相変わらず魅力的ですし、肌理の細かいストーリーも良く出来ています。疲れますけど(苦笑)。『アメリ』以前のジェネと比べると、明らかに『アメリ』の成功によって一皮向けた印象もしました。 それにしてもジョディー・フォスターってフランス語が上手いんですねぇ!ちょっとオ・ド・ロ・キィ〜!


『あずみ2/Death or Love』・・・とにかく緊張感に欠けるヘッポコ映画でした。映画監督なら親よりも大切にしないといけないファーストシーンから、これだけ緊張感が無い映画も珍しいのではないでしょうか。観終わって冗談ではなく「なんなんだこれは!」と叫びたかったです!監督は金子修介。金子と言えば平成ガメラシリーズで一気に評価を上げた監督ですが、前作を監督した北村が“剛”の娯楽系だとしたら、金子は“柔”の娯楽系監督と言えます。戦国の美少女剣士“あずみ”・・・ともすればキワモノになりかねないキャラクターを、北村監督は硬派な感覚で切れ味鋭く、あずみの強さを描いたのですが、そのキワモノっぽいキャラクターを柔のセンスで料理するとどうなるのか?おそらく、あずみの女性らしい部分や優しい部分が強調されるのは想像に難くありません。また、平成ガメラシリーズで、その周囲の人間模様を上手く描いていた金子なので、今回は集団の中でのあずみが描かれるかもしれない・・・などと想像していたら、まさにその通りでした。まさにその通りだったのですが・・・あまりに薄っぺらい人間描写&関係には呆れてしまいました。まるで子供向けの戦隊モノを観ているような気分です。だらだらと垂れ流されるようなストーリーは盛り上がりに欠け、魅力的なシーンのひとつもありません。陳腐としか言いようのない脚本、そして古臭く安っぽい演出の数々。平成ガメラシリーズでオイラを興奮させてくれた金子修介の輝きは見る影もありません!『恋に歌えば!』の後遺症があまりに大き過ぎた!というコトなのでしょうか・・・ちょっと悲しくなりました。


2005年03月02日(水)  セルラー

信頼出来る友人が「面白いでっせ!」と薦めてくれたので観てきました。予告編だけでは「スルー!」と決め込んでいただけに意外でした!だって、いかにもご都合主義の脚本&設定になりそうな気配がプンプンじゃないですかぁ!確かに多少そういう部分もあるのですが、そんなコトが全く気にならないほど魅力的な作品に仕上がっています。中盤、アクションシーンが多過ぎて(まぁ、ハリウッドですからね)もたもたしているので「B級サスペンス・ファン向きだなぁ・・・」とか思っていたら、後半からグングンと加速して行きます。その加速の仕方が気持ち良い!っつーか、それぞれの気持ちの部分も一緒に引き連れていくので、観ている方は感情移入がし易いですし、細かく絡んでくる脇役やちょいとしたユーモアなセンスもこの映画に広がりを与えています。ホンの数カットを加えるか否かで説得力が断然違ってくるんですよねぇ。とにかく細部まで練られた脚本が本当に上手い!携帯電話の機能や、シチュエーション、現象などが実に上手く散りばめられており、( ^o^)ノ◇ ザブトン!を何枚投げたか覚えていません!オイラなんてラストの呼びかけに思わず涙がツ〜っと流れてしまったくらいです。なんだかねぇ・・・急に気が抜けた(´―`)┌ ヤレヤレ…みたいな・・・(苦笑)。最後の言葉も気が利いており「映画を堪能した」気分にさせてくれます。まさに、時間が空いた時に「ちょいと映画でも観て行くか!」っつー気分には最適な一品!ジェシカ/ライアンはオイラにとってはジャック・ライアンよりもよっぽど素敵なキャラクターでしたわ!って、なんじゃそりゃ(笑)これで『卒業の朝』『ニューオーリンズトライアル』そして今回の『セルラー』を加えて“東宝昼間3部作”(テレ東の映画は昼間がゴールデンタ〜イム♪的解釈!分かるかなぁ・・・分かってね!)の完成です!


