くじら浜
 夢使い







お盆の頃   2006年10月15日(日)

少年時代、その日が近づくとドキドキしていた。


その日の為に新調した提灯
もう何年も使い続けた提灯
とりわけ大きい父とおばあちゃんの提灯
家族全員のそれぞれの提灯がある

夏の夕暮れは遅く
特にその日は日が暮れるのを心待ちにしていた

ようやく辺りが薄暗くなる頃
提灯に燈が灯される

ぼくは自分の提灯に短い竹の棒をくっつけ
それを持って先頭を歩いた
兄と父は一本の長い竹の棒を互いの肩に担ぎ
その棒に3つの大きな提灯をぶら下げて後に続いた
母と姉2人とおばあちゃんも
それぞれの提灯を持って
そして家族全員で墓へと向かった

ぼくの家は村の一番はずれにあり
墓は反対側のはずれにあるので
村のはずれからはずれまで提灯をぶら下げて歩くのだ
その道すがら大人達は他の提灯の家族達と軽い挨拶をしたり
ぼくたち少年は互いの提灯の自慢をしたりする


提灯の燈はぼんやりと持主の顔を照らし

その提灯の長い列が真っ直ぐに墓へと向かってゆく

それがどういう儀式なのか
お盆とはどういうことなのか
ご先祖様とは何なのか

そんなことなど何もわからない少年達は
ただその日だけは特別な日だった。



つなさんの一本花を見て故郷のお盆を思い出しました。







宇宙の法則   2006年10月14日(土)

いつの間にか秋になっていた
傍らの草が風にたなびき
その風は悠然と去ってゆく
費やした歴史がそこに刻まれるなら
僕はその風を止め
一本の木になろう









宇宙の法則   2006年10月13日(金)

「海は母だね」と 君は言った
「じゃ山は父?」
「うーん、山も母かな」
「なんで?」
「宇宙そのものが母だから」

 そうか 僕らはまだ母の中の胎児なのだ









東京湾に上がる太陽   2006年10月12日(木)

湾岸線を東に北上
工業地帯の彼方の東京湾に
真っ赤な太陽が昇る

午前5時45分








強いチカラ   2006年10月10日(火)

欲しいと思う時には手に入らず
気がつくといつの間にかそばにある
もっともっと大きな
強いチカラが欲しいのに。








青空を見上げる   2006年10月08日(日)

雨がいつまでも続くと
夢を思い出すようで
その雫の繋がりは
ゆっくりと離れていく
千切れた水滴が
夢の終わりを告げたら
青空が広がっていた。







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