楓蔦黄屋
もくじ|←昔のを読む|新しいのを読む→
2020年11月27日(金) |
甲戌・朔風払葉・冒険 |
子どもとちょこっとおでかける。
とある目的のために土地勘のない町中を歩く。 目的を果たすのは合計30秒ぐらい。 歩いたのは5時間。
だんだん寒くなってきた季節の中を歩く。 寒くなってきたから暗くなるのも早い。 寒くなりはじめだからアウターを着たり脱いだりが面倒で忙しい。 そんな中をふたりで歩く。
目的を果たせて嬉しいねと言ったり 見知らぬ公園でギュンッと遊ばせたり 歩いてるとちょっとお互いイラッとくる瞬間が訪れて あっこれは疲れだ、いかんいかん落ち着こうとふたりで深呼吸したり コンビニに寄って道の脇でホットスナックを食べる。
目的に間に合うか間に合わないかのところで走る。 ワー!疲れるー!とはしゃぐ。 電車に乗り間違えたのを子どもが気づく。 目的の場所を子どもが見つける。
めちゃくちゃ楽しいな。
子どもと二人ででかけるのはめちゃくちゃ楽しい。 昔からそうだった。 赤ちゃんの頃からそうだった。
疲れるし間違うし機嫌悪くなるしで体力が削られるんだけど、 それでも楽しい。それが全部楽しい。
別にふたりで終始ニコニコしてるとかそういうわけでもないし、 すごい面白いことがあるわけでもないんだけども、 なんか楽しい。
そして子どももどうやらそう思ってくれてるらしい。 楽しいねーなんかわかんないけど楽しいんだよねー、とふたりで言い合う。
家族3人ででかけるのも楽しいし ダンナと二人で出かけるのも楽しいんだが、 子どもと二人で出かけるのはなんというか、なんだろうな、冒険感があるのかな。
赤ちゃんの頃は特に、冒険感がものすごかった。 装備もものすごかった。 今思えばあんなに持ってなくてもよかったよな、と思うけど、 それもあんなに持って行ってたから得た、自分だけの知識だ。
ひとりでなら入れる喫茶店にも子連れだと入れなくて、 自販機で買ったあったかいコーヒーを飲みながらちょっとだけ寂しい気持ちになったけども、 それ以上になんだかその状況そのものがめちゃくちゃ楽しかった。 抱っこひもの中があったかすぎて全然寒くなかった。
ちょっと前までは、 でかけた先でイヤな思いをすることにとてもおびえていた。
でも今、子どもとでかけるときはいつも、 なんか困ったことが起こるかもねえ、そのときはどうしようねえ、 まあ無事に帰ってこられたらいっか、と思えるようになってきている。
私と出会ってくれてありがとう。
2020年11月21日(土) |
戊辰・脳内イメージ分野 |
はー。
今回もなんとかのりきった。
-----
自分が今している仕事=納期遅れがち
みたいなイメージが浸透していることが 本当にありがたい。
納期をキチッと守っている人はいるし 社会性のある人が重宝されるのはどこの世界でも当たり前だけども、 でもなんていうか
かっこよくいえば 脳内イメージ分野での第一次産業 なわけで、 脳内といえば、専門家ですら未知の領域がまだまだ多い部分なわけであって
たとえば、本来的な意味の第一次産業に従事しているかたがたは お天気とか、土壌や水の具合とか、生き物の具合とかいった 自分以外の、人間ではない存在を主に相手どって、そこから生みだし、形にしていくわけで、 そりゃもうどうにもならないぐらい大変なお仕事だと思うんだけども、
仕事舞台が脳内だと、逆に 自分の中だけを相手どって、生みだし形にしていくわけであって、 それはそれでどうにもならないぐらい大変なお仕事だと思うんですよ。
そこを早くて一週間、遅くても一ヶ月かそこらでどうにか形にするところまで 持ってかねばならないという。
売れる売れないとか才能のあるなしとかそのへんの話はおいといて。
そこを納期キッチリに仕上げられる人たちは それは天才だと思う。この頃、とみに。
いろんなタイプの職人さんがいる中で、 自分自身に関して言うと 「仕事じゃないことをしているとき」がいちばんフルに自分の中を相手どれるという 非常にタチの悪いタイプなので納期を守るのは本当にしんどい。
自分の中を相手どって、それがどうにか脳内で見えてきても、 今度はそれを他人様にも伝えられるように外部出力しなければならない。 しかも自分の場合は3回も。
ふつうは同じこと3回やったら3回分納められるだろう…。
むかし、特に好きじゃないことを仕事にしていた頃、 「どうせ悩むなら自分がやりたい仕事で悩みたい」と思って今の仕事にどうにか就いたわけだけども、 好きじゃない仕事でうまくいかなかったことは 好きな仕事でも結局は乗り越えないといけなくなるわけです。
------
乗り越えたいね。いろんなことを。
あー、自分も若い頃はずいぶんまわりに許してもらってたんだろーなー、と この年になって思う。
自分が一番大変だ、と思うのは当然として、 それは他の人もそうなんだよ、ということは 最近身に染みていることだ。
若い頃は人と自分が同じだと思えなかった。 子どもの頃はもっと思えなかったのでその後遺症もある。
みんな自分よりも上だと思ってた。
