短いのはお好き?
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風が凪いでいる晩、ぼくは、こっそりきみにキスをした。 キスしてから、たぶん、明日は嵐だよ。 そう、口に出していってみた。 すると、ほんとうに嵐がやってくる気がした。
きみの寝顔を見ながら、ぼくもうつらうつらしていると 不意にきみが目をぱっちり開けてこういった。 たぶん、明日は嵐ね。
ねえ。夢をみたの。 まっすぐに伸びた糸杉の林の向こうには なにがあると思う? そこには、朽ち果てた東屋があるの。 そこで、わたしたちはきっと別れることになる。 だから、ぜったいに糸杉の林の向こうにはいきたくないの。
目尻から一筋流れ落ちる涙の雫をぼくは指で掬いながら 糸杉なんて、ここらあたりじゃ見かけないよ。 それってどこにあるの? と聞くと そう。それならいいの。
そういった。
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