Deckard's Movie Diary
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2006年12月22日(金) |
暗いところで待ち合わせ |
『AIKI』の時には感じなかったのですが、監督の天願大介は父である今村昌平のDNAを間違い無く受け継いでいますね。いきなりホラー風の映像になってしまったのは、ちょっといただけませんでしたが、菩薩のような田中麗奈の表情が印象に残りました。
2006年12月16日(土) |
ありがとう 硫黄島からの手紙 |
事実は小説より奇なり!とは言いますが、あまりにも嘘くさいストーリーなんで、ちょっと信じられません(苦笑)。まずは以下の略歴を見てください。 1940年 兵庫県神戸市生まれ。立命館大学卒。 1968年 「東洋カメラ」開業。30歳でゴルフを始める。 1979年 大神戸GC の会員となる。入会後16 年で10回クラブチャンピオンに輝く。 1994年 ハンディキャップが 0 になる。 1995年 阪神・淡路大震災で自宅兼店舗を消失。
以後、地区の役員として被災地の復興に奔走する。
1997年4月 シニア認定プロの資格取得。 2000年9月 PGA資格認定プロテスト合格。 2002年6月 関西プログランドシニア選手権でプロ初優勝 2003年8月 兵庫県シニアオープン選手権で優勝(高室池GC) 2005年9月 日本プログランドシニア選手権で優勝(KOMA CC) 2006年5月 テレビせとうち・プロシニア選手権で優勝(赤坂CC) 2006年7月 関西プログランドシニア選手権で優勝(ローモンドCC) 2006年8月 兵庫県シニアオープン選手権で優勝(妙見富士CC)
コレって信じられます?自宅を全部失って、いくらハンデ0だからと言って、55歳からプロゴルファーを目指しますかね?プロになったからと言って稼げるプロなんて極一部ですし・・・・・・( ̄o ̄;)ボソッ つまり、あまりに劇的な(事実なんですけどね・・・)ストーリーにオイラみたいな半端モンは中々着いて行けないんですよ(苦笑)。状況から判断すると、はっきり言って、奥さんが偉いんじゃないのかなぁ・・・だって、そんな荒唐無稽なチャレンジを許しちゃうんだから、相当出来た人だと思いますよ。そういう意味では、夫婦の絆を中心にした方が良かったんじゃないのかなぁ・・・あ、そうそう!地震のシーンはけっこう怖かったですね。
『父親たちの星条旗』と対をなしている『硫黄島からの手紙』です。エンドタイトルでDIRECTOR/CLINT EASTWOODとクレジットされた時には、何とも言えない気持ちになりました。そうなんですよ!この映画って、アメリカ人が作った映画なんです。凄いですよ!こちらの脚本は日系二世のアイリス・ヤマシタ。これがデビュー作になるそうですが素晴らしいです!個人的には、断然コチラの方が上でした。アメリカ側から描いた『父親たちの星条旗』が戦争国債を買わせる為に利用された軍人の話になっているのに対して、コチラは戦争を続けるために四苦八苦している状況を背景にしていて、その国力の違いには説得力があります。敗戦間近い日本の現状、無駄死には避けようと思いながらも、目の前で起こる出来事にある種の自暴自棄に陥る状況とか、自分を重ね合わせて観ることが出来ました。それにしても、こういう映画を日本では作れないんでしょうかね?この作品は映画史に残る傑作だと思いますよ。アメリカ人の監督が日本人の役者を使って、日本人の戦争を描いた作品。スクリーンの中で日本人は驚くほど繊細で、自虐的に美化することも無く、淡々と描いています。こんな内容の映画って過去にありましたか?日本の映画関係者は恥ずかしいとは思わないんですかね?『世界の中心で愛を叫ぶ』とか『海猿』とか作って儲けるのは構いませんが、儲けた金でもう少しまともな映画を作って欲しいものです。
2006年12月09日(土) |
007/カジノ・ロワイヤル |
おそらく、『007シリーズ』を映画館で観たのは『女王陛下の007』以来だと思います。というコトは、かれこれ40年近く前でしょうか(苦笑)。今作からボンド役が、どう見てもインチキ臭いピアース・ブロスナンからダニエル・クレイグに替わったのですが、個人的には「地味やなぁ・・・」と思いながらもブロスナンよりは好感触でした。だって運動神経が良さそうだし、どんな姿も似合いそうじゃないですか、猿顔ですから!(この後に『ジャケット』を観て、ダニエルのショボさに脱帽しました。誉め言葉です!)。でもね、ダニエルのルックスで最初からモテちゃうのはおかしいんですよ。その辺りはもうちょっと考えなくちゃいけないでしょうね(じゃ、ダメじゃん!)。\(^-^\) (/^-^)/ソレハコッチニオイトイテ…映画としては普通に面白かったです。それにしても、オイラの隣に座った祖母と孫息子なんですけど、ズーっと話してましたね。伝統的な娯楽映画ですし、堅いことは言いたくないんですけど、やっぱり「静かにしてください!」と言ってしまいました。まぁ、完璧に無視されましたが、人の迷惑を考えろよ!バカヤロー!
