綴緝
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2003年06月11日(水) |
自己愛(ナルシズム) |
栗色の髪を指に巻き付ける。 焦点が合わせられないほど顔を近づけても表情一つ変えない。――自分が何をしても。 いらいらする。 「おまえを見てると傷付けてぶっ壊したくなってくる」 いっそ再起不能なまでに。何一つ思い通りにならないならばせめて。 女は自身の性格に似つかわしくない微笑を浮かべた。 「無理よ」 小さな手が頬に伸ばされる。そのあたたかさに、びくりと体を竦める。 「あんたには無理よ」 不可解な笑みだと思った。嘲笑ではない。会話が楽しいから笑っている訳でもない。理由のわからない笑顔。 微笑みの理由付けなど無意味か。 「あたしが何に対して一番ダメージを受けるのか、あんたは知らない。あんたはあたしじゃないから」 ああ、それなら。 この女を手に入れるのもまた不可能なのだ。彼女の望みを知らない。考えを、存在を理解できないのだから。
――終。
稿了 平成十五年六月十日火曜日 改稿 平成十五年六月十一日水曜日
タイトルの意味は……まあ、ご想像にお任せします。でもってカップリングはどうにでも取れるように。ルークリナでもいいですしゼルリナでもいいですし。ちなみにわたしはヴァルリナかなと。いつの話だってのはさて置き(置くなよ)。つか有り得ないシチュエーション。それで言うのだったらカップリング自体成立しませんけども。まあ二次創作なんて妄想から生まれているのですから(少なくとも私のは)。
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