Deckard's Movie Diary
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2005年07月26日(火) |
バットマン・ビギンズ |
『フォロウイング』『メメント』『インソムニア』とオイラには好印象ばかりを残しているクリストファー・ノーランの新作は、敬愛するティム・バートンが散々食い散らかした『バットマン』の新作『バットマン・ビギンズ』。そもそもバットマン自体に思い入れの無いオイラにっとって、バットマンの生い立ちなんて別に興味無いですし、ましてや予告編から“虎の穴”のような胡散臭い場所とか見せられると、またかよ!のような気持ちになって、ノーラン初の娯楽大作なのに、別に観なくてもいいや!とスルーを決め込んでいたのですが、ひょんなコトから観ることになっちまって・・・!ところが!観る前の予想を覆して、個人的にはかなり面白かったです。今までの作品でも「本当かよ?」のストーリーを脚本の細部を煮詰めるコトによって、観客を煙に巻いてきたノーランの真骨頂と言える出来になっています。井戸落ちから両親の殺害までのシークエンスでのトラウマの作り方とか、その井戸落ちで暗示された言葉が、燃え尽きた家のエレベーター降下シーンに繋がっていたりする辺りも、さすがはノーランです(他にも上手いセリフが多数あります)。そういう意味で、この映画は紛れも無くクリストファー・ノーラン節が炸裂した作品と言えます。「『バットマン』か・・・、よっしゃ、オレはこう作る!」と、ノーランの狙った通りの仕上がりになっているような気がします。そしてそれこそ、映画作家としての面目躍如!もちろん、この仕上がりを全く受け入れられない人達も多いでしょう。でも、オイラのように、映画を観る時に、ジャンルの概念に拘ったりしない人間(戦争映画にセックスシーンが出てきても全く気にならない輩(/・_・\)アチャ-・・)にとっては、面白ければいいんです。ルーカス・スピルバーグ以降、その亜流のようなハリウッド系エンターテインメント監督ばかりの中、何を作っても自分の色に染めてしまう監督は貴重です。ティム・バートンのように派手な色もありますが、ノーランのように、地味ですが、しっかりと自分のカラーを持った監督にも好感を持ちます。まぁ、そうは言っても、そのカラーが自分に合わなきゃ最悪ですが(苦笑)。
さて、アクションシーンですが、これは多くの人が指摘している通り、クローズアップばかりの積み重ねで良く分かりません。おそらく、ノーランはアクションシーンのロングショットを撮ると、ウソ臭く見えてしまう・・・と、考えたような気がします。撮影して編集はしたんだけど、後からロングショットはほとんど外してしまったんじゃないでしょうか。まぁ、明らかに消化不良ですけどね(苦笑)。
また、この映画はキャスティングが絶妙です。まず、バットマンに扮するクリスチャン・ベールですが、あまりにハマっているのには驚きました。この人ってどう考えても、マトモな役柄よりも『アメリカン・サイコ』や『リベリオン』、最近では『マシニスト』とかでの“病んでいる役”をやらせると天下一品だと思います。バートン版のマイケル・キートンも、何処か影のある雰囲気を出していましたが、ベールの断然上でしょう!っつーか、バートン版のバットマンなんて単なる脇役でしたしね(苦笑)。で、ベール扮するブルース・ウェインなんですが、このキャラクターはとにかく堅物です。おそらく、死ぬまで“正上位”だけの人物です(笑)。そんな超堅物ですから、物事を生真面目に考えます。人々に恐怖を与えるシンボル(この「“シンボル”が必要だ!」と自分で盛り上がるシーンも好きなんですよねぇ(苦笑))それは、自分のトラウマでもある“こうもり”だ!“こうもり”は怖いぞ!アレだけ怖いモノは他にありゃしない!ってなワケで、その姿で人々の前に登場すれば、皆が怖がるぞ!って、そりゃ、あまりに短絡的ですが、その発想が超堅物!そんな発想を実践するのは超堅物か、または対極に居る酔狂過ぎる人間、つまり色々やり過ぎちゃって、逆に正上位が新鮮な人間のどちらかです(笑)。というワケで、クリスチャン・ベール扮するブルース・ウェインだったら、あの姿も納得出来るのです(・_・)ヾ(^o^;) オイオイ。
マイケル・ケインとゲイリー・オールドマン・・・実は彼らが出ているのを知らなかったんですが、お二人ともいい味を出しているんですよねぇ。モーガン・またかよ・フリーマンも今回は“またかよ”ニュアンスが控えめですし、さらに!『28日後...』『真珠の耳飾の少女』のキリアン・マーフィーなんですが、コレは拾いモノでした。せこくて、嫌らしい役を好演です。個人的には唯一、あの汚職警官だけが、あまりにチンピラだったかな。え、フィービー・ケイツ似のケイティ・ホルムズですか?嫌いじゃないですが、ちょっと大人になりすぎたかな?(って、どういう意味だよ!)
