2005年11月22日(火)  「フリージア」6巻 松本次郎

■フリージア6巻  著・松本次郎

猫のばあさんに刑が執行されて、溝口さんが精神異常と判明。
…というか、この漫画でまともなキャラなんてそうそういないだろう。
たいがい、刑を執行される側(犯罪者)の方がまともだ。

それにしても、デンパなヒロシさんがとても素敵です。
p38の見返りシーンとp45の返り血浴びてるシーンがなぁ。
なんでこんなにメガネは素敵なんですかぁ!!
キンゲのゲイナーにしろ、この叶ヒロシにせよ、メガネはやっぱ魅惑のアイテムだ…。
キュンキュンするメガネランキング、上位。
ゲイナーと叶ヒロシとロアルド(アバチュ2)ですね。
ロアルドは色メガネだけど。…いや、サングラス。
あ。脱線だよ。メガネ語りはもういいよ。

「 なぜ止めるんです?
    これはあなたたちが望んだ事じゃないんですか?
 
  僕が何か間違っているであれば、教えてもらえないでしょうか?」

河原でいちゃもん付けてきたちんぴら共を、ボコボコにする主人公。
確かに、相手はヴァイオレンスを望んだが…。
間違っちゃいないよ、叶くん。
だがね、だが…、君はナイーヴすぎるんだよ(意味不明)
痛いキャラだなぁ、このキャラ。
ブチ壊れ具合が半端じゃないっすよ。
一体、どうやって彼は壊れたんでしょうかね。
今巻で一番、ズシンと来たシーンですかね。

スーパーでは「お菓子買ってぇぇぇ」と泣き叫ぶ子供に接する叶くん。
子供にも対等に話する辺り、えらいというかなんというかやっぱりデンp…(殴)
買ってあげようとしたら、お母さんが飛んできたけど、この母さんと子供は、短編に出てた人らだった。そう、私が好きでも作者が好かぬ短編。


そんな訳で、次の標的が決定。
ヤクザのおっちゃんの人情味に泣けた。
なんだよ、やっぱりすごいね、人情だよ!この世界は!!(号泣)
友達っつってもこんなヘタレな友達のため、命かけるたぁ。
やっぱり、漢を知ってるよ、この職業の人は!!(変な先入観有)

死ぬと思うと泣けてくる。

前のトシオも漢だったしなぁ。
だから、相手の執行される側の方がいたってまともで人情味あるんだって。
それがまた切ないのだよ。
執行側がこんなにゆらゆら揺らいで不安定な人間ばかりだからさ。

そういえば、久方ぶりにエロシーン勃発。
私、このおだんごの頭の子あんまり好きじゃないのですよ。
黒髪が乱れる女の子キャラやないと嫌ですわ(HENTAI)
ヒロシとこの子の仲は、果たして上手く行くのだろうかね。
頑張れ、と有り大抵の言葉をかけて終わる。


2005年11月20日(日)  「STEEL BALL RUN」6巻 荒木飛呂彦

■スティール・ボール・ラン6巻  著・荒木飛呂彦

なんだか発刊ペース早くないか?
あっというまに6巻です。

今回は、ついにDIOが覚醒致しました。
過去の背景も描かれておりますが、これでDIOが「DIO」じゃないと確証。
「WRYYYYYYYY」のDIOじゃないんだよ。このDIOは。
背表紙のDIOはあからさまに小さいのでちょっと寂しい。
そして、ついに能力に目覚めるのですが、あからさまにおそろしい

だ っ て 、 恐 竜 化 だ よ ?

自分だけでなく、周りの生物も恐竜化させてしまう能力。
挙げ句の果てに、ジャイロまでも…、大丈夫?主人公!
どうなるんでしょう。この話。
ディオも死体集めしているのかね。
先読もうとしないできないする余裕がない(笑)
すごい漫画であります。


今回の見所は…
ラリったディオが、乗馬中トリッキーな動きを見せるところ。
なんだよ、こいつ(笑)


2005年11月15日(火)  漫画喫茶にて。

■クレイモア  著・八木教広

きれいなおねいしゃんが大剣を振り回して戦うファンタジー。
エンジェル伝説が面白く、月刊ジャンプにも素敵な漫画家さんがいるなぁと思ってた昔。
やっぱりおもしろいよ、この人の漫画。
ちょっとなかなかすばらしいです。
泣き所のツボもい〜い感じで突いてくるしなぁ。
きれいどころが妖魔に変身っつう設定も素敵です。
おもしろい。
美少女版、子連れ狼ですな。


■珍遊記  著・漫☆画太郎

うわ〜、懐かしい。
WJ初めて読んだときくらいに連載されてたはず。
同級生の男の子たちが夢中になっていたことを覚えている。
ぶっ飛んでる作品ですねぇ。
これ以上の漫画、出ないよなぁ…少なくとも、今のWJでは。