2005年02月24日(木)  大統領の理髪師

この2月から思うように映画が観られない生活に入ってます。このタイム・スケジュールは今年一杯続くと思いますので、観る映画は厳選しないといけません!だから、友人の評価を聞いてから観る映画を選んでいるのですが、この映画の情報を聞いた時は、そんな評価を待つまでも無く観たいと思いました。主演はソン・ガンホ!例えば『殺人の追憶』・・・元○○が、その後○○○に転身って役柄なんですが、ふと元○○の瞬間に戻るトコなんて存在感ありますよぉ。『反則王』とかでもそうなんですが、庶民をやらせたらこの人の右に出る人は居ないでしょ!実に味のある役者です。そのガンホが『大統領の理髪師』ですよ。これは必見です!映画は、ちょっともたつくような部分もありましたが(だって、監督のイム・チャンサンはこれが長編デビューなんですから、大目に見ましょうよ!)、期待していた通りの作品でした。まさに小市民のオバカさ、小賢しさ、愚直さ、楽観主義、切なさが一杯で身につまされましたし、これが人生なんだよなぁ・・・な〜んて、いつになくウンウンと頷いておりました。“親父”ってのはこういうモンなんでしょう。映画は決して甘いだけでなく、時折垣間見せる当時の韓国の時代背景がツ〜ンとくる山葵のように効いており、映画にリアルな広がりを与えています。説教臭くない山田洋次とでも言うのでしょうか、こういう映画は大好きです!やっぱり生きていく事が大事なんですよ・・・その内、きっといい事あります!ってば(願)。『オアシス』で絶賛されたムン・ソリの受けの演技も達者でしたし、『殺人の追憶』の子役のイ・ジェウンの素朴な味わいも魅力的でした。全ての脇役(大統領から練炭屋まで、その息子まで)が全く違和感が無くストーリーに溶け込んでいるのにも驚かされます。個人的にはこの家族と知り合いになりたいです(笑)。


2005年02月22日(火)  北の零年

昨年の夏にスタジオセット見学をした『北の零年』をようやく観てきました。監督は今や邦画界のエースにのし上った行定勲。個人的には行定勲がどうしてここまで評価されるのか、サッパリ分かりません。言い方を変えると、オイラには邦画界のプロデューサーってのは全く見る目が無いとしか思えないワケです(オイオイ…( ;・_・)ッ( ゚ー゚)ウキ…)。で、今回の大作で、彼の評価が決まるんじゃないかな?と思っていたのですが・・・彼もまた、あまりに日本人らしい器用貧乏タイプの人だったんですねぇ。個人的には3時間近い長尺の映画をなんとなくまとめてしまう小賢しさが大いに不満です。大して飽きもせずにツルっと観られてしまいます。それなりのストーリーを、それなりの脚本に沿って撮影していくだけが演出ではないと思うのですが・・・。前半、北の大地で再会した小松原と志乃。志乃は初めて心の内を語ってくれた小松原に嬉しいとこぼす。武士として振舞ってきた小松原が志乃に初めて見せる人間臭いシーン・・・この導入部までは良かったんですけどねぇ。その後、主君の言葉に驚愕した小松原(渡辺謙)へのライティングがガラっと変わるシーン(あの『GO』でのラブシーンを思わせる手法ですが)で、彼の心が崩壊してしまいます。小松原は、自身も挫けそうになるのを必至に隠して(←まぁ、こういったシーンはありませんが)あくまでも主君の為に、主君を立てて、皆を元気づけていたワケで、その信じていた部分が完全に覆ってしまったのですから、当然、前と後では彼の表情や立ち振る舞いにもっと差があってしかるべきなのに、その辺りの演出があまりにないがしろです。結局はラストに繋がっていく大事なシークエンスなんですけどねぇ・・・。また、ひょっとしたら重要な役どころになったんじゃないか?と思える豊川悦司演じるアイヌ?は存在感こそあれ、存在自体は悲しいくらい曖昧でした。で、曖昧と言えば香川照之の薬売りもまたどっちつかずのキャラクターです。香川照之の演技は過剰以外のナニモノでもないのですが(香川だけでなく、吉永の演技にも似たような印象を持ちました)、そういう演出の支持を受けたような気もします。いつまでたっても吉永演じる志乃がキレイなのもどうなんでしょ!『コールド・マウンテン』のキッドマン程度には汚して欲しいですけどねぇ・・・。農民を代表している平田満にしても、彼がどれだけ苦労してきたかが一切描かれず(ワンカットもありません!)、吉永の言葉だけでは、彼の行動には感情移入出来ません。また、唯一反発していた寺島進は何処へ消えてしまったんでしょう?というワケで、ほとんどの登場人物の描写が希薄なので、ダイジェスト版を観ているような錯覚に陥ります。ただ、ダイジェスト版というのは、実際にはその数倍の時間を費やしているわけですから、自然と表情や仕草に時間の流れが感じられるモノなんですが、そのような裏づけが全く無い「まるでダイジェスト版のような内容だ!」と言われるような映画は、とても辛い仕上がりになってしまいます。新しい環境で成長していくシーンや、時の流れ等をきちんと描いていればもっと奥行きのある仕上がりになったんじゃないでしょうか?例えば先住民に学ばなければ!と言っておきながら、そういうシーンは全く描かれていませんし、この冬は越せそうも無い!と言っておきながら、何も無かったように平気で春が訪れてしまう・・・逆に香川と石田の濡れ場とか、“ええじゃないか”とかのシーンが特に必要だとは思えません。また、友人も指摘していたのですが、北海道の自然が全く捉えられていないのも致命的です。大自然に囲まれている雰囲気がほとんど感じられません。だから、九死に一生を得る志乃のシーンも有り難味があんまり無いんですよねぇ。それは演出に余裕が無いからだとも言えます(予算が無い!というコトかもしれませんが・・・)。つまり、自然の風景は待っていてくれませんから「これから風景撮りま〜す!風景さん、スタンバイして下さ〜い!」っつーワケにはいきません。絵になる自然の風景なんて、いつでも撮れるワケではなく、時には役者の演技を中断したり、撮影順を急遽変更しなくてはならなかったり、過酷な条件に役者を放置しなければいけなかったりするワケです。エンディングのダラダラ加減も “大作の為の大作風な映画作り”のように感じられて仕方ありません。どうせなら北村ゴジラのように“大いなる失敗作”(なるのかなぁ・・・( ̄。 ̄ )ボソ…)にでもなれば良かったのに!ただ、そうなった場合、今の邦画界の裁量の狭さでは、行定監督への依頼を相当数減らすようなコトになるでしょう。逆に言えば、今回のように大勢では可もなく不可もない仕上げにしておけば、彼の評価はますます上がり、さらに良い企画が発注されるワケです。う〜ん、なんだかなぁ・・・こうなったら、行定監督には今回のキャリアを今後の映画作りに十分に生かして、素晴らしい映画を作ってくれることを切に願います。その為にも激辛コメントにさせていただきました。