2006年11月10日(金) |
手紙 デスノート/the Last name 虹の女神 |
テーマは重く深く、真摯に取り組んだ姿勢は評価に値しますし、とても良く出来た台詞のやりとりもあったりするのですが・・・残念ながら演出が追いついていません。特にラストでのチグハグでドタバタした演出はいただけません。妙にお涙ちょうだいにしようとしたのは不自然過ぎますし、折角のシーンが台無しです。もったいないなぁ・・・。だいたい、こんな漫才師はいませんし、いきなり変身してしまう沢尻えりか(これはケバ過ぎ!)とか、とにかくチグハグなんですね。TVの2時間ドラマならば気にならないのかもしれませんが、集中して観ている映画館の暗闇の中ではアラが目立ちます。深いテーマだからこそ、リアリティに欠けてしまって元も子もありません。原作では主人公はミュージシャンの設定らしいのですが、どうして漫才師になってしまったのでしょうか?パンク系だったバンドが売れる為に日和ったら、売れたのはいいけどマスコミにバレて・・・姿を消す。一人のミュージシャンになって・・・みたいな方が良かったんじゃないでしょうか?ズーっとお通夜のような表情ばかりの漫才師よりも間違い無く説得力がありますよ。もちろん、良いシーンもあります。特に加害者の身内と被害者の遺族のシーンは胸に迫ります。少なからずこうした人生を歩んでいる人はいるはずですし、やはり人にはなるべく優しく接したいと思いながら、それもままならず、日々生きている小生としては胸に染み入る部分もありました。そういう意味でも返す返すもったいないなぁ・・・。
観終わって一言は「長い・・・」。まぁ、ストーリーを追っているだけで長くなってしまうのは仕方の無いんですけどね。それくらい話しは入り組んでいます。分かり難い部分もありますが、最後は上手く着陸したんじゃないでしょうか。相変わらず邦画特有のチープなシーンも多く、情けなくなる部分もありますが、基本的には面白いと思いますよ。弥海砂に扮する戸田恵梨香があまりにバカっぽかったりするのは興醒めですけど、原作に近いから仕方無いか(苦笑)。ただねぇ、原作では死神の想像を超える人間の凄みを感じさせるんですけど、その辺りはちょっとなぁ・・・甘いというか、スケールが小さくなっているのが残念ですね。個人的には3部まで引っ張ってもらって全然構わなかったので、そこまで描いて欲しかったですね。
『虹の女神』は必ずしも完成度の高い作品とは言えませんが、心に染みる映画でした。監督は『ニライカナイからの手紙』『親指さがし』の熊澤尚人ですが、プロデューサーに名を連ねる岩井俊二の影響か、あの頃の気持ちをツンツンと刺激するようなリリカルな描写や琴線に触れるエピソードが随所に散りばめられ、上質の青春映画になっています。
学生時代の映画製作を通して描かれるストーリーは自分に重なる所もあり、全編に渡って懐かしく思いながらも、「何故、あんなコトを言ってしまったんだろう?」「どうして、あんなコトをしてしまったんだろう?」というような当時の悔やまれる気持ちや素直になれなかった複雑な感情が、止め処も無く溢れて来て困りました(苦笑)。そんなワケで、鑑賞中は懐かしくも切ない想いで胸がいっぱいになり、どうにも落ち着かない気分でした。どっぷりと深く座っているのに腰の辺りがふらついている様な・・・そんな感じです(どんな感じだよ)。佐藤あおいが岸田智也に主演を頼むとこなんて、重なっちゃって・・・(苦笑)観終わった時には、こんな時間はもう二度と戻って来ないんだなぁ・・・と、はたから見てもマジで遠い目になっていたと思います。上野樹里が演じた“佐藤あおい”というキャラクターは自分にとって忘れられないキャラクターになりそうです。あの頃、こんな女の子に出会いたかったですねぇ・・・おそらく出会っていたとしても「生意気な女!」くらいにしか思わなかったとでしょうけどね。何故なら、彼女の性格が自分と被るような気がするんですよ(ナルシズムの話かよ!)
