ぎらぎら光る青い眼を俺は好きになったのかもしれない。なんでももってるくせにあたりまえのものはなんにももっていない海馬のことを、俺は俺なりに哀れんだのかもしれない。 「俺が貴様を手放すとでも?」 怒ったらしい海馬は俺の胸ぐらをつかんで、歯軋りの音が聞こえそうな形相でそう言った、けど。その手は震えてて。 俺はなんて可哀想なんだろうと思った。この生き物は本当にかわいそうだ。 だから胸ぐらを掴む手をできるだけやさしく掴んで、体温を馴染ませるように皮膚をあわせて。 「お前こそ、わかってんの?」 そのあわれな生き物が自分の手を振り払わないことを願って、離させた手にキスをした。
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