「きよこさん、寝癖はねてる」 「え?これは寝癖じゃないよ。 さっきお風呂はいってきて、寝てないんだから、寝癖がつくはずがない。 だから、これは寝癖ではないの。気のせいだよ。」
と、まあ、こんなのはいつもの軽口なので、私も相手もそんな深い意味もなくやりとりしていたのです。ここまでは…。
「それ、パジャマ?」
「なにいってるの。れっきとしたトレーナーだよ。パジャマじゃないから」
「卓球するときは、ちゃんと上下ジャージで合わせようとか、そういうの気にしないの?」 「私、上下ジャージって好きじゃないの。」
「でも、トレーナーだと、脱ぎ着するときに頭を通さなきゃいけないから、そうやって寝癖がついちゃうでしょ。」 「いいの。卓球するときにそんなことたいして重要じゃないから」
「じゃあ、ほかにもっと大切なものがあるの?」 「あるよ!」 「でも、それじゃあ子どもができたときに「きれいなお母さんがいい」って言われちゃうよ」 「あのねえ……」
ああ、もう! レッドゾーンに侵入されて大いに憤慨。
こういうのって、不毛なやり取りだ。 人の価値観にとやかくいうのは趣味じゃないから、私と異なる価値観の持ち主とだって協調路線でやっていきたい。 だけど、私の価値観に対して批判してくるというなら話しは別だよ。 それが、私の主張の背景まで理解されていると思えない人に、軽々しく否定されるとなると憎悪の念すら禁じ得ない。
あなたに私の何がわかるっていうの!?
自分でもちゃんとした身なりでいるべきだ、って思っているようなTPOで、私がだらしない格好をしているならば、この人の意見ももっともだ、と聞きいれるだろうし、大いに恥じ入り意見してくれたことに感謝すると思うんだけど、この場合はそうじゃないんですよ。 むしろ、見た目にこだわらずに卓球に打ち込んでる自分を楽しんでるような場面で、そんなこと言われても、「邪魔すんな」ぐらいの気持ち。
平行線なんですよ。 お互いの主義がどこまで行っても交わりを持たない平行線。 そういう者同士が干渉しあうのって不毛だからやめようよ。
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