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導入の時期を過ぎると、生徒さんによって、得意なものと苦手なもの、興味があることと興味がないもの…などが、ハッキリしてきます。 でも、ピアノの演奏に必要なことは、ある程度決まってきます。 それらを、それぞれの生徒さんが受け入れられるやり方を考え、相談しながら、指導方針を決めていくのが、最近の私のやり方です。
指導方針を決めていく時には、現実を受け入れてもらう必要があります。 「Aちゃんは、曲をステキに弾くのは得意だけど、16分音符が沢山出てくると苦手じゃない?」 とか、 「Bちゃんが弾きたい、この曲を弾くには、こういうテクニックを勉強する必要があるわね」 とか、 「Cちゃんが、来年もコンクールに挑戦したいと思っているなら、こういう曲集を勉強しておきたいのだけれど…」 …なんていう感じです。
苦手なことを言われたり、自分の希望を叶えるために向かい合わなくてはならない困難とも思われる課題に取り組むのは、子どもにとっては、決して楽なことではありません。 でも、大抵の子どもは、それらの課題に取り組み、自分の演奏を高める事を選択します。 子どもの力って凄いな…と思う一時でもあります。
この春も、そうして、何人かの生徒が、今までのテキストを終え、新しい指導方針でのレッスンを選択しました。 ちょっとした起動修正が殆どですが、中には、殆どのテキストを変更する、大きな方針転換をした生徒もいて、こういう場合は、起動にのるまで、ちょっと時間がかかるかも知れません。 でも、そういう生徒ほど、新鮮な表情をしているのもまた事実…。 そして、指導するこちらも、新鮮な気持ちでのレッスンになります。 学校の新学期のように、教室が変わったり、先生が変わったり…という事がないピアノのレッスンですから、新鮮な気持ちになれる瞬間は貴重です。
このページを作るようになってから、ピアノ指導者ばかりでなく、お子さんにピアノを習わせていらっしゃる親御さんからもメールをいただくようになりました。 そうしたメールを拝見すると、ピアノ指導者ばかりでなく、保護者の方々も、ピアノレッスンについて、いろいろと考えていらっしゃるのがわかり、心強く思うことも度々です。
でも、ピアノをお弾きにならない親御さんが、このページをご覧くださって、このページに書かれた事を参考に、お子さんにピアノをさせている…などと伺うと、本当に大丈夫なのかしら…と、心配になってしまいます。
このページは、ピアノを教える人=ピアノを弾くとはどういうことなのか、最低限のことは経験されていらっしゃる方…を対象に、それを、知らない人にどうやって伝えるか、どうやって、より良い演奏をするか…というのを考えて行きたい…というのが目的です。 前提条件である、ピアノをある程度以上弾ける…というのがない場合、このページに書いてあることを適切に理解できる…とは思えないのです。
ピアノ指導者と違って、保護者の方は、ピアノをお弾きになる方ばかりとは限りません。 それ自体は、必ずしも問題なわけではないのですが、そのような理解の元に、練習をさせられているお子さんがいらっしゃるとしたら、ピアノが嫌いになるか、ピアノを弾く事でどこかを痛めるか、幸運にしてどちらにもならなくて、ピアノの本当の楽しみを味わうのは、難しいのではないか…という気がします。
そんな可能性を考えると、ピアノを習う方が、ピアノを通じて少しでも幸せになれるように…という気持ちで始めたこのページが、逆の役割を果してしまいそうで、複雑な気持ちになります。
2002年04月11日(木) |
春の勉強会こぼれ話(2) |
今回の勉強会で『想い出のサンフランシスコ』を演奏してくださったMさんは、60代後半の女性です。(控えめな方なので70才と書かれていますが…) お若い頃から音楽がお好きで、ピアノを習われたこともあるそうなのですが、その後何10年も離れていらして、昨年から、再びピアノに向かわれたい…と入門されました。 そして1年間、初心者向けによく知られた曲をアレンジされた曲集を使って、沢山のレパートリーを増やして来ました。 Mさんは楽しんでピアノに取り組まれ、その演奏もとても若々しいものでしたので、是非とも大勢の方にこの演奏を聴いていただきたいなぁ…と思い、春の勉強会での演奏をお願いしてみました。 最初は、 「私なんかが演奏したら、先生に恥をかかせてしまいます。」 と、辞退されていたMさんですが、Mさんご自身にとっても、演奏を聴く方たちにとっても、有意義な機会になる…という事を繰り返しお話ししていくうちに、今一番気に入っていらっしゃる『想い出のサンフランシスコ』での参加を決めてくださいました。
