くじら浜
 夢使い







流れゆく雲の行方   2003年11月23日(日)

雨がふると雲はゆっくりと 流れる

晴れた日に真っ白な雲は
 また ゆっくりと流れる

徐々に曇ってきた空は
 ゆっくりと 雲を流す

僕の見た空はどれもひとつで
雲はたくさん 流れていった。






いつか見た光景   2003年11月16日(日)

闇に舟が一艘浮かんでいます
お尻から真っ赤な火を噴いて
その火が闇の中にぽっかりと舟を浮かせます

僕の宙(そら)には光がなく
舟の尻尾を追って歩いています

それは彼方の出来事であるような
夢の欠片でもあるような

光は確かに道を創りました






ビックバン   2003年11月14日(金)

そのすべてのものが爆発し
エネルギーは体内へと拡散された

飛び散った核の破片の
蚯蚓のような亀裂の奥に
己の意識を注入したら
無秩序の中の新たな細胞に生命が宿る

その生命がいくつにも分裂し結合し
破片と絡み合い融合し
やがてその小宇宙ははっきりとした眼になっていく

爆発を繰りかえし繰りかえし






寒い朝   2003年11月11日(火)

吐く息が白くはね返る
まっすぐにまっすぐに息を吐き
その息が見えなくなった頃に振り返ると
もう朝が始まる。






情報という名の栄養   2003年11月06日(木)

地中から水分を吸い
太陽から光合成を受け
蜜蜂から花粉を受け取り
たえず細胞分裂を繰り返していく。

根に葉に茎に花に
張りめぐらせた集中回路に情報が流れ込み
着実に成長していく樹のごとく
流れる情報
吸われる情報

情報に息を吹きかけるものたちの偉大さよ。



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IT革命が浸透し、インターネットも身近なものになってきた。
情報伝達のスピードやそれに伴なう諸々の環境はもちろん素晴らしいものだけど、それらの情報に生きた血を入れる「人の心」こそがIT革命だと思います。






秋の色   2003年10月31日(金)

赤く染まった落葉は僕の血でしょうか
母樹から放たれひらひらひらと地面に重なり
そして枯れてゆく

朝はいつも真っ赤に染まって
僕の血を照らすのでしょうか
宙から放たれふつふつふつと空に重なり
雲も真っ赤に染まっていく

雲に溶け宙に溶け地に溶け
そしていつか母樹に溶けゆくのでしょうか





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