Deckard's Movie Diary index|past|will
『M:i:III』・・・タイトルだけだと分かり辛いですが、要は『ミッション・インポシブル3』です。まぁ、個人的には『スパイ大作戦3』なんですけどね(苦笑)。トム・クルーズが制作も兼ねているシリーズ第3弾。簡単に言ってしまえば、デ・パルマ監督作の『1』は玄人受けする作品、ジョン・ウー監督作の『2』は単にトムチンだけが大活躍の内容で“スパイ大作戦”のニュアンスなんて全く無い作品、で、今作ですが、誰が観てもお金を払った分だけは十分楽しめる仕上がりになっています。特にバチカンシーンまでは今までで一番面白い!これこそ、“スパイ大作戦”だよ!と膝を打ってしまいました(笑)。ところが、後半は例によってトムチン大活躍映画になっちゃいました。残念だなぁ・・・(苦笑)。結果的にトムチンが大活躍してもいいんですけど、仲間のフォローを忘れて欲しくないんですよ。その辺りがキチンと描いてくれないとオイラ的にはダメです。例えば、上海での振り子作戦なんか、TRYするのはトムチンでも、絵を描くのは他の誰かにやらせればいいのになぁ・・・と思ったりもします。それと、もっと小技の仕掛けを作って欲しいですね。あの有名なラロ・シフリンのテーマは指先でコチョコチョとやっている時にこそ!ハマると思うんですよ!もうちょっとなんだけどなぁ・・・(苦笑)
あのギリアムの新作『ローズ・イン・タイドランド』。全編に渡ってヒロイン?ジェライザ・ローズ(ローズ役のジョデル・フェルランドは驚異的な魅力を振りまいています!)の独白で進み、スクリーンには彼女の頭の中と現実?が交差するように映し出されていきます。そこにはギリアム特有の映像やキャラクターが所狭しと踊っていますが、どうなんでしょ(苦笑)。それなりに楽しめますが、ストーリーはあまりに散漫です。で、ラストシーンです。ここだけが異常に現実味があります。つまり、彼女はその事故で両親を亡くした孤児と捉えることも出来るワケで、それまでの話は全て妄想、空想の類なのかもしれません。まぁ、今作は子供とか少女とかの頭の中にチラチラと浮かぶ狂気をダラダラと映像化したような作品です。ハッキリ言って完成度は低いですね。観るのはギリアム好きな方だけでいいんじゃないでしょうか。主演のジョデル・フェルランドがカナダの子役だそうですが、個人的にはダコタ・ファニングより魅力的でした。なそれにしても、ジェフ・ブリッジスはこういう役も上手いですねぇ・・・まぁ、クリス・クリストファーソンも上手いですけど、クリスの場合は酔っ払いのくせに、ちょっと説教臭いんですよね(笑)。
しかし、本当に日本映画は大丈夫なんでしょうか?そんな感想しか浮かばない『日本沈没』です。酷い!あまりに酷い!この脚本って、マジで最悪でしょ!この映画を観て、本当に面白いと思っている人って居るんですか?ハッキリ言って、どうしようもない駄作!全く!と言ってイイほどダメダメです。観るべきモノは映像のトーン、それに音楽くらいでしょうか・・・。『日本沈没』・・・その“日本”にある意味もまた、ほとんど手付かずでした・・・。