2005年02月12日(土)  きみに読む物語 オペラ座の怪人

予告編でかなりベタベタな印象だった『きみに読む物語』。監督は云わずと知れたジョンとジーナの息子ニック・カサヴェテス。前作『ジョンQ』では、あまり輝いたところが無かったのですが、今回は良いですなぁ・・・ストーリーは予告編を観て想像出来る範囲のものでしかありませんが、そういう内容でも十分楽しめる出来になっています。恋愛映画に欠かせない全ての要素が美しいジグソウパズルの一片として作品を構築しており、何も言う事はありません。一部の人達には不満らしいのですが・・・ストーリーの進む方向が全部分かってしまっているからと言って、誰がどういう役回りなのか全部分かってしまっているからと言って、一体何が問題なのでしょう?っつーか、元々そういう作りじゃないですよ(苦笑)。冒頭、絵葉書的と言ってしまえばそれまでですが、溜め息が出るような美しいシーンの中で描かれる、ゆったりとした時の流れは、この映画のレベルを十分感じさせてくれます。また、売り出し中のライアン・ゴズリングの飄々とした中に垣間見える激しい気性や、ヒロインを演じるレイチェル・マクアダムスの、そこら辺に居る“パッっとみ、美人!でも良く見ると美人なのか鶏がら(でひ〜)なのか分からない!”っつー感じも好感触でした(なんじゃそりゃ!)。決して“傑作!”という映画ではありませんが、丁寧な作りが心に響く一品でした。