さて、映画の中で、主人公・岸田智也(市原隼人)はどうしようもなく鈍感な人物に描かれていますが、彼が佐藤あおいに対して少なからず好意を持っていたのは明白です。だからこそ、ラストの佐藤あおいの妹(蒼井優)の言葉(予告編で流すなよ!)が彼の胸に響いたんじゃないでしょうか。だって、そうじゃなかったら「へ?オレのこと?」みたいな感じでしょ!岸田智也は、おそらく「彼女は才能もあるし、自分みたいにナ〜ンもない人間なんか相手にしないよなぁ・・・」とか考えて、彼女のことを勝手に恋愛対象から外しているんです。佐藤あおいの方は、岸田智也は美人で女らしい娘がタイプなんだ!と、こちらも勝手に思い込んでいる。二人はそれぞれに相手の気持ちを感じながら、量りかねながら、気づかないように、傷つかないようにしているワケです。良き友人としても存在しているお互いの、そんなもどかしい感情の揺れを、この映画は“虹”を触媒にして見事に描いていました。
時は経て、アイツは今頃どうしてるんだ・・・と、何気なく送った写メール。そして現実に直面して、妹の言葉を聞き、佐藤あおいが監督した8ミリ映画に込めた単純なメッセージに再び出会った時・・・とにかく、脚本が上手い!感心しました(何様だよ)。でも、人ってこうしてすれ違いの人生を歩んで、戻らない時を嘆くモンなんでしょうね(´―`)┌ ヤレヤレ…
岸田智也にとって佐藤あおいの記憶は生涯忘れる事は無く、彼女の生きた証は彼の心に消えない印として刻まれ、虹と出会う度に彼は胸が締め付けられるかもしれません。でも、それは彼が生きている証でもあるのです。時間が経つに連れて思い出されるシーンは儚げですが、胸に込み上げてくる切ない感情は決して忘れ去られることは無く、年を重ねると共にいとおしく、そしていつかは甘酸っぱい思い出となるでしょう。だからこそ、人が人を好きになることは素敵なことなのです。で、そんな経験を自分もしたことがあるんだなぁ・・・と、振り返れる自分は幸せなんだなぁ・・・とも思いながらも、いまだ祭りの準備中!(またかよ!)と、思い直すオイラってば・・・しょーもな!
最後に・・・携帯電話が普及してから、映画には頻繁に登場するようになりましたが、それは単に文明の利器としての使い方がほとんどでした。この映画の中にも携帯電話は登場するのですが、小道具として使った映画では初めてと言っても良いくらい美しいモノとして、それは存在していました。お見事!