というワケで、オイラは好感触派!キョロ(・_・ ))(( ・_・)キョロ ダッシュ!ε≡≡≡ヘ(; -_-)ノ
2005年07月20日(水) |
スター・ウォーズ EP3/シスの復讐 |
「昔は面白かったんだけどなぁ・・・最近はしょーもないトークと、タレントいじりばっかりで、はっきり言って昔の名前で食ってます!だよなぁ!」・・と、まぁ、そんな印象でした。『スター・ウォーズ EP3/シスの復讐』・・・このEP1〜3のシリーズはマジでどーでも良い3部作になってしまいました。このEP3も単に、1977に年世界を席巻した映画界の金字塔『STAR WARS』にバトンを渡すだけの作品でした。このシリーズが世界に歓迎されたのは、根底に流れる単純明快な血湧き肉踊る冒険活劇だったからだと思うんですよ。もちろん、ダースベイダーも、ライトセイバーも、ファルコン号も、「May the Force be with you」も「I’m your father!」も魅力的ですが、それはあくまでも華であったり幹だったりするワケです。やはり、それらを支えているのは“冒険活劇”という根っこです。今回のシリーズは華と幹ばかりで、根っこが全く感じられません!だから、どうにも薄っぺらい印象しか残らないんですよ。CGで作られた派手な演出ばかりで、赤ちゃんから墓場まで誰もが簡単に思い入れ出来るような内容がありません。EP2で延々と描かれたアナキンとパドメのよろめきシーンなんて、前シリーズならハン・ソロとレイアの目が合うワンショットで終わっているようなシークエンスですよ(そのわりに、アナキンの心変わりはアッサリ!だし(笑))。一事が万事、ヌルいんですよねぇ。ジェダイの騎士はただ偉そうに会議しているだけで、ヨーダ以外は間抜けだしね。個人的に思うことはEP1からEP3を2時間半くらいにまとめちゃうと、もっとシャープに観えるんじゃないでしょうか?それくらいのテンポなら、アナキンの心変わりの早さとかも気にならなくなると思うんですよね。誰かDVDを編集して作ってくれないですかね(笑)。
H・G・ウエルズ原作の往年の名作をトムクル&スピでリメイクした『宇宙戦争』。正直、もうちょっとどうにかならなかったのかなぁ・・・というのが感想です。相変わらずオープニングの作りは抜群です。いつものコトだよ・・・大したコトないよ・・・ちょっとおかしい・・・おいおい大丈夫かぁ?・・・・これはヤバイぞ!っつー感じなんですけど、上手いです!これぞ!映像演出の醍醐味というか、全てのテクニックを駆使して観客を引き込みます。でもねぇ・・・物語が進むにつれて、どんどん失速していくんですよねぇ。そりゃ、「水が苦手でしたぁ!」なんつーオチの映画よりは出来は良いと思うのですが、「水が苦手でしたぁ!」映画はディテールの散らばし方は手が込んでいて、そういう意味では嫌いじゃないんですが、この映画はその辺りの説得力というか、ストーリーの中での混ざり具合というか、ないがしろなんですよねぇ。ラストもなぁ・・・楽観的過ぎてシラけましたわ。まぁ、スピだから仕方ないのかなぁ・・・。終わってトイレに入ったら、オチに) ̄ε ̄( ブー) ̄ε ̄( ブー言ってる連中の多いこと(苦笑)。何だか、最近の近未来映画を散々観まくった若い映画ファンが後から『ブレードランナー』観て、「なんでこの映画って、そんなに人気あるの?」と言ってるようなシーンに被りましたわ(苦笑)。でも、今回ばかりはスピにも責任あるよなぁ・・・。っつーか、ピーター・ジャクソン・・・CGかと思ったわ(笑)
2005年06月15日(水) |
リチャード・ニクソン暗殺を企てた男 |
『リチャード・ニクソン暗殺を企てた男』は製作にレオナルド・デュカプリオ、アルフォンソ・キャアロン、アレクサンダー・ペインと名を連ね、主演がショーン・ペン。新人監督とは言え、かなり気になっていたので早々と観て来てしまいました。前編に渡ってほとんどショーン・ペンの一人芝居が続くのですが、素晴らしい!の一言に尽きます。立ち振る舞いはもちろんのこと、表情を構築する皺のひとつひとつの動きまで完璧です。おそらく、ショーン・ペンが居なかったら、この映画の完成度は格段に低くなったような気がします。