『チョコレート』で名を挙げたマーク・フォスター監督の最新作『ステイ』。この監督は珍しく邦画に通じるウェットな部分を持った人だと思うのはオイラだけでしょうか?で、この『ステイ』ですが、実に興味深い映画でした。個人的にはかなり好感触の1本です。色々書くとネタバレになるので、詳しく書けないのですが、この映画を観て一番感じたことは“生きる、生きたい、生きていく、というコトは『想像』し続ける”というコトです。この映画を観てどう思ったか・・・これは、その人が『生』とか『死』をどう捉えているかに寄って、かなりの差が生じます。それは年齢に寄ってもかなり違うかもしれませんし、一概に言えることではありません。ただ、オイラみたいに50歳を過ぎると、若い時と何が一番違うのか!というと“死”というモノを身近に感じる事が出来るコトなんですね。ある程度の人生経験(恋愛、仕事、子供とか・・・)をして来ると色々なモノが見えてきます。で、全く見えて来ないモノが“死”だけなんですね。そういう意味で興味だったり、恐怖だったり、未知との遭遇のようなモノとして存在しています。死にたいとか、無気力とかとは違うので誤解しないで下さい。突発的に死に直面した時「許してくれ、死にたくない、生きたい、でも、ごめんなさい、みんな助けて、誰かぁ?」と様々な思いが交錯す中、脳裏に浮かんだモノ・・・それは想像力が成せる技なんですね。で、その想像力こそが生きている証なんじゃないでしょうか?やっぱり、パズルゲームばかりやって時間を無駄に消費していてはダメですね(/・_・\)アチャ-・・。
『さよなら、僕らの夏』は悪い映画では無いですけど、特にお薦めでもありません。あまりにもそのまんまなんで物足りません。良かったのはジョージのキャラクター設定ですね。こういう奴って居るんですよ!・・・でも、こういう奴だって人間だし、殺して良いワケじゃありません。生きている時は「死ねばいいのに!」と思ったとしても、そんなコトが現実になるほど恐ろしいコトはありません。ちょっとした悪戯から人生に降りかかってきた悲劇・・・さぁ、彼等はどうするのか?ところが、映画はそのまんまを生真面目に描いていくだけで、そこには作り手の思い入れが感じられません。一体、何が言いたかったのでしょうか?十代ならではの心模様、葛藤をナイフでグリグリとえぐってくれないので、まるでそこらへんに転がっているTVドラマのようです。ちょっと期待しすぎたかな(笑)。
“天才と秀才の戦い”という知識しかない『デスノート』。観終わって最初の感想は「金子修介、復活したじゃん!」でした(苦笑)。『あずみ2』でボロボロだったので、ちょっと心配していたんですが、まだまだヤレば出来るじゃん!それにしても、金子はこの手の非現実的な世界が上手いですわ。まぁ、欲を言えば、まだまだ青臭い(もっと緊張感を研ぎ澄まして下さい)ので、もうちょっと精進して欲しいですけどね。相変わらずちょっとルーズなんだよなぁ・・・(って、オレって何様(苦笑))。
予告編でけっこう惹かれた『ココシリ』です。言葉を失うような環境の中で生きていく人々を描く・・・例えばバフマン・ゴバディ監督が描くクルド人映画とか、フィリピンのスモーキーマウンテンに住む子供たちを描いた『神の子たち』とかが思い出されますが、今作も似たような印象を持ちます。こういう状況に追い込まれると、人間にとって何が正しくて、何が悪いのかが分からなくなります。炙り出される矛盾は、日々是平和を満喫している自分にとってはまるで別の星の出来事です。ただ、このような事実があったことを世の中の人々に知らしめる作品としては、その責務を十分の果たしているとは思いますが、1本の映画としては物足りない部分が残ります。その悲惨な環境の中、無償で頑張る人々を突き動かしているモノは一体何なんでしょうか?単にココシリを守りたい・・・と言われてもなぁ・・・それとも、それが分からないオイラはやっぱり平和ボケ人間なのでしょうか?人を拒絶する厳しさも、人を癒す優しさも、神々しいまでの美しさに溢れているだけに惜しまれます。それにつけても、中国って国は・・・・・・・・( ̄。 ̄ )ボソ...