2006年11月02日(木) |
トンマッコルへようこそ Oiビシクレッタ キャッチボール屋 幸福のスイッチ |
ぶっちゃけ、音楽はもちろん(久石譲ですから!)、演出、美術、ストーリー、その全てが宮崎駿アニメからの影響大です。っつーか、ほとんど宮崎アニメの実写版でしょ!コレ!で、どの作品?と聞かれると、もちろんそんなモノは無いんですけど、登場してくるどのキャラもシーンも観た事があります!驚いた時の表情とか、何かあったときのアングル、村の作りとか、朽ち果てた感じとか・・・それでも全体の完成度は高く、ストーリーも良く出来ているので観て損はありません。しかし!オイラには非常に巧みなパクリ映画という印象が頭から離れませんでした。全ては模倣から始まる!と思えば、目くじらを立てるのもオカシイのかもしれませんけどね。作品は2005年の韓国公興行収入1位だそうですが、宮崎映画を観たことが無い人には素晴らしいセンスの作品に感じるのは間違いありません。しかし、なんだかなぁ・・・・面白い映画だけになぁ・・・・・( ̄。 ̄ )ボソ…
観終わった後の第一声は「ロベルト・カルロスってのは元ブラジル代表SBのロベカルじゃないだ・・・」でしたd( ̄  ̄) ヾ(^o^;オイオイ。内容は自転車を使ったロード・ムービーですが、長男・アントニオの成長物語と言った方がピッタリでしょうね。実話が元になっているようですが、自転車で3200キロ!凄いなぁ・・・日本縦断歩き旅と同じ距離です!映画はシンプルでおおよそ見当のつくストーリーが展開されます。観て損は無い作品ですが、それ以上でも以下でもないという感じでしょうか。それにしても、この母親は美しい人なんだよなぁ・・・。因みに“ピシクレッタ”とはポルトガル語で“自転車”のコトで、さらに!この映画に出てくる“ロベルト・カルロス”とはブラジルの国民的歌手で、サッカーで有名なロベルト・カルロスも彼から名前をいただいたそうで、こちらが元祖なんですね。失礼しましたm(_ _)m とりあえず、観て損は無いです。
もう最悪です!相変わらずこういう映画作っていて、それを評価する評論家の方がいらっしゃるんですねぇ・・・。笑っちゃいます。甲子園での松井の4打席連続敬遠ネタをモチーフにしたエピソードとか、盲目女性とのエピソードとか安っぽいチンケなネタばかりでウンザリします。結局、登場人物で魅力的な人間は一人も居らず、退屈極まりない映画でした。“キャッチボールをしている相手は誰ですか?”というコピーに惹かれて観に行きましたが、今のダメダメ邦画の典型的な作品でした。
これは拾い物でした。頑固親父と3姉妹の絆。それぞれのキャラやストーリーに新鮮味はありませんが、とても良く出来た作品です。上野樹里は今までとは全く違うイメージですし、何より長女役の本上まなみが上手いので驚かされました。こういうちょっと天然の役が合っているのかもしれません。おばあちゃんのエピソードで普通はベタベタになるのですが、そこからが上手い!とても丁寧に吟味された脚本には感心させられます。大画面TVを直しているシーンで、あの展開は上手いです!というワケで好感が持てる佳作でした。監督はOL経験のある安田真奈。いい仕事してますよ!次回作も楽しみです。
2006年11月01日(水) |
サンキュー・スモーキング 太陽 父親たちの星条旗 ブラック・ダリア |
まず、タイトルバックが洒落てます。それだけでこの映画のセンスの良さを感じさせてくれるので、先行きが楽しみになります。この映画は煙草論争という題材を前面に押し出しながら、本当に描きたかったのは「人の意見を鵜呑みにしないで、自分で勉強して自分で考えろ!」ってコト!つまり、自分でバンバンしなきゃダメ!ってことなんですよね。それって70年代育ち・反体制気質のオイラにはめちゃくちゃツボなんですよ(爆)。まぁ、広告畑で生きて来た小生にとっても、ストライク・ゾーンなんですけどね(苦笑)。主演は、何をやらせても何処か胡散臭い雰囲気を漂わすアーロン・エッカート。