2007年10月03日(水) |
「水曜日、二十一時」 (友鷹) |
「――はい、藤原です」
「あぁ、藤原君…?
やはり、残っていたんだね。 勘が、当たったな」
「お疲れ様です、橘さん。 今日は、九州でしたよね。空港からですか?」
「いや、実はねぇ… フロアのドアの前。
直帰のつもりであったから、 ICカードを忘れてね、入れないわけだよ」
「…橘さん。この前も、お忘れでしたよね。
まぁ、いいですが… 今、あけますよ」
「ありがとう、藤原君。 いつも、すまないねぇ」
「…橘さん」
「うん?」
「質問なのですが…
前回も、そうですが、 なぜ、私の内線へ、お掛けになるのです?」
「だって、この時間になると、君しかいないもの」
「――」
「…藤原君。ほら、差し入れだ。
今日、向こうで食べたとき、これが、美味しくて。
君に、差し入れたくなって、少し…買ったんだ。
残業の、息抜きに、ひとつ、いかがかな?」
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