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2013年06月23日(日) 『子どもはことばをから​だで覚える メロディから意味の世​界へ』 正高信男著

著者は、人間科学の研究者。
引用されている実験は多岐にわたります。

2001年の出版当時、読んでとても勉強になった記憶があったので、ラ・パレットピアノ導入指導研究会をスタートさせるに当たって、もう一度きちんと読んでみようと思い、引っ張り出しました。

この本で結論として語られているのは、人は音楽的感覚を本能として持っていて、その感覚を使って言語を獲得するということ。
著者は、人が音楽に魅せられるのは、「ことばを習得したゆえに失った」ものがあるからではないかと推測しています。

それが本当かどうかはわかりませんが、きっと音楽とつながっていることで幸せに感じるのも、このような事実があるからなのでしょうね。

幼児期の音楽教育にとって、人間は音楽的感覚は元々持っているというのはとても興味深く思いました。
元々、幼児が音楽的感覚を潜在的に持っているのであれば、幼児期の音楽教育は、「教え込む」のではなく「引き出す」ものということになるからです。

「才能がある」とか「才能がない」というのも、本能として音楽的感覚が残っている幼児に限っては、余り大きな意味がないとも言えるかも知れません。
本能を前提として考えると、レッスンの可能性はもっと広がるでしょう。

そう思ってこの本を読むとワクワクします。

いわゆる『音楽教育本』ではありませんが、それだけに、多くの人にとっての音楽の意味を考えられるのも面白く思いました。





2013年06月16日(日) 第2回 ラ・パレット導入指導研究会

第2回の研究会には、中本先生と私、それに3名の方がご参加くださいました。
お話するのに丁度良い人数だったせいか、話はとても盛り上がりました。

最初に、皆さんが普段どのようにリズムについてご指導されているか伺い、それぞれにお持ちいただいた教材などを見せていただきました。
こういう研究会にいらっしゃる皆さんですから、それぞれに研究熱心で、使われている教材の長所や短所、実際にレッスンに使う際の問題点などを詳しく伺うことができました。

それでわかったのが、ピアノのレッスンでリズムなどの基礎的な事に丁寧に取り組むには、保護者の理解がとても大切だということ。
そういう点で現状は十分とは言えないようです。

次に、中本先生から、レッスンでご家族、主にお母様にお願いしたいこととして、いくつかの点をお話いただき、続いてリズムのお話です。

ここで興味深かったのが、呼吸と音楽の関係。
そして、子どもの呼吸の仕方についてです。

現代の子どもは口呼吸になる傾向があり、それが音楽を不自然にする…というのは、今まで余り考えたことがなかったので興味深かったです。
弾く前に歌うことで、この不自然さが解消される…というのも面白く思いました。

また、今回のリズムの話の中心は「拍」の重要性で、拍の感覚というのは、音楽を前に進めるエネルギーそのものであり、リズムだけでは音楽が前に進まないという事。
そして、拍の感覚や歌う感覚などを高めることで、自ずから音楽が出てくる。
それこそが芸術表現の音楽の原点であるという事について再認識しました。

次回は、9月8日日曜日。
テーマは『ソルフェージュ』です。
皆様のご参加をお待ちしています。



2013年06月11日(火) 『いまぼくがかんがえていること 〜音楽は何を表現するのか〜』

これは、6月9日の公開レッスンで、北川正先生がお話くださったのをまとめたものです。
お話を伺った時、私はとても感動して公開レッスンの場だということを忘れそうになりました。
公開レッスンのような演奏の実際的な面が中心になりがちな場で、このような哲学的ともいえるお話を伺うことができるのは、北川先生の音楽家としての大きさと先生が経験してこられた音楽の世界の精神的な高さによるものだと思いました。