今回はそのキャラがハマりましたねぇ・・・ちょっと見直しました。アメリカは弁護士の話術でスーパースターの殺人が無罪になってしまう国です。全ては巧みな話術、すり替え、詭弁が大手を振って罷り通っている世界です。だからこそ、自分で考え判断されることが要求されるワケです。監督はアイバン・ライトマンの息子であるジェイソン・ライトマンですが、父より知的かもしれません。それは主人公のニック・ネイラーの親子関係にも似ているのかもしれませんね。「これは、交渉じゃないよ、議論だよ!」と父であるニック・テイラーの話術を利用し論争を仕掛ける息子は、まさにジェイソンが父であるアイバンに「この映画はどうよ?」と言ってるようなシーンにも見えます(そうかぁ?)。\(^-^\) (/^-^)/ソレハコッチニオイトイテ…それにしても、今更ながら人間ってのは狡賢いですね。ああ言えば、こう言う・・・まさに、広告的ですなぁ・・・( ̄o ̄;)ボソッ
『ボヴァリー夫人』『エルミタージュ幻想』のアレクサンドル・ソクーロフが昭和天皇を描いた『太陽』。う〜ん、何処が面白いんだかサッパリでした。チラシには“彼は、悲劇に傷ついた、ひとりの人間。”とか書いてあるんですが、そんなの当たり前じゃないですか!天皇の内面の苦悩をユーモアを交えながら描いたヒューマンな作品とか言うんでしょうけど、オイラの琴線には全く触れませんでした。一番不満なのは戦争末期から始まったのに、いつのまにか終戦になっている時間の流れです。原爆投下も玉音放送もありません。“耐え難きを耐え、忍び難きを忍び”は昭和天皇の名演説でしょ!まぁ、所詮ロシアの監督が考えている天皇の話ですから、仕方無いのかもしれません。好意的な見方をすればロシアの監督が“天皇”というワケの分からないモノを良くもここまで描いたなぁ・・・と、言うコトも出来ます。ただ、それが一体なんだと言うのでしょうか?という疑問も残ります。まぁ、オイラの感受性が鈍いのでしょうけど、人間味を描くのなら生物学者としての天皇も描いて欲しかったですね。「雑草という植物はない!」なんて、名言じゃないですか! 結局のところ、ここで描かれた“天皇”を観て、外国の方はどう思うのでしょうか?何が胸の内に残るのでしょうか?子供のようだとか、象徴だとか、戦争責任は追及出来ないとか・・・オイラには良く分かりません。ソクーロフは過去に『オリエンタル・エレジー(未見)』『穏やかな生活(未見)』『ドルチェ優しく』と3本の映画で日本を捉えており、どれも日本人が忘れてしまった遠い記憶を呼び起こすような作品だそうですが、ちょっと神秘的に見過ぎているような気もします。とにかく、暗い画面にボソボソとした喋りばかりで、めちゃくちゃ眠たくなりました。世間的には評判が宜しいようですが、オイラはダメでした。悪しからず・・・。
スティーブン・スピルバーグ製作、クリント・イーストウッド監督作品『父親たちの星条旗』。まさに、ハリウッド史上最強コンビの大作です。これはねぇ・・・カットバックが大失敗だと思いますよ。とにかく煩わしくてキャラの心情に入っていけません。まず、無名の役者が演じるヘルメットを被ったアメリカ兵の名前と顔が一致しません(自爆)。それにしても脚本のポール・ハギスは時間軸をいじるのが好きですねぇ(苦笑)。時間軸を縦横無尽に動かせるのは“映画”というメディアの特権とも言えますが、両刃の剣でもあります。テーマは興味をそそられますし、ストーリーも申し分ないと思われるのですが、時間軸をいじり過ぎた為に狙いがストレートに伝わって来ませんでした。もっとストレートに作られていたら・・・。しかし、戦争における“英雄”とは一体誰なんでしょうか?それは、生き残った人達でもなく、亡くなってしまった人達でもなく、誰でもないような気がします。戦争における“英雄”を探し出したい気持ちは分かりますが、やっぱり、戦争に英雄は居ませんよ。居るのは、犠牲者だけじゃないでしょうか?
