ヤバい! 脳が溶け始めてる! 自分で望んだこととはいえ、十年間在宅で誰とも接さない仕事をしてきて、 終末には彼女と会うものの、それ以外ではほとんど誰とも話さず外出すらせず、 来る日も来る日もパソコンやテレビなどの無機物と向かい合う日々。 そんなあまりに変化や刺激のない毎日を送り続けてきた代償か、 まったく何も思い出せなくなってきたオレがいる。
例えばね、「耐震偽装で捕まったズラの人って誰だっけ?」みたいなさ、 そういう「懐かしのあの人は誰?」みたいなことがわからないのはしょうがないけど(答えは「姉歯」)、 テレビを見てて、ふと「あれ?この人の名前何だっけ?」と小一時間ほど悩んで、 その答えが長澤まさみだったり佐藤隆太だったりしたときの衝撃ったら。 そういう今どきの、知ってて当たり前の芸能人の名前が頭から抜ける恐怖。 さらには、「オレが好きなショートカットの子。あの、ほら、あの・・・」これまた思い出せない。 答えは榮倉奈々だけど、好きな子の名前すら忘れるって・・・もう末期ですよ。
名前だけじゃなく、言葉が出てこないときも多々あって。 オレも含めて、大人って熟語やカタカナ言葉を使いたがるじゃない? 例えば社長が朝礼でこんなことを言ったとする。 「もっとがんばろーって気持ちを出してガツガツしていけ」これじゃバカ社長だ。 やっぱここは「更なる意識の向上に努めて、アグレッシブな姿勢で取り組め」が正解でしょ。 そんな具合の、言葉の変換が上手く出来ないっていうのかなあ。 「そんなときこそプロの技が必要に・・・違うな。プロの・・・上級者の・・・匠の・・・」 この場合、「熟練」という言葉が出ずに苦しんでるオレがいる。 「気持ちの違いっていうのかな・・・違うな。気持ち・・・生き方・・・ライフスタイル・・・」 この場合、「価値観」という言葉が頭からすっぽり抜け落ちてるオレがいる。 普段使わない専門用語ならまだしも、日常的な言葉が頭の中から不意に消える恐怖。 それによって生じる、思いを100%伝達出来ない、といった不安や焦燥。 とにかくヤバいんです、オレの脳が!
本気で若年性アルツハイマーの心配もしたものの、さすがにそうではないようで、 ということはこの現象は「老い」という一言でまとめられちゃうんだけど、 しかし老いにしちゃちょっと進行が早すぎないかと。まだ40だぜと。 そういうわけで最近は、CMに出てくる芸能人の名前を次々と叫ぶ、というリハビリ中です。 新垣結衣! 松田翔太! 渡辺謙! 真矢みき! 小雪! ・・・何やってんだか。
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