六本木ミニだより
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■移住してから2週間。最初の興奮とトキメキがさめてくると、この街の暮しにくい部分が、じわじわとしみてくる。わたしが「六本木に住むんです」といったときの、相手の「えっ」という顔の意味がだんだんわかってくる。
■いちばん辟易しているのは、銀行と郵便局の混雑だ。銀行のATMの長蛇の列は、いつ見てもげんなりする。月曜日は銀行に近づかなくてすむように、よく計算してお金をおろしておくしかない。
■でも、もっと困るのは郵便局の窓口。飯倉の本局は遠くて、近くには前に暮していた川崎の住宅地にあったのと同じくらいの規模の郵便局しかなく、どう考えても人口と窓口の数が合っていない。そのうえ、小さな郵便局に、何百通という料金別納郵便を抱えたОLさんたちが並ぶので、「あと5人だ」と思っても、ひとりに5分ぐらいかかる。彼女たちは就業時間内だからいいけど、その間に混じってゆうぱっく1個抱えた私は、効率悪いことこのうえない。
■マツキヨをはじめドラッグストアには、見事なぐらい、再生紙のトイレット・ペイパーが置いていない。それから、「燃やしてもダイオキシンの出ないラップ」も置いてない。人間て、いろいろな方向に快感を求めるものだけれど、そういうことで「地球に貢献したわ」みたいな快感を求める方向にはいかない街なんだな、と思ったとき、ちょっと、自分が100%なじめはしないかもしれないな、と実感した。
■アパートの日当たりはものすごく悪いので、一日原稿を書いていると、穴ぐらにこもっているような気になる。ちゃんと寝ない、とか、ちゃんとご飯を食べない、というのと同じぐらい、ちゃんとお日様を浴びない、というのも、健康に関係すると身にしみてわかった。そういう日は、タフな日だな、と思う。明日あたり、乃木坂の方へ、ぶらぶら散歩に行ってみよう。
大方の人は、六本木というとこういう風景を想像しているような気がする。で、まあ、それは事実ではあるんだけど。
2003年12月24日(水) |
「節約術」というものがどうしてもやってみたくて。 |
■引越し前はどこにも出かけられなかったせいか、けっこうテレビを見ていました。なかでも興味深くみていたのが、「節約系」の番組。やりたくなりますよねえ。あれ見ていると。
■私が見たときは、「賢い節約主婦は古ストッキングを上手に利用」みたいなアイディアをやっていたのだけれど、私はストッキングをはかないので、古ストッキングがほとんどありません。でもやってみたいぞ、節約ネタ。なんかないか? なんかなんかなんかないか? と、ふと思いついてやってみたのがこのアイディア。
■これは何か? そう、洋裁好きのあなた。あなたのおうちにもきっときっと転がっている、使いでの悪い接着芯ですよ。それを、ミニ・キッチンの換気扇より一回り大きく切って、マスキングテープで貼っちゃったの。
■市販の換気扇カバーって不織布でできてるじゃないですか。そして、高いじゃないですか。それに比べて、不織布の接着芯って、最初は初心者向きだから買うけど、だんだん違うの使いたくなるじゃない。ちなみにこれ、生まれて初めて「接着芯」ってものを買ってみたときからずっと家にあったような気がする。メーター300円だったとしても、我が家の換気扇なら1メートルで6枚ぐらいはとれる。1枚50円だ。
■問題は、ちゃんと空気を通してフィルターの役目をするか? そして裏側の糊がはってある部分は影響ないのか? ってことなんだけど、この状態で換気扇のスイッチを入れたら、換気扇に「びたっ」と張りついたから、空気は通しているらしい。この状態で使ってみてとにかくどうなるか、やってみましょう。「そんなことはやめたほうがいい」という人、「もうやってみた」という人(たぶんいないと思うけど)、ぜひ下の「メール」のところからお便りください。あと、ランキング久々に参加してみたので、よろしくね。
2003年12月23日(火) |
電熱コンロ怖れるなかれ |