簡単に言ってしまえば、金持ちの次男坊で何の不自由も無く育ったボンボンが社会に出たところ、その純粋培養から生まれる正義感や理想論が全く通用しなかったので「こんな世界は間違っている!!!」と自爆してしまう話です。また、くだらねぇ〜プライドが高すぎて現状が全く見えないアホな男の話という見方も出来るでしょう。確かに間違ってはいないし、否定もしません。ただ、オイラにはあまりに悲しく、切なすぎる映画でした。誰も信じないでしょうけど、個人的には“企てた男”と被る性格を持っている自分としてはかなり重たかったです。観終わって後からもジワ〜っと泣けて来てしまいました。特に子供を抱きしめるシーンが忘れられません。
現実の世の中には、嘘八百ほどではないにしろ人の迷惑を顧みず、上手くやっていい思いをしている輩はたくさん居るし(っつーか、資本主義ではそういう輩の方が成功し易かったりするし、言葉は悪いけど、ある程度“相手を騙す”という手法も容認されているワケです。)逆に、真正直に生きながら、辛い生活をしている人もたくさん居ます。もう少し上手くやれればなぁ・・・と、分かっていながら、それでも正直にしか生きられない人間も居ます。金持ちの次男坊で甘ちゃんのオイラは地道に正直に生きている人が幸せになって欲しいと思うし、そういう世の中であって欲しいと願っています。まぁ、オイラは「モノより思い出」とか言いながらモノを売る為の広告とか大嫌いな人間ですからね(苦笑)。正直者は馬鹿を見る(嫌な言葉だなぁ・・・)というより、この映画の場合は、正直“過ぎる”者なんですけど、もし、彼のような人間が自分の周りにいたら・・・やはり、鬱陶しく感じると思います。つまりは、そういう風に感じてしまう自分も、ただの(嘘八百ではないにしろ)嘘吐き資本主義野郎!と自己嫌悪にも陥ってしまうような、あっちこっちから辛い気持ちにさせられる映画でした。でも、映画を観て、そう感じた気持ちは忘れたくありません。
因みに、オイラの祖父は一代で財を築いた人だったのですが、父に聞く限り・・・その商売の仕方は相当えげつなかったそうです。逆に父は生真面目過ぎて祖父の逆鱗に触れてましたわ・・・オイラにはどちらの血が流れているのかなぁ・・・・・( ̄。 ̄ )ボソ…。
2005年06月11日(土) |
ミリオンダラー・ベイビー フォー・ガットン |
昨年の、まだ浅い春だったと思います。いつものように時間潰しで書店を散策していた時にふと目に付いた単行本・・・10年前に書店に並んでいたとしても、はたまた10年後に出版されたとしても、特に違和感があるとは思えない表紙。シンプルで普遍的なデザインと言えば聞こえはいいのですが、要は何所か垢抜けない装いでもあり、いかにも泥臭いボクシング小説にはピッタリの井出達で、まるで勝ち負けを繰り返しながら、リングをさ迷い続けているボクサーのガウンのようでした。『テン・カウント』と印されたハードカバーは6本の短編から成り立っており、著者はF・X・トゥール。ふ〜ん・・・FX?とは、また不思議な名前だわ!と思いながら、パラパラとページをめくり、結局は2310円という値札に恐れをなしてその場から立ち去ったのでした。
アレから1年・・・まさか本年度アカデミー賞4部門受賞の『ミリオンダラー・ベイビー』が、あのハードカバーの中の1篇だとは・・・・全く気がつきませんでした。悪い映画ではありませんでしたが、評判ほどの魅力は感じませんでした。出来が良いとはとても言えない仕上がりが大いに不満が残ります。中途半端な描き方(例えばモーガン・フリーマンの役柄)としか思えない、いまいちピンと来ない部分(チャンピオンの勝ちってのが理解出来ないです)というか謎(何故にゲ―ル語なの?)というか、そんな部分が多くてなんだかなぁ・・・だったのですが、テーマは好きだったので、観終わった印象は悪くありませんでした。個人的にはヒラリー・スワンクが全てのような気もします。