ミュージカルは絵画と同じくらい下戸のオイラです。生のステージで観たミュージカルは『スターライト・エクスプレス』(何故かNYと代々木の両方で観てる(爆))と、『タンゴ・アルゼンティーノ』の2本だけです。っつーか、2本とも“ミュージカル”と呼ぶには、かなりの疑問を感じますが・・・f(^-^; ポリポリ。で、『オペラ座の怪人』です。これだけ世間的に有名な作品が映画になったんですから、観て損はないでしょう!ストーリーは『ファントム・オブ・パラダイス』が下敷きになっているワケですから(逆だよ!)なんとなく分かってるし・・・っつーコトでチャレンジして来ました。あの有名なテーマ♪ジャ〜〜〜ン ジャジャジャジャジャ〜ン っつーホンダ・レジェンドのCMでも使われている曲で見得を切るんだろうなぁ(歌舞伎じゃないんだから!)・・・という場面をちょいと観たい気もあったりしてね(苦笑)。う〜ん・・・でも、やっぱり、ワカラン!ワカラン!何処が面白いのかサッパリワカランチンでした!まぁ、劇団四季の『キャッツ』を木馬座と間違えてしまうようなオイラにはハードルが高過ぎです。まずミュージカルが苦手な理由のひとつは、登場人物が感情を伝えるのに歌う場合が多いのですが、台詞なら1分で終わるところを詞的な表現で3〜4分もかかるワケですよ。その時間が眠たくなっちゃいます。で、その心情を告白されている相手はその間、表情の置き所が無い・・・というか、ズーっと同じような表情を持続させているわけじゃないですか、それも苦手なんですよねぇ・・・だってバカみたいに見えるんだもの・・・( ̄。 ̄ )ボソ… もうひとつは(まだ、あるんかい!)、歌い終わったのかなぁ・・・と思うと、金魚のフンのように再び歌いだすところ!終わってねぇーのかよ!と三村的ツッコミを入れたくなります。そんなオイラですから、まともな評価なんて出来ません!それでも、全編に渡って歌い捲くっていた『シェルブールの雨傘』よりは大丈夫でしたがオイオイ…( ;・_・)ッ( ゚ー゚)ウキ…


2005年02月11日(金)  復讐者の憐れみを 火火

『オールド・ボーイ』でカンヌを席巻したパク・ヌチャクが、それ以前に撮った『復讐者に憐れみを』。映画好きな友人が「『オールド・ボーイ』の300倍いいです。」と言っていたので、期待して行ったのですが・・・f(^-^; ポリポリ 全編を通してぶっきらぼうな作りとでも言うのでしょうか、観客にはおもねるような部分は全く無く思い通りに作っている印象です。前半はテンポが温く眠気に襲われてしまいましたが、復讐劇が始まる後半は素朴なテンションが持続します。登場人物の誰にも肩入れすることなく淡々と描いていくのですが、この監督特有の残酷描写というか、濃過ぎる演出が不必要に感じてしまって、いまいちピンと来ませんでした。それぞれの気持ちの部分には理解が及ぶとしても、その復讐の仕方があまりに過激で、それを受け入れられるかどうかで評価は分かれるでしょう。オイラには理解出来ませんでした。例え、復讐するコトになっとしても、ここまで残酷になれるとは思えないんですよ。そういう意味では危ない連中の復讐残酷劇になっているワケで、勝手にやってれば!という感じです。まぁ、人間の狂気の部分と言っちゃあ、それまでなんですが・・・。ただ、監督のパク・ヌチャクはこの映画の後に『オールド・ボーイ』をモノにするのですが、そういう意味で、監督論を語る場合は重要な1本と言えるかもしれません。個人的には、あまり興味がそそられませんが・・・・( ̄。 ̄ )ボソ…現在製作中の“復讐3部作”の最終篇ではどうなっちゃうんでしょうか(笑)。


田中裕子は好きな女優です。エボシ御前の声も好きでしたぁ・・・その田中裕子の久々の主演作は実在の陶芸家・神山清子を描いた映画『火火』です。神山清子は女性陶芸家の草分けであり、骨髄バンクの立上げに力を尽くした人だそうですが、う〜ん・・・ちょっと中途半端な仕上がりでした。前半はテンポも良く、神山清子の人となりの描き方も上手く期待させるのですが、後半の白血病関係の話になったとたん、難病モノの映画になってしまいました。確かに息子役の窪塚俊介はいい味を出していますし、病魔と闘う表現も悪くはないのですが、もっと清子にスポットを当てないとねぇ・・・。っつーか、清子を描くのなら、もっと以前!彼女が何故に窯に入りようになったのか?その辺りから描いてくれないと困ります。そうでないと、観ている方は彼女に対しての感情移入が上手く出来ません。何故に、そこまで焼きに見せられたのか?とかね。かといって『骨髄バンク設立に力を尽くした女性』という視点でもないしなぁ・・・なんとも中途半端でした。田中裕子の清子は魅力的だっただけに余計にもったいないんですよ。監督・脚本は『光の雨』の高橋伴明・・・随分と大人しくなりましたねぇ。また、これは映画とは関係ないことなのですが、急性骨髄性白血病の為、一時期芸能活動を休止していた吉井怜(母親からの骨髄移植で快方に向かい、芸能活動を再開したタレント)が看護婦役で出演していたのが印象的でした。


2005年01月25日(火)  パッチギ!

