出勤前に寄るパン屋。 いつものブレッドと牛乳を買う。 週末のレジ担当はいつも彼女だ。 向こうも自分を覚えていているのか挨拶をしてくれた。 瞬間、視線を交わす。 笑顔で答える。 …また新しくパンが焼けたようだ。 釜が鳴らすブザーと濃いバターの匂いを背に店を出た。 今日もいい天気だ。 ということが、 あったらいいな。 妄想かよっ!! 夢を見るのにお金はいらないからね! よく冷えた牛乳110円。 焼きたてのオニオンブレッド160円。 バイト中に夢を見ることプライスレス! そして今日も朝から10時間労働でしたと。 商店街でやってるイベントに巻き込まれ、 やれクジ引き、やれ半額パン、やれ商品券。 いつも以上に疲労気味… ふぅ(ため息) あ、冒頭の文は全くの妄想では無いからね! 私はそこまで危ない人じゃない。 9割妄想だけど! (この時点で少なくとも9割方危険人物だという事が確定) パン屋に兄ちゃんが来るんですよ。 スーツ姿の。 出勤前つうか、あれはどっちかっていうと帰宅中かもしれん。 そういう雰囲気の人。 くたびれたというか。着くずしたというか。 とにかく背も高くてちょっとカッコイイの! そんな人がいるんです。 まだ会ったのは3回目だけど、あっちも私を覚えているのか挨拶くらいは交わす仲。 出会いが印象的だったからなぁ… それは先週の出来事で。 私がレジにいたら突然話しかけられたんです。 パン片手に近づいてきて。 「コレぇ〜昨日買ったんすけどぉ〜」 うわー絶対クレームだよ。 兄ちゃんちょっと恐そうだしどうしようドキドキ… と構えてたら、 「このパン、超うまいっすね」 「へ? あ、ありがとうごさいます!!」 「これって何時に焼けるんすか?」 「普段ですと………。 という風に、いろいろ話したんす! 最初ビビッた反動でめちゃめちゃテンション上がって、そのままけっこう長話して。 次の日も店に来て。 それで今日も来たと。 だから3回目。 やばいよあの兄ちゃん! マジおもしろいよ! 是非とも是非ともお近付きになりたひ! それとも、これ以上の進展は望めないのかしら…(涙) とにかくもうこれでしばらくバイトは辞められないネ☆
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