■破壊王  著・たなかかなこ

牛若が女の子だったら…と仮定した作品。惜しげもなく女体まみれ(笑)
弁慶よりなにより、信濃坊・戒円がなぁ、ツボなんだよなぁ。
この人の逆毛キャラにはとことん弱いですよ。はい。
テーマがテーマだけに、打ち切りが悔やまれる。
これから奥州藤原氏が出張ってくるのに!
源氏側の大物、頼朝も描かれていないのに!
北海道・蝦夷一族が出てきたから、またアイヌが来るかと期待していたのに!
そしてなにより、戒円がバージョンUPするのが楽しみだったのに!!
あぁ、なんつうか、逆毛+つり目だったらなんでもいいです(笑)
また、暗い過去も背負ってるあたり、ツボです。
キュンキュンきますな、こういうキャラには。
短編の佐々木小次郎もかっこよかったなぁ。
…もったいないなぁ、本当、この人も打ち切り作品ばっかだよ。
がんばって欲しいです。好きなんで。


2005年11月14日(月)  「沙門空海唐の国にて鬼と宴す」 夢枕獏

「沙門空海唐の国にて鬼と宴す」 夢枕獏

執筆に17年かかった超大作らしい。
本文読むより何より、まずは作者の後書きから読んで頂きたい。
なに?この褒めよう。
自分の作品をこれまで褒めちぎる人を見た事がないのですが、私。
自画自賛、と前もってことわって、この作品はど傑作と言い切る。

でもね、すごいのよ。ホントに。

最初はちょろちょろと流れる小川が、方々の小川と合流して最後には轟々と音をたてて海へ流れる奔流になるわけですよ。
伏線の張り方がすごい。
いろんなところで起こる小さな出来事が、実は全部繋がっていて大きな事象に発展する。
「どうなるんだこれ」と思っていたのが「うわぁ、こう来たか」と。
読んでいてドキドキハラハラ。次はどうなるのか心配でならない。
夜な夜な読書していたのだが、キリの良いところで止められない。
おかげさんで、寝不足になった。

さて、時は遣唐使の頃、処は中国・世界の中心「長安」、話を紡ぐは留学僧・空海。
相方には、空海と並ぶ三筆の一人・橘逸勢。
この2人のやり取りは、「陰陽師」の晴明と…あ〜名前忘れた。貴族の濃い顔の人。の掛け合いを見ているかの様。
そういえば、「陰陽師」もこの作品と同じ頃に書き出したそうだ。
根っから陰陽道とか密教とか、そういうジャンルが好きな私はコロリとはまりました。
時代背景もまた宜しく、胸が高鳴る作品なのでございますよ。
ところどころに仏教の教えが散りばめられていたり、仏像が喋ったり。
そうそう、小さい説話が「今昔物語」の一編だったりして、また引き込まれた。
そういう時代なんですものねぇ、この時代は。
スキなものがゴロゴロしている話なんですよ。この作品。

あまり多くを語るとネタバレなんですが、かの有名な玄宗皇帝と楊貴妃、この話が一番深くに根付いております。

史実に基づく登場人物。これがまた物語に引き込む一因。
李白や白楽天(白居易)、阿倍仲麻呂など、古典の教科書に良く出てる人がごーろごろ。
彼らの吟じた歌がそのまま話に結びつき、「あぁ、もう!なんで高校時代にこの小説読まなかったんだろう!」と後悔。
当時ちんぷんかんぷんだった歌の一節一説が、痛い程染みてくる。

「天の原 ふりさけ見れば春日なる 三笠の山に出し月かも」by.阿倍仲麻呂

これなんて、母国に帰りたい阿倍仲麻呂の思いがびしびし伝わりますねぇ。
そうなんです、阿倍仲麻呂は遣唐使として唐に渡り、その後、唐の国家試験「科挙」に合格。
出世の道を昇り登って、ついには唐の皇帝…玄宗のお側近くまで使えちまったんですわ!
能力の高さが買われ、日本に帰りたいと恋いこがれつつも、叶わなかったのでございますよ。
そのつらさ、この歌に読んだっつうわけですよ。
古典の教科書、これにはポン、と載ってるだけ。
しかし、そのバックグラウンドを考えると、とっても味わい深い歌になるわけです。
多分、全ての歌はそうやって、歌人の思いを汲んでこそ、本当の意味がわかるんだろうなぁ、と感じましたよ。
それにしても、時は奈良時代…すごくはないでしょうか。
いくら才能があるからって外国人をそこまで起用する唐の政治にも驚くが、
なんといっても、その才能を持ち得た日本人…倭人が居たって言うことがすごい。
いやぁ、我が国日本もなかなかやりおりますなぁ。
東端の小国なれど、大きな器をもった人材はほらこのとおり、居たんですよ。
そういう歴史認識を教えてくれる作品でもありますねぇ、これ。
一体、私は学生時代なにを勉強していたのかと後悔する。
「受験のための勉強」だったんだなぁと思う。
こんなに面白い事学んでいたのにな…もったいない(号泣)

