保育園からの帰り道、ルンバが突然こう言った。 「おしっこ〜〜!」 場所は住宅街のどまんなかである。
あわてて辺りを見回すが、用を足せる場所など当然ない。よそさまの家の塀にさせるわけにはいかない。ど、どうしよう。 「ここじゃおしっこできる場所ないから、もう少しがまんできる?」
ルンバは泣きそうな顔で、「えー」と言っていたが、歩いていた彼をベビーカーに乗せ、あわてて出発すると、途端にトイレのことなどサッパリ忘れたように言わなくなった。
普段どおりにおしゃべりしたり歌ったりしている彼を見て、「実はそんなに切迫していなかったのかな? もう大丈夫なのかも」と思い、買い物をしようとスーパーに足を踏み入れた瞬間、ルンバが叫び出した。
「いや〜、ルンバくん、おみせには絶対行かない! おうちに帰るの。おしっこ!」
あっ、がまんしてたのね。
あわてて2階のトイレに着くと無事に用を足し、「さっぱりした」と晴れやかな顔を見せる彼。ちょっと前までなら、お店までがまんせずに漏らしていただろう。なにせ、「おしっこ!」と言いだしてから店に着くまで、10分くらいはかかっているのだから。せっかくがまんしてたのに、勝手に平気なんだと思っちゃってゴメン。
悪かったなと思っていたら、まんまとお菓子を買わされてしまった私であった。
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