くじら浜
 夢使い







エネルギー   2004年07月21日(水)

山の頂上に小さい山小屋がひとつ建っていた。
入ろうか入るまいか迷ったが、コーヒーを一杯だけ飲むことにした。
小屋のおやじは髭づらで愛想がなく、僕が「コーヒー下さい」と言っても、ちらっとこっちを振り向くだけで、面倒臭そうにヤカンからお湯を注ぎコーヒーをつくってくれた。
小屋には僕と髭づらおやじのふたりだけ・・、おやじは一言も喋らず、沸騰するお湯をただじーと見ているだけで、僕も黙ってコーヒーを飲み干した。

「ごちそうさま、行ってきます」
「行ってらっしゃい」

髭づらのおやじはちょっとだけぎこちなく微笑んだ。

さあ
出発だ。






射す太陽   2004年07月20日(火)

真上から燦燦と
そして見上げると懐かしく
一直線に過去から現在に繋がり
僕は海原に飛んで行った。







入道雲   2004年07月14日(水)

夕方の入道雲が好きだ。
陽を斜めから浴び、
陰影がくっきりした入道雲が好きだ。






午後6時35分の夕陽   2004年07月02日(金)

環七道りを東へ走り
バックミラーに映るオレンジの夕陽
除々に小さくなり
静かに落ちていく
午後6時35分の夕陽






あの夏の日 3   2004年06月20日(日)

永遠にこの雨が降り続いたらいいのに
と、少年は思った

雨に濡れるということはたぶんこういうことなのだろう

引力から開放された時
雨はあがった。

見上げた空が眩しかった。






あの夏の日 2   2004年06月16日(水)

雨と同化した。
すべての引力が少年を支配した。

体に沁みた雨は足を伝い地に潜り
沸いた蒸気が頭から天に昇った

雨を通じて天の匂いを嗅ぎ
少年は雨を抱いた


雨はまるで天から少年だけを目指しているかのように
いつまでも少年に落ちてきた。





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