■わりと料理好きなので、(千葉敦子の「ニュー・ウーマン」の食生活の項を読めば、誰でも料理好きになるのではないか?)キッチンにはこだわってきた。はじめてひとり暮ししたときから、キッチンはガスコンロ2口のところにこだわって住んでいたし、そこで堂々、コック・オ・ヴァンやらビシソワーズやら作ってた。電気のミニコンロなんて、ちゃっちくて使えないと思っていた。
■その偏見がとれたのは、2年前、カナダにスタディ・ツアーに行ったき。ブリティッシュ・コロンビア大学の寮にも、ウィスラーに遊びに行ったときに泊まったキッチンつきのホテルも電気コンロだったけど、そこで鍋でご飯を炊いてみたら、これがめちゃめちゃうまかった。ガスコンロよりも電気コンロの方が、火を消した後、余熱が持続する。これが、ご飯の「むらし」にきくのだ。
■そういうわけで、このマンション、いわゆる昔のワン・ルームタイプのミニ・キッチンを見ても、「怖れるなかれ」と思った。ご飯を炊いてみたら、最初は「うーむ、おねばが足りないなあ」という感じだけど、2、3度繰り返しているうちに、コツをつかんできた。
■電気コンロの効用はもう1つあって、私は1ルームのうちの、キッチンに近い方に仕事机を置いているのだけれど、ここに座っているときは、エアコンをつけずに、電気コンロを弱火にして、やかんをかけておく。弱火だと80Wぐらいらしいので、エアコンをかけるより、電力消費も少なく、部屋も乾燥しない。
湯気が撮れないと、おいしそうに写らないよう。
■Our Planet TVの主宰者、白石草さん宅のクリスマス・パーティにお呼ばれ。白石さんは、パートナーとお嬢さんふたりとの4人暮らしで、現在、日経スマートウーマンに「まるごと事実婚ライフ」を連載中。このエッセイ、総アクセス数が20万を越えたんだそうな。
■パーティ、というのは気がひけるものだけど、それでもホスト&ホステスがみんなを把握してくれているホーム・パーティは、すぐリラックスできて嬉しいですね。共通の話題も多く、初めての人ともすぐ打ち解ける。私の「千葉敦子にかぶれて六本木に移住」発言にも、「ああ、千葉敦子ですか、わたしも(僕も)好きです」という人が複数人いた。とくに「死への準備日記」の人気が高いようだ。
■この日は食べ物持ち寄り&1000円のクリスマスプレゼント交換つき。つい2、3日前に、「オーブン捨てちゃって、毎年クリスマス・パーティに焼いていたチキンが恋しい」と書いたばかりだというのに、(もちろん偶然だけど)チキンを焼いてもってきてくれた人がいた。うん、なんでも自分で頑張らなくても、チキンを食べられる日は来るのね。
なんと、詰め物はカキ。焼け具合もやわらかく、めちゃめちゃおいしかった。
2003年12月19日(金) |
フランクリンがレイアウト改良 |
■フランクリン手帳、2004年版にリフィルを交換。新しいパッケージを開いてみたら、レイアウトが改良されていて、2003年版よりずっとつかいやすくなっている。どうしても手帳が重くなってしまうので、これ以上大きいサイズを使いたくないので、1枚の紙にたくさん書けるようになって助かる。とくに月間スケジュールのところは、たくさん書き込むのでいっぱいいっぱいになっていたから。
■ランチタイムに、M's closetのmihoさんが、新作コートを着て遊びにきた。彼女の反応を見てわかったのだが、「六本木に住む」って、今までそんなこと考えたこともなかった人には、どうやらwebで見ただけでは、まったくピンと来てなかったらしい。mihoさんは我が家のベッドでごろごろなさってご自分で実験なされて、やっと、イメージしていたよりずっと快適だということを、体感して帰っていった。どうやら悪いことを教えてしまったようだ。
新しいフランクリンの月間スケジュール。昨年のと比べると、1行増えている。上にちらりと写っているのは、mihoさんが書き残していったケープの製図。
■転居の連絡を始めたので、ぽつらぽつら、反応がきはじめた。その多くが「お食事しましょ!」で、嬉しい悲鳴。
■なんてったって、観光地だもんな、ここ。それに、みんなが寄りやすくなるように、選んだ場所でもあるのです。ここならずいぶんたくさんの人が、仕事帰りに「ちょっと」寄れる。大江戸線の開通で、新宿方面の人が近くなったのも嬉しい。