というワケで、忘れもしない1年前!2310円の高い壁に敗れ去ったこの映画の原作である『テン・カウント』が文庫本(文庫本の題はもちろん『ミリオンダラー・ベイビー』)として発売されたのです。まぁ、当たり前ですな。で、早速780円を払って手に入れ、通勤時に貪り読んだボクシング小説は、まさに珠玉の六品!70ページほどの『ミリオンダラー・ベイビー』は、映画よりもシンプルで、切れ味鋭い右ストレート!という印象でした。映画はこの短編集のいくつかのエピソードを一緒くたにしてるんですね。そのせいで、いまいち消化しきれていない部分を感じてしまうのかもしれません。個人的には『ブラック・ジュー』が好きかな(苦笑)。場末の宇宙を覗きたい方にはお薦めです。もちろん、映画じゃなくて小説の方ですよ。
あ〜忘れたい!観たことを忘れたい!積極的に忘れたい!もちろん、映画は『フォー・ガットン』!なんだよこれ!最近のハリウッドはこんな脚本でもOK!なんですかねぇ?これじゃ、何でもありじゃん!観始めて15分でヤバい!と感じ、30分でネタバレして、その後は退屈の極みでした。しかしまぁ・・・開いた口がふさがらないっす。本年度ワースト1かも(苦笑)。
2005年05月21日(土) |
キングダム・オブ・ヘヴン |
いい加減、辟易している最近流行の史実モノ!と見られている『キングダム・オブ・ヘブン』。まぁ、仕方ないですね・・・ただ、監督がリドリー・スコットだったので腐っても『ブラックホーク・ダウン』っつー感じで(いいのかぁ?)観に行って来ました。『キングダム・オブ・ヘヴン』。
なるほど!さすが、リドスコです!ストーリーが地味なので、勧善懲悪の活劇物を期待する観客には不満が残るでしょうけど(それでも合戦シーンには観るべきモノがありますが・・・)、個人的には気に入りました。何と言っても今だからこその意味あるストーリーに好感触でした。また『グラディエーター』の時には妙に洗練された映像を撮っていたリドスコが今回は渋〜く決めてくれています(笑)。確実に言えるのは、このストーリーではアメリカでは全くウケないでしょうね(苦笑)。
優男の印象が強いオーランド・ブルームですが、今回は男も惚れるキャラクターを美しく演じています。また『ドリーマーズ』でも魅力的だったエヴァ・グリーンですが、妖しい瞳でエキゾティックな香りを振りまいています。レイチェルとプリスを足して2で割ったような印象とでも言うのでしょうか・・・とまぁ、褒めてはいるのですが、大いなる不満が残ります。登場人物の内面の描き方があまりにも蔑ろなんですよ。『ブレードランナー』でアレだけの世界を作り上げながら、キチンと人間の内面に迫ったリドスコが、こんなにも薄っぺらい描き方というのは、ちょっとガッカリでした。DC版があるのなら、早く観てみたいです。
2005年05月17日(火) |
ベルンの奇蹟 海を飛ぶ夢 インファナル・アフェア3 |
とにかくサッカー物に弱いです。だから『青春とはなんだ』よりも『これが青春だ』ですし、『でっかい青春』よりも『すすめ青春』です(わっかんねぇだろうなぁ〜)。というワケで『ベルンの奇蹟』です。オイラが生まれた年のワールドカップでドイツ代表が起こした奇蹟は、敗戦に打ちひしがれるドイツ国民に大いなる勇気を与えた出来事だったようです。日本でも、戦後まもないロンドン・オリンピック(敗戦国のドイツと日本は参加を許されなかった)での水泳競技会と同じ日に日本で競技会を開催して、遠く離れたロンドンでの決勝記録を大きく上回る記録を残して溜飲を下げたように、スポーツというのは不思議な力を持っているモンなんですよね。物語はちょっとチグハグな印象が残るものの、気に入りました。一番良かった部分は、とにかく美術が素晴らしいです。特にラストのベルンでのサッカーシーンが良く出来ているんですよねぇ!プレイも今のようなトータル・フットボールじゃなくて、古臭くて良いです。他にも、敗戦国ドイツの中でのアメリカナイズされたスノッブな生活シーンとか、興味深い場面も多く観て損はないでしょう!