ヘルメットを被り、タオルで口を覆い、角棒を手にした学生達が新宿駅のホームや線路を蜘蛛の子を散らすように逃げながら暴れていた。云わずと知れた“新宿騒乱事件”。TVのニュースに映し出された映像を観ながら「すっげぇ〜!」と驚嘆したのを昨日のコトのように憶えています。その頃、オイラは新宿駅から一つ目の新大久保っつー駅にある中学の2年生でした。見慣れた場所がトンでもないコトになっているので「大丈夫なのかぉ?明日は学校あるのかぁ?」とか、不謹慎にもちょいとワクワクしちゃったりしていました。学生達が国際問題に頭を悩ませている頃、オイラのような進学校の中坊は池袋の駅で朝鮮高校(通称“チョン校”)の連中に追われたりしていました(苦笑)。他にも帝京高校(通称“便所蜂”当時は校章が蜂でした。この頃の帝京は悪の巣窟で、その後サッカーで有名になろうと、とんねるずで有名になろうと、オイラの中でメチャクチャ印象の悪い学校です)や国士舘の連中にも苛められていました。まぁ、ひ弱で色白の進学校の生徒でしたからね。あの頃は、駅の構内で「逃がすなぁ〜!」という掛け声と共に学生同士のおっかけっこ!は日常茶飯事でしたわ(苦笑)。そんな時代でしたから“暴力”というか“喧嘩”というか、今よりは当たり前だったんですよねぇ・・・。そんな時代が1968年。この映画の時代設定です。で、東京では“パッチギ”とは言わず“チョーパン”と呼んでいました。つまり、この映画はオイラの青春とほとんどダブります。予告編から♪イムジン河 や♪あの素晴らしい愛をもういちど なんか流れて来た日には、それだけで胸がちょいと熱くなっていました(苦笑)。さて本編です。おそらく、この作品は井筒和幸の最高傑作になるでしょう。たとえ“青臭い!”“嘘臭い!”“無知野郎”と言われようと、オイラは大好きです!この映画には間違いなくあの頃の空気が充満しており、登場人物の多くがあの頃の誰かに重なり、オイラを追いかけてきたチョン校の奴もまた、誰かなのでしょう。当時は、朝鮮半島の出来事や歴史等にほとんど興味など無く(っつーか、敢えて知ろうとはしなかった・・・)、目の前の“今は傘が無い!問題(音楽とか女の子とか・・・)”ばかりで精一杯でした。一度だけ満員電車の中でチマチョゴリの女子と向かい合ってしまったコトがあって、あの娘が沢尻エリカくらい可愛かったら、オイラももう少し真面目に考えていたとは思うんですけどねぇ・・・あ、そういうコトじゃないですね(自爆)。というワケですから、そんなに深い意味での歴史とかの教育とかとは全く関係無く、ただただ個人的に懐かしく、いとおしく泣けました。また、全ての役者の存在感も特筆モノです。ヒロイン・キョンジャ役の沢尻エリカの愛らしさはもちろん、アンソン役の高岡宗蒼佑と朝鮮高校生役の二人、アンソンの彼女・桃子こと楊原京子(『虎ノ門』“こちトラ自腹じゃ!”で井筒の相手役)、看護士になるガンジャこと真木ようこ、左翼かぶれの光石研も、オダギリ・ジョーのノンポリぶりも、大友康平の迫力もメチャメチャはまっています!後半、苦手な展開になったのですが、このエンディングが来るのなら「まぁ、いいか!」と納得しました。監督の井筒和幸はテレ朝系の番組『虎ノ門・映画鑑賞コーナー』で、言いがかり的な辛口コメントで多くの映画ファンから失笑を買っていますが、その仕事が良い刺激になっているような気がしてなりません。狂気の天才で無い限り、やはり色んな作品を観るのは糧になるんですよ!それにしても、面白かった!また、キャンプファイヤーでフォークギターを弾きたくなりました♪〜( ̄ε ̄;)♪命かけてとぉ〜 誓った愛もぉ〜