世間一般的には『アンタチャッブル』『ミッション・インポシブル』の監督ブライアン・デ・パルマの新作『ブラック・ダリア』です。う〜ん、困った映画です・・・登場人物は多いし、話は幾重にも重なるし、それが微妙に関連してくるし、挙句にカメラワークも難解だし、分かり辛れぇ〜!それでも、妙な魅力に溢れているんですよね・・・いや、溢れてはいないか(苦笑)。結局のところ欲張り過ぎなんでしょうね。おそらく2時間では無理なんでしょう。思わせぶり過ぎるヨハンセンの表情とポーカー・フェイスのハートネット。この対比も映画を複雑にしている要因だと思いました。それでなくても分かり辛い展開なのに、致命的でしたね。映像に拘るあまりストーリーが停滞するのも、完成度を低くしていたんじゃないでしょうか?そういう意味ではデ・パルマの題材のように見えて、そうではなかったんですかね?最初にこの映画の情報を見た時には、かなり期待したんだけどなぁ・・・( ̄o ̄;)ボソッ どうせなら、思い切って3時間くらいの長尺モノにしてもらった方が良かったかも?一番面白かったのはENDマークが出たとたんに「なになに?分からない!どういうこと?」というOLたちの声が劇場内に飛び交ったことかな(苦笑)
あちらこちらで評判の良い『カポーティ』ですが、う〜ん、何とも中途半端な映画でした。この映画は一体何を描きたかったんでしょうか?個人的にはホフマンの怪演におんぶに抱っこした作品としか思えませんでした。タイトルで『カポーティ』と名乗っているのですが、要は代表作のひとつである『冷血』を書いた頃の話です。『冷血』は彼の一番有名代表作なのですから仕方ありませんが、カポーティという作家は本来、少年少女の思春期を書いてナンボの人でした。まぁ、そうは言っても刹那な青春模様だったりするワケですから、あながちズレていないのかもしれません。ただ、個人的にはカポーティ自身が殺人犯と同じ穴の狢というだけでなく、犯罪ノンフィクションに興味を示す部分をキッチリと描いて欲しかったんですよね。新聞の記事に目を留めたとしても、あまりに簡単にのめり込み過ぎです。とある人物を描く時にその一部分だけを切り取るならば、観ている方がうんざりするくらい濃く描いてくれないと・・・表裏だけの表現でそれを語るのはあまりに短絡的でしょう。全編を覆う寒々しい空気感は特筆するべきモノがあるだけに惜しまれる作品です。個人的にはカポーティの原作を映画化したリチャード・ブルックスの『冷血』の方が圧倒的に面白いと思いますね。
まずは“ヘビがジャンボをジャックする!”ってコピーがいいですねぇ(笑)。で、フラフラと吸い寄せられたんですが、きちんとストーリーの辻褄を合わせているのに驚きました。真面目に作っているんですねぇ。もっとふざけているのかと思っていたので好感が持てました(別にふざけていても全然OK!だったんですけどね)。とにかくストーリーがしっかりしているので、説得力があります(ホントかよ!)。サミュエルも頑張り甲斐があるってもんです!私のコメディ大好き友人は「ぐーすか眠っていたハワイの太ったおばさんは絶対殺さないし、絶対に起こさないですね。どんなに蛇に体をまさぐられようが目を覚まさず襲われず、飛行機到着後に目が覚めて「何かあったの?」って顔をさせて欲しかったです。この手の話にはこういうキャラが不可欠ですから。」と言ってましたが、『フライング・ハイ』っぽいですね。確かに頷く指摘ですが、オイラには十分面白かったです。監督は『デッド・コースター』『セルラー』で手堅い演出を見せていたデヴィッド・エリス。これからも注目ですね!しかし“パニック・アクション超大作”っつーキャッチはどうなの(苦笑)。
2006年10月13日(金) |
フラガール ワールド・トレード・センター ストロベリー・ショート・ケイクス |
日本の炭鉱映画もヤルじゃないですか!常磐ハワイアンセンター物語の『フラガール』はけっこういいですよ。監督の李相日は『69』や『スクラップ・ヘヴン』なんて作品を撮っているんですが、今回は最高の出来です!(キッパリ!)おそらく、この手の映画をかなり研究していると思われ、水を得た魚のような演出はお見事!の一言です。それぞれのエピソードは実に効果的ですし、何よりも、出演している役者が皆さん輝いて見えます。元々田舎娘顔の蒼井優は適材適所ですし(実際に上手いですよ)、日本のお母さんと化した富司純子は(ちょっと饒舌ですが)力があります。控えめな“しずちゃん”こと山崎静代も、北海道へ去ってしまう木村早苗役の徳永えりや、ママさんフラダンサー役の劇団大人計画の池津祥子も、皆いい味出しています。で、父親役は、あの志賀勝だったんですねぇ・・・・まぁ、毒が抜けちゃって(苦笑)。岸辺一徳、豊川悦司の脇もしっかりしていますし、個人的にはあまり好きではない松雪泰子でさえ魅力的に描かれています。また、美術の種田陽平や音楽のジェイク・シマブクロ等、スタッフも一流の仕事をしています。こういう映画はストレートに感動的に作るのがセオリーですから、そういう意味では間違いなく傑作ですね。フラダンス自体に魅力を感じたコトは無かったのですが、ラストのショーは素晴らしかったです。 やはり陽気なハワイアンなんでしょうか、フランダンスの熱が明日への希望を沸かせてくれるんですね。この手の映画はドップリ浸かって楽しみましょう♪ 時間を置いて、また観てみたい映画でした。ところで、寂れた炭鉱の町にハワイを持って来ようと考えたのは誰なんですか?