『海を飛ぶ夢』です。この映画の狙いが何処に在るのか・・・オイラには一生分からないと思います。メチャクチャ底の浅いドラマにしか感じませんでした(; ̄ー ̄川 アセアセ
基本的な疑問として、何故に多くの周りの人々が彼の自殺を止めようとするのか全く理解出来ません。彼は五体満足で自殺サイトで仲間を募って集団自殺しようとしているワケじゃありません。四肢麻痺の状態で30年も!30年も!生きて来たんですよ。好きなようにさせてあげればいいじゃないですか!(まぁ、宗教上の問題なんですけどね・・・)
遠い昔、田宮二郎扮する直江先生は言いました。「出来ることなら私が代わってあげたい・・・それは、自分がその人間と絶対代わることが出来ないのを知っているから言ってるんだ!」。そんな言葉が思い出されました。主人公ラモンの周りにいる多くの人間は自己満足ばかり欲している自分勝手な奴らです(家族は違うんですけどね)。
物語の最初の方で、DJの女性がラモンのところにやってきて、彼女の言葉を聞いたラモンがコテンパンにやっつけます。「おお!これは、ちょっと期待出来るぞ!」と思ったのですが、物語はそこから全く前に進みませんでした。125分の間、延々と同じことを手を変え品を変えです。
コテンパンにやっつけた後はもっとラモンの内面に迫ると思ったのですが・・・彼は自分の置かれた状況を把握した後、いつから死にたいと思っていたのでしょうか?その日からなのでしょうか?5年後からなのでしょうか?10年後からなのでしょうか?それでも死ななかったのは何故なんでしょうか?何か希望があったのでしょうか?何か生きがいはあったのでしょうか?何かやりたいコトがあったのでしょうか?それとも、友人知人に励まされたからでしょうか?ただただ惰性に流されるままだったのでしょうか?自分だったら、とても30年も生きてられません。どうせなら、もっとラモンの内面にグイグイと突っ込んで欲しかったです。抽象的な表現だけで満足出来ません。
この映画の収穫は驚異的なアレハンドロ・アメナーバルの演出力だけでした。自分は編集者・フリアみたいな人間ですから、とやかく言う資格はないかもしれませんけどね。
めちゃくちゃ期待していた『インファナル・アフェア3〜終極無間』。なんだかなぁ・・・方向は悪くないんですけどねぇ・・・っつーか、ケリー・チャンとか出すなよ!一番要らない部分をフューチャーするとは(苦笑)。このストーリーの骨子は十分理解出来ますし、最初に言ったように方向性は間違って無いと思いますが、前2作の切れ味が全く無く、ただダラダラと描かれています。全編に渡って、同じスタッフが作ったとは思えないほど緊張感がありませんし、エンディングもどうしようもなく金魚のフン状態です。また、今作で初登場となったレオン・ライも可愛そうなくらい存在感が(本人の魅力とは関係無く)ありません。正直な話し、出来れば観たくなかったですね。自分の中では無かったコトにします。キッパリ!