■千葉敦子が、六本木近辺に住む利点について「10人以上の親しい友人が、歩いていける距離に住んでいること」と書いてあって、それこそ目からウロコだった。友達の家に歩いていける、なんて、おとなになってからはすっかりあきらめるべきこと、と思っていたから。でも、考えてみたら、おとなになって、住む場所も、つきあう人も、選べる歳になったからこそ、みんなと交流できる場所に住むことができるんだよね。
■やっと仕事再開! で、本日は校正中。でも、年末は楽しい予定で手帳がうまりつつあります。
■今回の引越しで、ずいぶんいろいろなものを捨てた。捨てるのは嫌いなので、なるべく売ったり人に譲ったりしたのだけれど、間に合わないものもずいぶんあった。
■なかでもいっぱい捨てたのが調理道具。14年間使ってきたフード・プロセッサーを初め(14年以上前にそんなものがあると私に教えたのはもちろん千葉敦子)、お菓子作りの道具やら、やっぱり14年前に買ったオーブンやら、とにかく捨てた。オーブンはここ数年はほとんど使わなかったけど、それでも年に1度、クリスマスのときにだけは、鶏を丸のまま1羽丸焼きにして、パーティを開いてみんなで食べるのは、めちゃくちゃうまかった。タルト型だって、前の交際相手とのデートのときに、何度キッシュを焼いて戸外に持っていったっけ。「ものより思い出」というけど、「ものと思い出」はそう切り離せるものではなく、しばらくこの悼みは続きそうです。
■写真に写っているのは、88年に買ったアイスクリーム・メーカー。母がもうガン末期になっていて、何も喉を通らなくなっていたときに、新聞で新製品の記事を見つけて、これでアイスクリームを作っては病室にもっていっていた。ひとり暮しするときに持って出てからは、会社の帰りに夜、駅で降りると、よく、トラックが来ていちごなんか安く売ってますね(あまり甘くないやつ)ああいう果物は加工すればおいしいので、あれと牛乳と生クリームで、いちごがどっさり入ったアイスを作って食べていた。
■このアイスクリーム・メーカー、いかにも技術屋さんが作った、という感じのおしゃれじゃないデザインだけど(日本軽金属の製品で、商品名はその名も「どんびえ」)、この液体金属を使って冷やし固める、というアイディアは、その後、何年もたってから、ウィリアムズ・ソノマに採用されることになります。
■今回、これだけは難を逃れて妹にあげることになった。今日、古い家を掃除に行って、「人にあげるんだからきれいにしよう」と思って、もう一度、洗った。箱をあけたら、ほのかにヴァニラの香りがした。なんか泣けた。
2003年12月16日(火) |
おそるべき電気店、おそるべきホース |
■六本木交差点から飯倉片町方向に2、3軒行ったところに、ノザワ電気というごく普通の電気店があり、大型店の進出で街の小さな電気屋さんがバシバシつぶれていく昨今、「大丈夫なんかいな、このお店は」と、前を通るたびに密かに思っていました。このノザワ電気店が、六本木の夜の文化を支えているおそるべき電気店だったということは、最近になって、テレビで知りました。
■六本木には、いろいろ内装の凝ったお店がゴマンとあるわけで、そうしたお店は照明器具もそれぞれ特殊なものを使っている。で、その、他では見たことがないような電球の、きれちゃったやつを持った店員さんたちが「これと同じ形の電球、ありますか」と、このお店に駆け込むと、どんな電球でも見事に出てくる。脇役に強い電気店なのです。
■そんなことを知っていたので、今日、洗濯機の延長ホースを買いにこのお店に行きました。案の定ばっちり売っていて、しかもメーター600円のところ、70センチでいいといったら、ちゃんとはかり売りしてくれた。取り付け方も親切に教えてくれました。
■さて、なんで延長ホースを買いにいったかというと、六本木のたいていのワンルームマンションには、洗濯機置き場がありません。みんな事務所兼用だから、1平米でも無駄なスペースは作れないってことで、ないのが普通みたいなのです。私が住むことにしたマンションは、この部屋だけオーナーが壁に水道管ををぶち抜いて、ベランダに洗濯機を置けるようにしてくれてあり、それが気に入って決めた・・・までは良かったんだけど、昨日使ってみたら、ホースが短すぎて、隣の部屋のベランダの方へ水がどんどん流れていっちゃうの。で、「排水ホースなんて延長できるのかな、そうだ、あそこなら何とかしてくれるかも」と思って買いに行ってみた次第。