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【なぜ人はコンサートに行って音楽を聴くのか?】

音楽は文字や数字のように具体的な何かを伝えることはできない。
その代り、人間の精神状態を人に伝える事ができる。

音はそのまま伝わり、作曲家や演奏家の精神的な高さを受け取ると、人は満足する。
そして音楽が伝わる精神状態というものがある。

コンサートでは、聴衆は皆、違う事を考えてコンサートに来る。
また、何に感動するかは一人一人違う。
にもかかわらず、演奏がはじまると、呼吸からなにから同じ気持ちになる。

ヨーロッパの音楽は演奏時間が長い。
それが聴いている人を、音楽が伝わる精神状態に導き、音楽は言葉にできない感動を与えてくれる。

(例として北川先生は、シャルル・ミンシュ追悼コンサートでカラヤンが指揮した、
パリ管弦楽団の『ドイツレクイエム』を挙げられました)

長い音楽を聴いている人は、だんだん気持ちが同じになる。
それが音楽を理解したということ。

【音楽を何のためにやっているのか?音楽って役に立つのか?】

こんな悩み(?)や考えが多く耳に入るこの頃だが、そう思うのは日本が平和で幸せだからではないか。
紛争地域の大変な状況でも、人々は音楽をやっている。
そうして音楽をやっている人々は、「音楽をやっていて良かった」という。

音楽を通じて表される『心』、それは人間の一番高い精神状態ではないか?

【子どもに教える時】

ピアノを子どもに教える時、先生が生徒に言葉で音楽を説明しても、子どもは先生の言うことがわからない。
言葉で説明してもそれだけでは先生が考える音楽は伝わらない。
音楽において言葉は無力で、自分の感じたことをそのまま伝えるのがとてもむずかしい。

レッスンで一緒に弾いてみると、子どもは同じ気持ちになることができる。
音楽というのは人間の精神のあり方を表していて、一緒に弾くことで先生の精神のあり方が生徒に伝わるから。

子どもというのは愛情を持って育てると必ず伝わる。
先生の言うことは何でも信じてしまう。
そして、先生がその子どもの事をダメだというと、それも信じてしまう。

でも、ダメな子は一人もいない。
ダメに見えるのはは、状態(環境)が理想的じゃない。
程度が違っても伸びていく力を皆持っている。

【音楽家を育てるお母様へ】

今の世の中がどんなにヨーロッパの宝物から遠いか。
ヨーロッパには各所に教会があり、そこに10分くらいいると落ち着いた気持ちになれる。
日本にはそういう場所がない。

一日同じ気持ちでいることができない場合も多い。
お母様ができるだけ時間を取ってあげて、落ち着いて物を考えられるようにしてほしい。

せっかくやったのだからずっと勉強を続けさせてあげてほしい。
音楽に対する熱意をもっていれば、才能はあとからついてくるものだから。

音楽は上手いか下手かの判定ではない。
大切なのは、人間に対する心。

ベートーヴェンは「人を大切にする」音楽を書いた。
「人を大切にする」とは知り合いに親切にするような事ではなく、人類全てに対してのもの。

お母様もそういう気持ちで子どもを育ててほしい。

【どういう音楽を目指すのか】

多くの人が聴いていたい音楽を目指すこと。
それが、心が通じるということ。
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先生の言葉をつなげるとこんな感じです。
私はお話を伺ってとても感動したのですが、読んでくださる方が同じような気持ちになるように書くのは難しいですね。
次の機会にはもっと大勢の方がお話を聴けると良いな…と思います。


2013年06月09日(日) 6月9日のlesson de ラ・パレット

すっかり夏のようなこの日でしたが、気候の変化が激しい1週間だったためか、弾いてくれる予定だった一名の生徒さんが体調を崩し4名でのレッスンとなってしまいました。
一名のレッスン時間を埋めるため、北川先生がまとまったお話をしてくださることになりました。

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11:30〜
 J.S.バッハ:平均律第1巻 6番
 ショパン:エチュード Op.25-2
 ベートーヴェン:ピアノソナタ Op.2-1
 

12:30〜
 J.S.バッハ:平均律第1巻 5番D-dur、11番F-dur
 ショパン :エチュードOp.10-4
 リスト:3つの演奏会用練習曲より「軽やかさ」
 