2005年04月16日(土) |
真夜中の弥次さん喜多さん |
“クドカン”こと、あの宮藤官九郎の初監督作品(もちろん脚本もです。)『真夜中の弥次さん喜多さん』です。う〜ん、やっぱりね(苦笑)。早い話、クドカンのアホな部分のオンパレードでした。だから、(そんなモノがあるのかどうかワカランが)完璧なヴァラエティ映画です。とにかくおバカでテンションが高く、うるさい!昔(71年だったかな・・・)、『お荷物小荷物』というドラマがあり“脱ドラマ”なんて呼ばれた時があったんですが、クドカンのセンスってその辺りとちょっと似ているんですよね。まぁ、何でもアリ!ってコトなんですけど、全編を通して強烈に引っ張るモノが無いですから、どうしても飽きちゃいます。それなりに笑えますけど、それだけ!というワケでシネマ・ライズでは大うけしていました(苦笑)。
2005年04月11日(月) |
コーラス 隣人13号 カナリア |
フランスで大ヒットした『コーラス』。悪い映画ではありませんが、ハッキリ言って“良く出来たTVドラマ”程度の完成度です。予告編で想像出来たストーリーがそのまんま展開され、全く裏表がありません。映画としては食い足りない印象が残り、まるで底上げされた鰻丼のようでした。放ったらかしにされたままの部分もどうなんでしょう?そんなんでいいんですかねぇ・・・ちょっと疑問が残ります。さすがに、『野ばら』を彷彿とさせる美しい歌声は聴いているだけで背筋がピンとなりますが・・・それだけかなぁ・・・( ̄。 ̄ )ボソ…
予告編から、ちょいとそそられていた『隣人13号』。監督はMV出身の井上靖雄。初監督作品ですが、その映像センスはこの映画に関しては十分魅力的です。二重人格の描き方なんて達者だなぁ・・・と思わせてくれますし、間の取り方も上手いです。ただ、単純なストーリーなのに長過ぎるので全体的に散漫な印象が残ります。エンディングに向かって、そのパワーが凝縮しないというか・・・。それでも、この手のストーリーとしては着地の仕方は悪くないので好感触でした。ちょっと惜しいなぁ・・・(またかい!)。個人的には原作よりもまとまっていると思いますし、エンディングの解釈も好きです。 それにしても、最近の活躍が目覚しい小栗旬ですが、なかなか良い雰囲気が漂ってますねぇ・・・( ̄。 ̄ )ボソ…
『害虫』で、なんじゃこりゃ?とガッカリさせて、プログラム・ピクチャーの『黄泉がえり』で「やれば出来るじゃん!」と感心させてくれた塩田明彦最新作『カナリア』。またまた、難しい題材にチャレンジしたもんですねぇ・・・。う〜ん、どうなんでしょう。オイラはダメでした。言わんとしているコトは分かるんですが、130分を越える時間をかけているにはあまりにも平板です。子供にとっての親、大人にとってのカルト宗教・・・盲目的に信じていたモノに裏切られた時、又は信じられなくなった時、子供は、人は、どうなってしまうのか?どう行動するのか?自己完結の技を持っている大人は不器用ながらも社会に溶け込んでいくけれど、そんな技を持っていない子供達は何度も溺れそうになりながらも生きていく。それが大人には無い子供が持つしたたかなバイタリティってコトなんですけど、ラストの描き方も含めて陳腐というか、乏しい印象でした。意味不明なカップルを登場させている暇があるのなら、もっと我武者羅に対象に迫って欲しいんですけどねぇ・・・もちろん、それぞれが曖昧な描き方でも構わないんですが、だからといって上澄みだけをすくい取って、後は表情で!みたいな演出されてもなぁ・・・オイラはピンと来ません。そりゃ、喋らない表情の良さとかも分かりますが、逆に言えば喋らせるコトを怖がっているような気もします。別にベラベラ喋れ!って言ってるワケじゃなくて、一言二言でいいんですよ。だいたい、女性は良く「日本人の男性って“好き”とか“愛してる”とか言ってくれないんだからぁ!」とか文句を言うワリには、こういう映画には甘いんだからぁ!あれ?なんかヘンな方向に行っちゃったわ(>_<)アチャ!話を戻します!チラシに書いてある宣伝文句・・・なにが“息を呑むラスト”なのか?どこで“魂が揺さぶられる”のか?サッパリ分かりませんでした。それもこれもオイラがかなり歳を重ねてしまったからなのでしょう。