2005年01月19日(水)  僕の彼女を紹介します Jam Films S

友人から「お話が破綻しているのに、観客を最後まで楽しませる作品を作れる監督は、今の日本には居ないのではないだろうか。」と言われたので「おいおい!それは言いすぎだろ!」と、喧々諤々のヤリトリをしていたのですが・・・・予告編からあまりにベタなシーンばかりだし、観た人の印象もイマイチだったのでスルー決め込んでいたにも拘らず、まぁ、観ないと始まらない!っつーコトで観てきました!なるほど!そういうコトですか!オイラはコレ、けっこう好きです(自爆)。大小数多のエピソードを多少強引(まぁ、全編少女漫画風味ですから気になりません)とは言え、全てをストーリーに不可欠な要素として描いているのは脱帽モノです。っつーか、ここまでしつこく作れるのは、明らかに才能です!冒頭の友人の言葉をオイラ的に言い換えると「とにかくサービス精神が旺盛!脚本も演出もスエンセンズのロッキーマウンテン(知らねーよ!確か3800円くらいのパフェ)も真っ青な豪華テンコ盛り!日本の映画も脚本段階でこのくらい練りこんで欲しいよなぁ・・・」っつー感じでしょうか(苦笑)。さらに!感心したことは明らかに少女漫画でありラブコメなのに、銃撃戦とかの迫力は馬鹿に出来ないんですよ。この辺りの作り方も学んで欲しいなぁ・・・( ̄。 ̄ )ボソ…。で、一人思いつきました!つまり“お話が破綻しているのに、観客を最後まで楽しませる作品を作れる日本の監督ですが・・・ジャンルは違いますが『ジュブナイル』『リターナー』の山崎貴なんかどうでしょう?まだまだクァク・ジェヨンに比べたらひよっ子ですが・・・『ALWAYS 三丁目の夕日』に期待しましょう(って、期待してるんかい!)。


さて、『僕の彼女を紹介します』を観た後「友人の言った通りじゃないか!」と忸怩たる思いを胸にしながらシネ・アミューズへ向かい『Jam Films S』を観た・・・。情けねぇ!!!!!!・・・どうして、こんなにダメなんだろ・・・・『僕の彼女を紹介します』が物凄い傑作に思えてしまいました。全部で7本!1本目『Tuesday/監督脚本・園田賢次』でかなりテンションが下がったのですが、2本目『HEAVEN SENT/監督脚本・高津隆一』、3本目『ブラウス/監督・石川均』と過ぎていくうちに、いい加減腹が立ってきて、4本目『NEW HORIZON/監督・手島領』なんて全く観る価値のない駄作で、5本目の『すべり台/阿部雄一』で初めて「ああ、これは観られるわ!」と九死に一生!6本目『α/監督・原田大三郎』、7本目『スーツ/浜本正機』と再び悪夢で、Jamを食べ過ぎて吐いてしまったようなゲロ映画でした!ハッキリ言いますが、知恵遅れとしか言いようがないほど薄っぺら〜い仕上がりですよ。全てはプロデューサーの責任だと思いますね。どうして「こんな脚本、つまらねーよ!」って言えないんでしょうか?上がりが読めないのならプロデューサーなんて辞めちまえ!ひょっとしたら日本語が苦手?そうでも思わないとやってられねーよ!それにしても、水曜1000円の日だったから昼間から「アタシィ、あんまり映画は観ないんだけど、この映画はアンテナに引っかかったのよねぇ〜!」みたいな連中で、ほぼ満席だし!こんなくだらないゲロ映画(っつーか、映画じゃないだろ!コレ!)を観るんなら、コタツで丸くなってた方がマシ!っつーモンです。しっかし、どうしようもねぇな〜!


2005年01月18日(火)  ネバーランド

監督は『チョコレート』のマーク・フォスター。映画は“ピーターパン”が生まれる背景を描いた内容・・・これは期待するでしょう!主役のジャームズ・バリを演じるのは『シークレット・ウインドウ』に続く作家役(苦笑)のジョニー・デップ。相手役は毎回同じ姿形なのにカメレオンのように役に成りきってしまう(上手い!ってコトですよ)ケイト・ウィンスレット。脇を固めるのはベテランのダスティン・ホフマン&ジュリー・クリスティ。まぁ、それなりには観られますけどねぇ・・・どうにも薄味です。とにかくステレオタイプのシーン、会話、演出の連続で、観ながら「ふ〜ん、で?」「ふ〜ん、で?」「ふ〜ん、で?」と繰り返してばかりいました。それぞれのエピソードの描き方も絵本で読む程度のモノですし、30分くらい強引に切っちゃったような仕上がりです。個人的には、好みのストーリーなんで点数は甘くなってしまいますが、ハッキリ言って低学年向けでしょう。


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