あまりにアッサリしていて、とてもオリバー・ストーンの監督作品とは思えない『ワールド・トレード・センター』です。いつもなら、あの海兵隊員がもっと出しゃばるんですけどねぇ・・・(苦笑)。まぁ、決して悪い映画ではありませんが、特筆される映画でもありませんでした。動きのある映画では無いですし、中盤かなり眠たくなりましたヾ( ̄o ̄;)オイオイ まぁ、そこまで言わないとしても、正直なところ、題名がコレじゃない方が良かったんじゃないでしょうか?タイトルに偽りあり!とは思いませんが、ちょっとずれているような気がします。9.11がアメリカ人をひとつにした、助け合った、みたいなコトを描きたかったから、この題名になったのかもしれませんが、逆に言えば、9.11じゃなかったら、あの海兵隊員は見向きもしなかったってコトですよね?それって、どうなんでしょ!オイラは捻くれ者なんで、そんなコトを考えてしまいました。そんな風に考えると『ワールド・トレード・センター』という題名にしたことが、実にオリバー・ストーンらしいのかもしれませんね(意味不明だなぁ・・・、映画を観ると謎が解けるんでしょう)。それにしても、この映画の感想で「何も出来なかったのに英雄扱いっておかしくない?」とか「何も出来ずに埋もれちまった間抜けな連中の話」とか書く人って、あまりに感受性が無いですね。っつーか、馬鹿でしょ!
『ストロベリー・ショート・ケイクス』は魚喃キリコ原作のコミックの映画化で、『blue』についで二作目のようですが、個人的にはこちらの方が良かったです。まぁ、そうは言っても、大して面白いとは思いませんでしたけどね(苦笑)。前半は単調で「ああ、ヤバい映画観に来ちゃったなぁ・・・」という後悔の念が押し寄せて来ていたのですが、後半どうにか立ち直りました。しっかし、こんなに病んでる女性たちばかりでイイんですか?彼女たちの行動が全く理解出来ないワケじゃないですが、男性目線からなのかもしれませんが、彼女達ってちょっとイタいなぁ・・・。そういう意味では少しばかり特殊な女性たちのストーリーに見えちゃったんですが・・・どうなんでしょ?それにしても、あんな編集者なんて居ないし、棺おけの扱いとかもなぁ・・・うそ臭い部分もかなりあるし、その辺もちょっと興醒めなんですよねぇ。
2006年10月06日(金) |
レディ・イン・ザ・ウォーター |
『シックス・センス』でオイラを魅了したM.ナイト・シャマランでしたが、その後はイマイチ君で「どうしたんだよ!シャマラ〜ン!」なんて思った時もありましたが、ようやく彼との付き合い方が分かりました。というワケで、今回の『レディ・イン・ザ・ウォーター』です!彼はオイラにとってミヒャエル・ハネケと並んで永遠に追いかけたい監督になりました(この二人は純粋と不純の両極ですけどね)。とにかく、堪能させていただきました!これでいいんです!独創的(独断とも言う)なシャマラン・ワールド超バリバリ全開で御座います。とにかく強引!重いゴン俵じゃなくて、思い込んだら、まさに猪突(ネタバレかよ!)猛進!今回は自らもガンガン登場して、その役どころと言ったら、そりゃもう!スンゴイです!でもって、彼の大嫌いなキャラを存分に懲らしめております(幼稚過ぎて笑えます)。まさに「オレについて来られるか!」と言わんばかりの強引グ・マイ・ウェイ映画ですが、微笑ましい限りです。いけ!いけ!シャマラ〜ン!GO!GO!てんね〜ん!
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