演奏の際には、非常に緊張されていらしたMさんですが、演奏を聴くことを非常に楽しんでくださって、子どもたちへのメッセージカードも、沢山書いてくださいました。 連弾に感激されていたようなので、来年は、ソロのほかに、連弾もしていただこうかしら…と考えています。
帰りに、荷物を運んで送ってくださった、高校生のMちゃんのお母様も、Mさんの演奏には特別なものを感じられたようで、 「自分が70才になった頃に、改めてピアノに向かう気力があるかしら…と思ってしまいました」 とおっしゃっていました。 確かにそうです。 ピアノは弾き続けていたい…と思いますが、しかし、それ以外のことを改めて…となると、私もどうかわかりません。 でも、何才になっても、新しいことに取り組まれる方…というのは、輝いていらっしゃいますね。 ピアノをお教えしている訳ですが、もっと大きな事を、人生の先輩から教えていただいている気がします。
2002年04月10日(水) |
春の勉強会こぼれ話(1) |
(2)…と続くかどうかは分かりませんが…。 (;^_^A
春の勉強会で私と一緒に連弾で『君をのせて』を弾いたR.K.ちゃんは、練習の習慣がなかなか身につかないお子さんです。 (レッスンノートの使用例の、あのR.K.ちゃんです)
今回の勉強会でも、なかなか練習してこなくて、連弾を合わせて弾けるようになりませんでした。 彼女は、今度4年生になるのですが、『努力』という言葉もその意味も知らなかったのです。 努力するってどういうことか…などという話をしながら、キッチンタイマーを使って、一人で練習する練習をさせたり…と、あの手この手でレッスンした2ヶ月でした。
そして、本番までの最後の1週間、Rちゃんは、毎日練習をしてきました。 後でお母様に伺った所によると、お母様が何も言わないのに、一人でピアノの前に座り、ああでもないこうでもない…と練習していたそうです。
本番での演奏は、そんな経緯があるとは思えないほどよく弾けていました。 そして、聴きに来てくださったこの春入門した生徒さんの保護者から、 「涙がでそうになりました。連弾で味わう美しいメロディに感激しました。」 というメッセージをいただきました。 このメッセージは、まだRちゃんには見せていませんが、きっと、大きな励みになると思います。
昨年に引き続いて、今年も、教室の生徒募集の広告を、地域紙に出しています。 6ヶ月連続で名刺の半分のサイズのモノを月に一回出していただき、1回6000円、6ヶ月で36000円です。
昨年は、広告を見ての問い合わせ…というのは、それほど多くありませんでした。 世の中、そうそう甘くはありません。 ところが今年は、1回掲載されると、何件かの問い合わせがあります。 そうして、問い合わせくださった方が、 「昨年も広告を見て覚えていたので…」 とおっしゃるのでした。 どうやら、こういう事もピアノと同じ、『継続は力』のようです。
よく、ネット上で、 「生徒募集はどうしたら…?」 という質問に、 「ちゃんとやっていれば、口コミで集まるものです」 という答えている場合がありますが、それは、何とも言えない気がします。
私が駆け出しの頃は、確かに、生徒さんが生徒さんを連れてきて…という具合でしたから、特別な生徒募集はしていませんでした。 場所を説明しやすいように、小さな看板は出していましたが、それも、古くなって取り外してしまってからも、入門の問い合わせは、同じように来ていました。 所が、少子化の影響か、近郊の幼稚園が、30分以上もかけて幼稚園バスを走らせるようになり、同じ地域の幼児たちが通っている幼稚園保育園が、5つも6つも…というようになってきて、地域での、お子さんの繋がりがなくなってくると、仲良しのお子さんを連れて来る…というよりも、レッスン室で知り合ったお子さんと仲良くなる…という傾向が出てきました。 お母様方が、それぞれの生活のペースを持っている…という傾向も、所謂、以前のような口コミというのが少なくなった理由の一つかな…という感じがしないこともありません。 (この辺り、実際に子育てされていらっしゃる方の実感が、どのような感じなのでしょうか…)
…という訳で、昨年から、割りきって広告を出すことにしてみました。
でも、広告というのは、単なる入り口に過ぎません。 入門していただいて、どんなレッスンが出来るか…が、本当の勝負だと思います。
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