2005年04月09日(土) |
エターナル・サンシャイン アビエイター |
ジム・キャリーとケイト・ウィンスレットという魅力的なキャスティングの『エターナル・サンシャイン』。結論から言わせてもらえば、今回もまた、このスタッフ(チャーリー・カウフマン、ミッシェル・ゴンドリー、今回はスパイク・ジョーンズは絡んでいませんが・・・)は広げた風呂敷をキチンとたためていませんでした(苦笑)。結局のところ、中心人物であるチャーリー・カウフマンは映画作家というよりは、仕掛け屋って印象なんですよね。なぜなら、観客が引っかかりそうなアイテムやシーンをばら撒き、最終的な解釈は観客に委ねてしまう方法ばかりだからです。そこには作家としての確固たる意思(全ての作家に確固たる意思があるとは思っていませんが・・・)あるワケではなく、「コレを観た貴方はどう感じるのかな・・・ふふふ」とほくそえんでいるようにしか思えません。もちろん、色んな解釈が成り立つようなストーリーでも構わないんですが、彼の場合は最初からそこだけ(観客を巻き込むような仕掛け)に狙いがあるような気がします。だから、ユニークに感じるんじゃないでしょうか?謎解きや深読みする観客にはウケるとは思うんですけど、個人的にはちょっと鬱陶しいです。だって、幾らでも分かりやすく作るコトが出来るだろうに、わざわざ複雑にしているんですもの(苦笑)。それでも今回は“恋愛”という分かり易いストーリーに絞っているので、これでまの作品に比べたらまとまっていますし、完成度は高いかもしれません。まぁ、途中はほとんどミュージック・ビデオですけどね。髪の毛の色で工夫なんぞしているのですが、それもまた個人的にはなんだかなぁ・・・。と、文句ばかり並べていますが、正直告白すると、途中で物凄く切なくなっちゃったんですよ(苦笑)。頭の中で、何度も埋めては掘り起こされる甘く苦い思い出・・・反芻される様々な感情(オイラの場合は後悔ばかりなんですが・・・)。それは、恋愛を経験した者なら誰もが思い当たる鼻の奥がツンとなる症状です。この映画を観ると、そんな心の奥底を刺激されちゃいます(苦笑)。というワケで、観て損はないでしょう!
スコセッシが再びデカプリオと組んだ新作『アビエイター』。オイラが絵画音痴なのは羞恥?の事実です。どんなに評価の高い絵画を観ても「ふ〜ん・・・」っつー印象しか脳内に浮かばないのです。ある意味、ナイナイ脳みその中にその手を感知するチップが無いのでしょう。そりゃ、好き嫌いくらいはありますが、感激とか感動とかとはほど遠いです。あのラファエロがダ・ビンチの工房でモナリザを目にした時、その完璧な美しさに感動し、脚の震えを抑えつつその場に佇み涙を流したという逸話がありますが(あるの?)、オイラには全く理解の及ぶ話ではありません。というワケで『アビエイター』です。確かに力作ですし、素晴らしい作品なのですが、個人的には美術館で接した数々の名画ような印象でしかありませんでした。色彩設計も美術も撮影も素晴らしいですし、出演者それぞれの存在感も特筆ものですが、面白い映画だと思いませんでした。だって、描かれているコトが、単に金持ちの戯れにしか見えないんですもの(苦笑)。スコセッシは昔に比べると確かに上手くなったし、見せ場の演出も巧みになりましたが、後期の黒澤と同じように何処か平均化されていて魅力に欠けます。親分が仰っているようにスコセッシは狂気を描いてきた映画作家ですが、おそらく年齢を重ねていくにつれて、若かりし頃には充満していた得たいの知れないパワーが希薄になってしまったんでしょうか?それでもオイラはスコセッシが描くハリウッド版『インファナル・アフェア』が観たくて仕方がありません!堂々たるハリウッド版が観たいなぁ・・・・( ̄。 ̄ )ボソ…
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