自身でも予想外だったらしい『下妻物語』のヒットにより一躍邦画界で注目の監督になった中島哲也。新作はベストセラー小説の映画化『嫌われ松子の一生』です。公開前から主演の中谷美紀の『嫌われ松子の一年』という告発?本も発表され、その壮絶な舞台裏が披露されたり、TBSがフジに負けずとプッシュしたりしているので話題性は十分です。朝一番(1000円)の鑑賞(渋谷シネ・クイント)でしたが、7割がた埋まっていました。客層は、もっと若い人がほとんどかと思っていたのですが、意外と老若男女を問わずでした。予告編が終わって、始まった!と思ったら、初っ端から大音響に乗って怒涛の如く、観客の首根っこを掴んで強引に物語に引きずり込みます!今回も『下妻物語』のテイストを踏襲して、その手法は格段にパワーアップ!そういう意味では、前作が苦手だった人にはお薦め出来ません!全編を通して、中島監督の「不幸な物語だからこそ“ミュージカル”という手法が生きる!」と判断した狙いが鬱陶しい?くらいにハマっています。悲惨過ぎる状況に何度陥っても、メロディーに乗せられると何だか前向きになってしまいます。その時代の歌謡曲や時事ネ・u档^も効果的に散りばめられており、とある名曲なんぞが流れてきた時には、あまりのタイミングの良さに背筋がゾクゾクとしてしまいました(苦笑)。この作品の良いところは、一見ただのドタバタ映画に見えるんですが、松子が落ちていく様は分かりやすく説得力があります。一般ピープルの誰もが持っている保身とか、プライドとか、意地とか、そういう人間の面倒臭い性分が幸せになることを邪魔するんですよねぇ・・・・( ̄o ̄;)ボソッ。キャスティングも絶妙で登場人物は皆魅力的です。黒沢あすかは今までのイメージ一新ですね。谷原章介がツボの人も多いかもしれません(笑)。で、中谷美紀ですが、本人は罵倒されながら頑張ったのかもしれませんが、別にどうってことありません。もちろん!主演を張るのに十分な存在感を示しております。また、病的な素晴らしさを発揮した美術も、この作品に大いに貢献しています。基本的にはうるさいし、ケバいし、汚いし、暴力的だし、長いし、決して万人に薦められる作品ではありませんが、間違いなく本年度邦画ベストの1本と言えるでしょう。終わりがダラダラしているのが玉に瑕ですね。因みに原作は全く知りませんです。
根岸吉太郎監督の新作『雪に願うこと』は、あの『遠雷』以来になる田舎で生きる人々を描いた物語です。何でも東京国際映画祭史上初の四冠(作品、監督、最優秀男優、観客)獲得作品だそうですし、あの『遠雷』以来(しつこい!)ですから期待してたんですよねぇ・・・。で?どうなんでしょ・・・もちろん、つまらない映画ではありませんでしたが、面白いか?と問われれば、それもどうだろう?あまりにもストレートな展開ばかりで、そこには『遠雷』でジョニー大倉に迫ったような無骨な味わいはありません。今回は、対象への迫り方が恐ろしくアッサリしていて拍子抜けです。なんかねぇ・・・小さくまとまってるんじゃねーよ!みたいなね。長谷川和彦を筆頭に六本木を肩で風を切って歩いていた“ディレカンは時代の寵児”が懐かしいですなぁ・・・遠い目(苦笑)。佐藤浩市、伊勢谷友介は今までで一番良かったし、山崎は絶品の味わいだし、吹石一恵は置いといて(笑)小泉今日子を始めに脇役陣も味わい深いモノもありました。それなのに!映画としては薄味なんですよ。まぁ、オイラが捻くれているだけかもしれませんけどね。もっとゴツゴツとした田舎料理(力技みたいな)を期待していたんで、別に京料理は食べたくなかったなぁ・・・みたいな感じでしょうか(笑)。それにしても、「なして、世間さ見返してやらねばなんねんだあ!」・・・このセリフは何故か響いたなぁ(苦笑)。
ある意味、低迷する邦画界を支えてきた森田芳光の新作である『間宮兄弟』を観たときに真っ先に感じたのは“淋しさ”でしたね。森田芳光という人は、良きにつけ悪しきにつけ時代の空気を読むに長けた人で、ポテンヒットであろうとそれなりの結果も残してきた監督でした。しかし!この作品はダメだ!面白いとか面白くないとか言う以前の問題で、このようなセンスの悪さは、今までの彼の作品では見られなかったモノです。ギャグを外すとかじゃなくて、この映画に流れている空気が狙い過ぎていて鼻につくというか、白々しいんですよ。原作にどの程度忠実なのか知りませんが、ダメなものはダメです!「毎日が楽しくない、という人に、日常が楽しくなる方法を教えます。」とかチラシに書いてありますが、もの凄くうそ臭いんですよ。要は、ノンビリ行こうよ!自分の周りをゆっくり見渡せばけっこう楽しいよ!みたいな話なんでしょうけど、観ていてちっとも楽しそうじゃないです。まぁ、結局は感性の問題ですから、面白い!と言う人が居ても不思議はないですけどね(苦笑)。個人的には、底の浅いツマラン映画でした。
デッカード
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