視力検査の表ではありません。ノズルとホースを接着剤でとめてくれた。明日完全に乾いてからとりつけます。
■このたび、引越ししました。場所は、かねてからの念願だった六本木です。
■きっかけになったのは、new new woman でした。実は、new new woman の「住生活」の最初のコラムを、「いつかは六本木」というタイトルにしようと決めていて、「じゃあ、それはいったい『いつ』なの?」と自己ツッコミいれたところから、今回の移住計画が始まりました。
■私に「六本木なんて場所に人が住めるんだ」ってことを最初に教えた人はもちろん千葉敦子ですが(彼女はこの近辺に長年住んでいました)、私にとって、ロケーションといい、広さといい、間取りといい、引っ越してみて、こんなに嬉しくて、住むことが「ラクチン」と思った場所はないのです! それはたぶん、自分の「暮らしぶり」と、「すみか」がぴたりと合ったということなんでしょう。住生活でこんなにハッピーになれたのは、私にとって初めてのことで、ちょっと興奮しています。仕事も「頑張ろう!」って気になっています。
■「単身で、都会で、仕事場を兼ねて、豊かに」暮らしていくのに、どんな工夫をしているか。楽しく、興味深いレポートができればいいと思い、エンピツをリニューアルしてみた次第。なるべく更新、がんばりまっす。
ベランダの向うはこんな感じ。植え込みはつつじです。結構イメージと違いません?
2003年09月17日(水) |
バッドボーイズ2バッド/S.W.A.T |
『バッドボーイズ2バッド』
眠かった。ていうか寝た。そして、私はこの映画に寝てしまう自分が好きだ。私を静かに寝させてしまうこの映画も好きだ。 この眠気は、「スナッチ」を見たときに感じたのと同じものだ。あのときも、ガラガラドッカンうるさい中で、私はどうしても船をこぐのを抑えられなかったんだっけ。ミソジニーな連中の物語は、勝手にやっていればよい。全然悪いことじゃない。女嫌いのくせに女に「ステキ!」といわれなければアイデンティティを保てない潜在的ミソジニストの方が(例えばジェームス・ボンドとかさ)よほど困る。画面の中に男しか出てこないミソジニストのやることは、私を挑発さえしない。実に平和的だ。あなたたちは暴れる。私は寝る。ケンカにすらならない。そういうのを「住み分け」というのではないですか?
『S.W.A.T』
面白いような、面白くないような。とりあえずコリン・ファレルは、これぐらいきれいにヒゲを剃っているときの方が私は好きですけど。 「面白い」という見方は新しい敵の作り方。市民が警察に協力せず、犯罪者の「俺を逃がせば1億ドルやる」という誘いの方を選んでしまう、ということ。こうなると、もう誰が敵になるかわからない。一応オチはついて犯罪者は無事連邦刑務所に収監されるのだが、その次の瞬間、刑務官が寝返るかもしれない、というワクワク感がある。つまり、「ちゃんと税金払った分、国家はちゃんと俺たちのために働いてくれてんのかい?」という問いが、彼らの行動の指針となっているように見えるのだ。 「面白くない」という見方は、それに対してマゾヒスティックに任務を遂行してしまうS.W.A.Tの面々。そのいい子ちゃんぶりが鼻につく。この人たち、かなりのワーカホリックである。家族団欒のプライベート・タイムにも携帯一つで呼び出され、それがなんだか嬉しそう。大仕事を終えたあともすぐ指令が下ったりして、「しょうがないな、やるか」の裏に「市民の皆さんが誰もわかってくれなくても、僕たち頑張るもんね」という嬉しいため息が混じる。 というわけで、私はその両方を感じながら見てました。隊員の中に女性(ヒスパニック、シングル・マザー)が混じってますが、現実にはS.W.A.Tにはまだ女性が採用されたことはないんだそうですね。それと、悪役の麻薬王に「運命の女」のオリヴィエ・マルティネス。最近、麻薬王にインテリなイケメン(死語)を使うのが目立ちませんか?
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