このエンピツというサービスのFAQを見ると、本来は3ヶ月放置すると、この日記は削除されるはずらしい。しかし、僕はすでに3年以上放置しているが、今のところ削除されていない。それどころか、管理者からのお知らせも、去年の2月15日から更新されていない。こんな状態でも、サーバは霞を食って動いているわけではないのだから、誰かがお金を出して運営しているはずだ。なんとも不思議な状態だ。

それにしても、ここに公開されている昔の日記を読んでみて、ひどく驚いた。僕は自分がたいして変わっていないと思い込んでいたが、過去の文章を読んでみると、なんだかひどく稚拙に感じる。たぶん実際はそう変わっていないのだと思う。でも、まだ20代なのに、衰えるばかりでまったく進歩していないと感じていたのは、錯覚なのかも知れないと思う。

そう思って2004年頃の日記を読んでみると、2002年あたりと比べてだいぶ進歩したように感じる。少なくとも、この時点で今とは大差ないと感じられる程度にはなっている。日本語ライティングに関する記述の中で、「書くだけではなにも覚えない」と書かれていることがあるが、そんなのは嘘だろう。実際に僕は、ただ書くだけできちんと進歩している。もっとも、それは自己満足に過ぎない錯覚なのかもしれないが。他人に認められることだけがすべてではないだろう。

ところで、他人への期待ということについて、ちょっと考えてみた。

人が他人に期待をするのは、そこに夢を感じるからかもしれない。かつては、僕も人からの期待を感じることがあった。たぶん人は、僕に可能性を見出したのだと思う。

僕には10年来の友人がいるのだが、その友人について、ときどきあれこれと僕に言ってくる女性がいる。その友人も、女性も、そして僕も、みんなしてmixiに参加しているのだが、そのmixiの日記を見て「また変な日記を書いている」とメッセンジャーでメッセージをよこしてきたりするのだ。考えてみたら、こんなコミュニケーションが成り立つのもインターネットの進展あればこそだ。

彼女は何を言いたいのだろうと考えてみた。そして思い当たった。彼女は、僕の友人に対して、期待をしているのではなかろうかと。

僕の友人は本当に優秀な人だ。なぜいまだに僕とつき合っているのか不思議に思うほどだ。彼は今でも、本当に下らないことで僕に電話をかけてくる。「道に迷った」、「電話の声が聞き取りづらい」とか、そんなようなことだ。そのたびに僕は、Google Mapを見て道を探したり、PHSの基地局が問題だろうから、場所を変えて話せばいいんじゃないか、なんて話をしたりする。僕と話したところでたいして役に立つわけでもないのに電話をしてくるということは、もしかしたら彼は、僕に甘えているのかもしれない。先ほどの女性も含めて、いろんな女性が僕たちのことを変な目で見るのは、そんな甘えた人間関係がおもしろいのかもしれない。男は誰も気にしない。僕たちの人間関係をおもしろがるのは、決まって女性だ。

だけど、彼はとても優秀な人だけれど、欠点がある。僕にはよく分からないのだけど、僕にメッセンジャーでメッセージをとばしてきた彼女にはよく分かるらしい。なにが問題なのかは分からなくても、彼女がそのことをもどかしく思っていることだけは分かる。たぶん、それが期待なんだと思う。

たぶん、彼には可能性があるのだ。彼のどこかひねくれたような日記を読んでいると、もっと素直になれば、彼はもっともっと優れた人になれるだろうという予感がするのだ。彼はとても成績優秀で、好きなことについては努力を惜しまない人だ。けど、そういうこととは別の可能性を、彼はきっと持っているのだ。そして彼女には、その可能性が見えているんだと思う。

その可能性を花開かせることができるのは、たぶん彼自身ではなく僕だけだ。自意識過剰なのかもしれないけど、僕はそう思う。彼は、これまでの人生の中で、素直な心のよさというのを見つめるような生き方をしてこなかったのだと思う。だからこそ彼は誰よりも素直な心を持っているのだ。でも、彼の心の表現はひどく幼く感じさせられる。

だからきっと、彼はその表現さえ学べば、きっと人を引きつけるような人になれるのだと思う。彼女はきっと、そうした可能性を感じているのだろう。あるいは、そこまで買いかぶっているわけではなく、単にあまりにも幼い表現を嘆いているだけなのかもしれない。ただ、それだけのために、僕にメッセージをよこしてくるものだろうか。

もしかしたら僕は、彼の人生を変える鍵を握っているのかもしれない。僕は人に価値観を押しつけるのが嫌いだし、なにより人に押しつけられるほどの確立した価値観を持っていない。それでも、僕は可能性を切り開くことができるだろうか。