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■ 大ストリングス錠
=大ストリングス錠=
スピード狂が僕の耳をかすめた。轟音は内耳を揺らせ、揺らせ。不動毛は平衡感覚を、知った。けれども、それをかなぐり捨てる。俗世間に、嫌気が差したからだ。そうして、彼は浮遊の感覚に浸る。酩酊感覚と、不妊治療は共存せずに、耳毛を剃りました。頬にも産毛が、ほら、曲線に沿いながら、だらだらと。君。あごのライン、綺麗だね。カメレオンの肌。カメレオンの舌先。十二年前の、今日、カルメンを踊りました。赤い衣装が、照明に映えました。夕日が今まさに、ブラックホールに飲み込まれようと、喪失。君が、貞操を失ったのはきっと十一年前のあの夜でしょう。清い血潮が、ベッドのシーツを汚したね。でも、あれは、汚いもんなんかじゃないんだ!紺色の夜空に、不自然に大きく、丸く、黄色帯びた月が。きっと、そこは古い洋館の二階。ベランダに、僕は蔓をつたって登る。愛が結晶になるとき。その瞬間、蔦が剥がれ落ちる。私の、僕の体は、一息の後、宙に放り出される。私/僕はそのとき、人間の根悪や輪廻の鎖、諸行無常の叫びから、ぽかりと放たれた気がします。重力の圧から逃れた脳が、そう勘違いしたのでしょう。創、と書いて、キズ、と読みます。刹那。いや、私/僕/貴女の心臓が一つ打つだけの間。君は僕を見つめたね。僕は君の目を見ました。目の奥の、脳漿がうずうずしているところまでを覗き込んで、君の感情を酌みました。ああ、なんて、なんて、素敵な瞳。−−食べちゃいたいわ!
2007年04月27日(金)
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