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2003年01月12日(日) ■ |
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嗚呼、若草の山 |
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大学生になって今までと決定的に変化したのは感性だ。 それまでは体育会系であったためか、 芸術的なことなどに興味は薄かった。 自然遺産、文化遺産に甚く感激を覚えるようになったのは、 風情溢れる「京都」という土地柄のせいであろうか。 自由な時間におのれの湧き起こる好奇心を押さえられず、 京都を始め、全国津々浦々を歩きまわり、 日本という国の奥やかしき文化に触れるたび、 心はときめき踊っていた。
奈良の都を見下ろす若草山。 この山は三笠山の通称としていにしえの歌に幾度も姿を現し あまのはら ふりさけみれば かすがなる みかさのやまに いでしつきかも と読んだ安部仲麻呂の歌は有名過ぎるほどである。 他にも藤原定家など多くの歌人が題材にしている。 さしのぼる 三笠の山の 峰からに 又たぐひなく さやかなる月(定家)
若草山焼きに、 4年目にしてついに出会うことができた。 3年間は行きたく思いながらも実現せずに、一日千秋。 7年ぶりの奈良公園。 興福寺や東大寺に興奮。やっぱり迫力はすごい。 名物のシカも目がつぶらでかわいかった。 お目当ては奈良公園の池の横から眺めることにした。 花火が上がったあと、 ゆらゆらとゆっくり山が炎に染まってゆく姿を見せられると、 オレの身体中に伝わるのは、 表現しがたいほど静かな感動の連なりであった。 やまとの国の先人の知恵は意味を成さなくなった現代でも 未だこうも伝えられ続いているのだなぁ。
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