睦月の戯言御伽草子〜雪の一片〜 Copyright (C) 2002-2015 Milk Mutuki. All rights reserved
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「私は・・・・・名前…ですか・・」 末っ子はしばらく考えていた。 「私は除蓋障地蔵ともうします。」 「…長いし難しい名前だね。なんて呼べばいい?」 「雪さんにお任せしますが」 「そっか、じゃさ、ショウでどう?どんな字を書くのかわかんないけど、僕も雪で一文字だから、たけかんむりにいきるで笙って字はどう?」 末っ子はけっこうな時間悩んでいたと思う。何せ僕はお膳の上にあるものをあらかた食べ尽くしたころに「いいですね、”笙”ですか」そういってうれしそうに笑った。 「笙って笛の名前でさ、君の伸びやかさにはあうと思うよ」 そういってどこでこんなこと覚えたのだろうとまたおぼろげな意識に取り込まれることになってしまった。急に自分の周りの景色が回りだし渦の中に落ちていくような感覚になった。 「雪さん!雪さん!!」末っ子いや、笙の声が遠くなっていった。
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