んで、その阿倍仲麻呂の上を行くのが、この物語の主人公、空海。
たくさんの人と会い、いろんな知識をあまさず吸収して行く様、まさに稀代の天才。
そして「密を盗みに来た」と言ってはばからぬその自身、実力。
へぇ、こんな人だったんだろうなぁ、と頷いてしまう。
唐の国で起こったこの物語、脚色なんだけど、本当に合ったかの様に思える。
楊貴妃の一連の話にしても(これを言ったらネタバレになるからなぁ…)きちんとした背景があって、誠の事と信じ込んでしまう。
すごい作家さんであります、夢枕氏。
陰陽師を読んだとき以上。あれは短編で成り立ってて、一つ一つが小気味よい作品でありましたが、この「沙門空海」…長編も長編。
しかし、その長さの分、面白さは倍加。
実在の人物、そして夢枕氏の作った人物。
両方本当にこの時代に生きていたとしか思えませんわ。
それだけ写実見溢れて止まらない。
フィクションなのに、なんせ昔の事ですから、そしてなんでも有り〜の時代のことですから、「本当に合った事なんでしょ?」と思い違いをしそうだ。

というか、私はこの作品を史実と認めても良いと思う。

これが率直な感想ですな。
内容に関してはほとんど語らぬ感想でありますが、これは是非、読んで頂きたいが故。
ご自分の眼でお確かめ有れ、稀代の世界人・空海の生き様を。


2005年11月06日(日)  「古事記」角川書店・編

「古事記」 角川書店・編

角川文庫のビギナーズ・クラシックスというシリーズ。
原文と訳が分けて書かれていて、訳だけ読んだらあっというまに読める量。
古事記の隅々まで網羅しているわけではなく、あくまでも入門書。
随所に写真やイラストも掲載されており、古めかしい雰囲気一切無し。
戦前の尋常小学、と言われる時代の教科書押し絵が載っていたり。
古墳や遺跡の写真が白黒ながらも、想像をかき立てる。
巻末には歴代天皇の表、遺跡の住所録等があり、資料としても活躍しそう。

内容は、有名所の説話をピックアップしているので、他の古事記関係書物を読んだ人は物足りない…かも。

しかし、訳は堅苦しくないし、すぐ横に原文置いてあるから、古文の勉強に持ってこい。
…古事記にしろ今昔物語にしろ、なんで学生の時に出会ってなかったのかなぁ。
あの頃に興味持って読んでいたら、古典の点数相当よかっただろうに。
余談になるが、「伊勢物語」はエロ話だと聞いて、気合い入れて口語訳したなぁ(笑)
でも、ぜんぜんエロ話じゃない、と落胆した覚えがある。
あの時代は慎ましやか〜な性表現ですからなぁ。「一夜を共にした」とかそんなんだし。

それに比べると、古事記はすさまじい。
しつこいでしょうが「吾が身は成り成りて…」の一文。
あれを高校古典でやってくれ、そしたら皆興味津々だっつうの!!
至るところで皆ラヴラヴですからなぁ。出会って速攻結婚とか。
可愛い娘見つけたら、「んじゃ、明日きみんち行くよ」とか。
すごいよなぁ、昔の人の貞操観念。

神代期はほとんどオススメ。
いわゆる国造りのイザナミ・イザナギの話から、アマテラス大御神の岩戸隠れ、因幡の白兎や大国主の命、そしてニニギの命の天孫降臨。
神様の時代の話は、おもしろ可笑しく読めるのに対し、天皇時代になると、色恋沙汰メイン。
その中でも、悲恋ものが泣ける。
次期天皇の座を捨ててまで、妹との禁断の愛に走ったり。
天皇の思い人と駆け落ちしたあげく、追っ手に追われる身となったり。
こういう辛い恋の仲で、感情を詠んだ歌が作られ、和歌に発展するのですな。
古典嫌いは大分解消したけど、今もって和歌は許容範囲外。
ちなみに、ヤマトタケルが、ミヤズヒメというお姫さんに詠んだ歌がまたえげつ(?)ない。

「ひさかたの 天の香具山 利鎌に さ渡る鵠
 弱細 手弱腕を 枕かむとは 我はすれど
  さ寝むとは 我は思へど
 汝が著せる 襲の裾に 月立ちにけり」

―久しぶりに会った愛しい人よ、君の腕を枕にして一緒に寝たいと思ったが、君の上着の裾には経血が…。

なにをズバリとおっしゃいますか、あなた様!!
私も乙女の端くれ、驚きましたよ。この歌には。
そして、お姫さんは「ホント長い間待ちましたよ、だから月が立つのもごもっとも」と返してる。
うむぅ…あけすけとしておりますなぁ。歌にするところがまだなんとも…。
というか、当時の人はまだ、月経を不浄とは見なしてないのでしょう。
平安時代には、女官にお宿下がりがあったんだっけか…いわゆる生理休暇。
あら。ちょっと生々しい話に脱線してきましたので、この辺で。

とりあえず、いろんな話の原点になっている日本の神話。
これの入門編にしてはいかがでしょうか。
神様達のてんやわんや、天皇一族の恋愛事情、これらが現代の現人神に通じてるって考えると、皇室のニュース見る目も変わりますよ(ちょっと規定ギリギリな表現だな…)
なんにせよ、我が日本国最初の物語ですので、一度はご覧アレ。
まんが日本昔話に負けずとも劣らない面白さです。




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