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お盆の頃 2006年10月15日(日)
少年時代、その日が近づくとドキドキしていた。
その日の為に新調した提灯 もう何年も使い続けた提灯 とりわけ大きい父とおばあちゃんの提灯 家族全員のそれぞれの提灯がある
夏の夕暮れは遅く 特にその日は日が暮れるのを心待ちにしていた
ようやく辺りが薄暗くなる頃 提灯に燈が灯される
ぼくは自分の提灯に短い竹の棒をくっつけ それを持って先頭を歩いた 兄と父は一本の長い竹の棒を互いの肩に担ぎ その棒に3つの大きな提灯をぶら下げて後に続いた 母と姉2人とおばあちゃんも それぞれの提灯を持って そして家族全員で墓へと向かった
ぼくの家は村の一番はずれにあり 墓は反対側のはずれにあるので 村のはずれからはずれまで提灯をぶら下げて歩くのだ その道すがら大人達は他の提灯の家族達と軽い挨拶をしたり ぼくたち少年は互いの提灯の自慢をしたりする
提灯の燈はぼんやりと持主の顔を照らし
その提灯の長い列が真っ直ぐに墓へと向かってゆく
それがどういう儀式なのか お盆とはどういうことなのか ご先祖様とは何なのか
そんなことなど何もわからない少年達は ただその日だけは特別な日だった。
つなさんの一本花を見て故郷のお盆を思い出しました。
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