今は上も下もない、みんなはみんなで自分は自分だと、 少しずつわかってきた。
だから自分も気を悪くしていいし、気をよくしてもいいのだ。 そしてそれを人にわざわざ伝える必要はない。
自分勝手でワガママな自分を 「自分勝手でワガママなんだ」と押し込めるのはもうずいぶん前にやめたけども、 「そうだそうだ、自分勝手でワガママだったわ」と思い出すことを最近覚えた。
-----
「幸せになりたい」と思ったことがない。
いつでも満たされていたというわけではない。 情が濃すぎてエネルギーがありすぎる家族が 全員それをもてあまして、誰もコントロールする方法を知らなかった家庭に育って それはもういろいろあった。
世間の不幸なニュースを見聞きして でもまあ地続きだわな、自分も何かの拍子でそうなるわな、と 思うぐらいにはいろいろあった。
家庭にいろいろあった、という話を人から聞くたびに それどころじゃねえのよこっちも、と心ひそかに思うぐらいはいろいろあった。
が、 「幸せになりたい」とかそういうことを思ったことはないな、と 折りにふれ思う。
親からもらった遺伝子のおかげでもともとそういう考えかたなのか、 物語というものに触れていたからなのかはわからないが、 「幸せ」とかそういった類いの概念や言葉がそもそも ストーリーの流れを汲み取るためのただの道具だ、と 当たり前のように思ってたからではないか と思っている。
「恋人と想いが通じて幸せになる」 「結婚して幸せになる」 「子どもを産んで幸せになる」 のではなく、 「幸せになる、という結末を迎えるためのひとつのエピソードとして 恋や愛や出産がある」 ということを知っていた。
実際は「幸せ」とは 道を歩いてたらたまたま落ちてた何か、ぐらいのもんだと思う。 それを拾っても拾わなくても、道を歩いている自分には結局さほど影響はない。
だから「幸せ」を目的に据えて行動しない。
だから「幸せになりたい」と言われてもピンとこない。
でも一度だけ、ある日自分の子を眺めていてふと 「ああ、『幸せ』って概念が具現化すると、 こんな形してて、こんな温度で、こんな感触なのか」 と実感したことならある。
やはり自分の外にあって、 自分とは違う道を行くものだ。
でも、道中で出会えて、本当に嬉しい。
11月が好きだ。
晴れの日が多い。 窓を開けて景色を眺めると 手前の建物はふんわりもやがかかってぼやけて、 遠くの景色はくっきり見える。
日が短いので 太陽の色が夜明けから一日中ほぼ変わらない。
午後になってもほぼ白い金色。 プラチナ色だ。
紅葉している桜の葉が透けて光る。 どこもかしこも美しく見える。 静かだ。
夕暮れの空の色が濃い。 紺も青も黄色もオレンジもみんな濃い。 山のシルエットも濃い。 ビルも濃い。灯りも濃い。
検索すると、私の生まれた日は晴れだったようだ。 今日も晴れていた。
11月のこんな日に生まれたんだなと思うと、 11月のこんな日に生まれて本当によかったなと思う。
読ませることを何も考えていない。
日々思っていることをただ吐き出す。 指で言葉にする感覚。 そうするとポエムっぽい。
今までの日記とテイストがまったく違って 恥ずかしいけど 慣れてきた。
なので毎日書けるかと思いきやそうでもなかった。 一日があっというまにすぎていく。 夜になると眠い。きのうは眠すぎて日記のことを思い出さなかった。
-----
下手したら10年ぶりぐらいにDVDをレンタル。 昔は毎日のようにTSUTAYAに通っていた。 最寄り駅にあったTSUTAYA。 いろんなものを観た。楽しかった。
DVDをわざわざ借りる、という行為自体がエンタテインメントになっている。
口にだすときはエンターテイメント、なんだけど、 指で打つときは指がエンタテインメントにムリヤリしている。
-----
ジブリの「かぐや姫の物語」。 ずっと観たかった。
めちゃくちゃ面白かった。 そして心にしみいった。
人間の世に生まれたいと願うことが罪。 人間の世に生まれることが罰。
罪と罰の中で、それは罪でも罰でもないと声を大にして叫ぶ。
生きてた。
羽衣を着せられて、言いたいことを遮られるかぐや姫。 だけど言い切ってしまわなくてよかった。 言い切らなかったから、彼女の中に残って、それが地球を振り返らせた。
-----
筆のタッチ、すごくよかったけど、 一方でときたましりあがり寿っぽい線に見えて、 ギャグ感がすごかった場面がいくつかあった。
それが台無しとかそういうのでなくて、 いろんなものが自分の中にはあって、 感動も笑いも共存してるんだからそれでいいじゃないという話。
-----
それの他にもうひとつ借りたDVDがあって、 まあ期待はしてなかったんだけど全然面白くなくて、 あああ本当に腐向けは俺には合わないな!と思った。
腐向けだからしょうがないけどだって女の子が全然可愛くないんだもん。
かといってステレオタイプな百合もそんなに興味がない。 自分が描くのも一方的な片想いものが圧倒的に多い。
あくまでファンタジーの話です。
楓蔦きなり
|