今日の授業はヘレニズム。アレクサンドロス大王のあたり。 今日のレクチャラーは、大英博のヘレニズム彫刻部門の人。 アレクサンドロスの彫刻はそれが一つの定型なのであって、 肖像性はないと講義中に言っていた。 ので、「宮廷彫刻家のリュシッポスの作品の特徴といわれている ものも、写実性ではないのか?クラシック彫刻と比較した場合の ヘレニズム彫刻の個人表現は彼の作品には見られないのか?」 と質問したところ、 「実際、リュシッポスの作品とは言っても現存しているのは ローマン・コピーばかりで彼の作風は見定めがたい。 アレクサンドロスの風貌は、イコンとして繰り返し描かれた イメージに過ぎないと思う。実際、博物館は『アレクサンドロスの肖像』 ではなく、『アレクサンドロス・タイプの彫刻』と表記すべきだろう。」 と言われた。 大学時代、リュシッポスの作品の写実性を肯定する論文を書いた私の 立場は何処に。そこが主眼ではなかったけど。 じゃー、大英博だけでも『アレクサンドロス・タイプの彫刻』 と書いといてください。 というか、それ以前にヘレニズム・ルームをオープンしてくれ。 現在、大英博はヘレニズムの部屋を週に何度か、数時間しか 空けておらず、しかもその時間帯はその日の朝に電話しないとわからないと きたもんだ。インフォメーション・デスクの人はスタッフ不足とか何とか 言っていたけど。 そしてこの話をお昼休みにクラスメートのソニアにしたら、 大爆笑の挙句に 「まあ、研究をしていたらそういうことは良くあるわよ。」 と言われた。 確かによくあることだけど、そこまで豪快に笑ってから 慰められてもな・・・。結構真面目にショックだったので、 本を借りてきた。週末に読む。
午後の授業は、再び大英博で。 前日に読んでいた古文献の(パウサニアスとかプリニウスとか) 彫刻に関する表記と実物(ポリュクレイトスの作品や パルテノンフリーズ)を比較してみる。 こういうの、日本じゃ絶対に出来ないよなあ。
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