 休憩 13:30〜14:10

14:10〜
 J.S.バッハ:平均律第2巻より 24番 h moll BWV893
 J.S.バッハ:平均律第1巻より 9番 E Dur BWV854
 ショパン:練習曲 Op.25-2 f moll、Op.25-3 F Dur
 

15:10〜
 J.S.バッハ:平均律1巻より、3番
 ショパン:エチュードOp. 25-4
 リスト:パガニーニによる大練習曲 4番、5番
 ショパン:即興曲3番 Op.51


16:40〜 北川正先生のお話
 『いまほくがかんがえていること 〜音楽は何を表現するのか〜』   
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この日、北川先生がレッスンでおっしゃったことは盛りだくさんで、
ここに何から書いたらよいのかわからなくなるほどです。

まず、演奏におけるミスについて。
「間違えないように用心するのは勉強の段階で、演奏でそれを見せてはいけない」
「何か良いことをしようとしたら、出来るかどうかわからなくてもやらなくてはならないのだから」
「そして、間違えないのなら、弾かない人が一番間違えない。
でもそれは意味がない」
「演奏して熱い気持ちになって間違えるのは、冷たい気持ちでミスをしないよりも良い」
「間違えそうな所を一生懸命弾くと重くなってしまう」

より良い演奏をするための気持ちの持ち方について。
「良い音楽は聴いている人を終わりまで運んでいく」
「バッハやベートーヴェンの音楽は、時間が川の水のようにどんどん流れていく」
「カラヤン曰く『大きく振ったほうが音楽は良くなる』」
「長いフレーズをはじめから終わりまで同じ気持ちを持ち続ける練習を」
「人の心に何かを伝えるには、自分が何を感じているかが大切」
「どんな曲かというイメージがあるともっと上手くなる」

他にも、練習のやり方、速く弾くにはどうしたらよいか等々、沢山の貴重なお話を伺うことができました。

そしてこの日、『いまほくがかんがえていること 〜音楽は何を表現するのか〜』というテーマで
北川先生がお話くださった内容は、とても感動的なものでした。
プログラムでは最後の時間に…ということになっていますが、休憩前にもお話くださったので、
早く帰られた方にも聴くことができてラッキーでしたね。
多くの方にとって有益なお話だと思いますので、項を改めて書くことにします。

次回の公開レッスンは8月4日。
夏休みならではの企画ができないか、現在、先生と相談中です。
お申込みをお待ちしています。



2013年04月21日(日) 第1回 ラ・パレット導入指導研究会

初回の研究会には、ご協力くださる中本先生、私、そして4名の方がご参加くださいました。
これは、お話するにはちょうど良い人数です。

皆さんの自己紹介の後、最初に中本先生がご紹介くださったのは、『わたしのワンピース』という絵本。
白かったワンピースが場面が変わるたびにその場面と同じ柄になる…というストーリーです。
このストーリーは、環境がストレートに影響する幼児期を表しているようで、
だからこそ、導入期の指導はとても重要なのだと再認識しました。

この時期、美しい音楽を聴けばそれが、不用意な音楽を聴けばそれが耳に残り、
良い指導を受ければそれが、不用意な指導を受ければそれがその後の成長に影響していきます。

研究会では、ご参加くださった先生がたの現状でのレッスンや、改善したい点などもお話し、『
練習のポイントがわかるレッスンノート』の使い方や、『ピアノはうたう1』(加勢園子著)やクルタークの『遊び』などのテキスト、
iPadの読譜トレーニングアプリなどもご紹介しました。

耳を育てる…というテーマはとても大きくて、1回で話し切るという訳にはいきませんでしたが、個別のテーマを挙げていく2回目以降も、全ては耳を育てることに通じていくと思います。

次回は6月16日日曜日。
テーマは、『導入期のリズム指導』です。
大勢の(といっても我がレッスン室の広さに限りがありますが)ご参加おまちしています。


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