耳鳴りおやじの日記
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...長男の療育をしてくれていた先生が雑記帳をアップしていた...良く考えている...流石である...
...昨日、N氏が”大学がここまでになるとは思わなかった”と話していたが、今になってやっと気づいたか!という感じだ...少し前は私立をぼろくそに言っていたが、今は弱気になっている...
...研究費が削られ、給料も減り、授業、公務負担も増える...ただ、これは今まで優遇されていたものがなくなるというだけだ...
...そもそも大借金の国だから、国公立大学に影響が出ないわけがない..補助金を公的にもらっている以上、やむを得ないわけだ...
...国の締め付けが厳しくなってくると、不思議と学閥、派閥が浮き出てくる気がする...就職率が下がり、選択肢がなくなると、結局人頼み、派閥頼みになる...日本には馴染まない任期制の弊害がこういうところに出てくる...
...”世渡り上手”という言葉をなんとなく思い出した...悪い意味で使われる場合が多いが、上手に世を渡って行くにはそれなりの知恵がいる...素晴らしい業績、人格であっても今の現状がどうであるか、これからどうするかという事を考えることができないとダメな時代である...
...業績以外の部分を判断し、的確に行動しないと就職は難しい気がする...まずは就職である....
...こんなに心配しているのは、知り合いのポスドクすべて、ここ数年で失業する可能性があるからだ...どうするほんと...子連れもいるし...
2006年04月13日(木) |
面白い論文を考えてみる |
...パーテイの余興を頼まれた...といっても、猿踊りをするわけでなく、昔の写真を見せてあーだこーだと話すのだろう...
...昔の写真を探すと、その頃の思い出が蘇る...とにかく、データが出なかった時期、実験が全く上手くいかなかった時期...9割が失敗で1割の望みにかける...そして裏切られる連続...
...生命科学の論文は汗と涙の結晶である...だから、出たときの喜びはとにかく嬉しい...世紀の大発見みたいな感じだ...
...研究の分野が4月から変わって論文を読むと、どうも発見という部分が少ないせいか、刺激に欠ける...そのかわり、論文はそこそこ出る...
...最近、独法化で公費の削減が著しいが、こういうことをやると、世紀の大発見みたいな研究が減ってしまう気がする...これはどうもつまらない...
...新しい分野で論文をみると、新しい材料で観察しました、終わり!みたいな物が多くて、どうもストレスが溜まる...
...結果が出て”だから、こうなんだ”という議論がないと、面白くない...というか、そういうのは仮説の段階で組まれていなくてはいけない...それがない...
...超有名大学の教授が”観察しました、終わり!”でも論文はかけて予算はもらえる...
...最近、難しいが面白い論文に出会った...仮説があり、データからモデルを作り、検証している...
...こういう”なーるほど”と感心する論文がこれから少なくなるんだろうなあ...
...査読者が”なーるほど”と感心する論文を書きたい物だが、どうも枯れてきてダメである...
...パーテーの余興でも考えよう...がっくり...
...フランスで新雇用制度に学生暴動...日本のニート連中は...
...日本の景気は上がってきたが、大学の景気は少子化の影響で沈む一方だ...
...昨日のニュースで大学のブランド品の話が話題になっていた...しかし、これ、京大とか、神戸大とか、早稲田大とかばかり...もともと大学自体にブランドイメージがある...
...さて、ブランドイメージがない弱小大学はどうするか...思い切り自虐的に”弱小大学ワイン”なんてどうかな...いくら飲んでも酔えませんというキャッチフレーズで....
...地域貢献だのブランドビールだの売り出さないとやっていけない国公立大学...京大が早稲田大と提携...とうとう大手私立に手を出したか...
...いつしか、大学経営に気を取られ、ポスドクは後回し...ポスドクとニートはフランスみたいに一度、暴動を起こしたらよろし...
...ホント、今の時代、冗談じゃない...
...三十路を超えて結婚する女性が5割以上いるらしい...これでは子供の数が増えないのは当たり前だ...結婚や家族の重要さが意識されないのは悲しい話である...
...春休み最後と言うことで、再び奈良の室生まで行って来た...去年も訪れたが、なんと素晴らしいところなのかと感動した...
...山に囲まれ、川が流れ、山桜が咲き、つくしが生えている...子供達と気合いを入れてつくしを取った...
...かなり過疎化して小学校も閉校しているが、その美しさはどこか日本の風景を感じる...何十年前は子供達もこのあたりで遊んでいたのだろう...
...特に遊ぶ道具もないが、家族で食べられそうなつくしを取る...それはなんと平穏で幸せな時間なのかと感じる...子供達もいずれ、そんな時間が欲しいと感じるのだろう...
...仕事があれば楽しいし、それは男性も女性も同じだ...しかし、仕事はいつでもできるが、子供との時間、家族の時間はやり直しのきかない時間である...
...ここは何度でも訪れたい場所である...おやじはここで癒される...夏も来よう...
2006年04月09日(日) |
なんとかならない時代 |
...ある医学部に勤めている先生を訪ねた...
...実験の事など聞いてかなり助かったのだが、なんとなく、元気がない...
...完全に1人で研究室にいて、さらにそこのボスにいじめられる...彼は独身だから家に帰ってからも1人である...
...これでは研究意欲がなくなる...どうしたらいいかわからない状態だ...
...研究の内容も聞いたのだが、どうも焦点がずれている上に、実験の方法も基本的に良くわかっていない...
...残念ながら、これでは論文が出たとしても信頼性がない...同じ分子の仕事をしている同業者として少し悲しくなる...
...分子をかじったおやじとして、どんなに嫌がられようと無視されようと、学会では意見し、批判し、質問する...そうしないと、発展しない...
...学位を持ちましたというのは就職の条件にならない時代...お金がたくさんある分子ばりばりのところなら、任期制でポストは少しあるだろう...
...しかし、基本的にお金がない私の分野は任期制による流動性もへったくれもない...当然、パーマネントもない...
...実際には学閥、派閥、学問の壁が立ちはだかり、他の分野に入り込むことも極めて難しい...そんな時代だ...
...なんとかなっていた時代は終わってしまった...こういう時代をどう生きるか、ポスドクの人たちは広い目で考える必要がある...
...はああああああああああああああああ...
...スキーに一緒に行った先生に誘われ、寒さの中で夜桜...
...そこに同じ学部でいじめられていると評判?の先生が参加...
...噂には聞いていたが、一緒に飲んでいる限り、やさしい良い先生だ...
...教員間でいろいろな問題はあるものの、花見をしてお互い酒を飲めば、簡単にうち解けてしまうんじゃないかなあ...と思ったりする...
...お世話になっている研究室の小ボス...そこの学生も数名参加...研究室の問題はさらに深くなっているようだ...
...とにかく、花見の季節...研究室単位ではなく、学部主催、大花見大会でもやれば、結構、みんな仲良くなるんじゃないかなあ...
...その時は教員も学生も仕事を辞めて昼から花見...学部長自ら、裸踊りをして盛り上がれば、それでいいかも...
...研究室を横断している私としては、聞かなくてもいいことまで聞こえてくるので、それはそれでなかなか辛い...
...花見は続く...
2006年04月06日(木) |
サイエンスという哲学 |
...研究室のホームページアクセスが倍増している...どうしたのだろう...
...10年以上やっていたテーマをがらっと変えると、実験試料も変わるし、読む論文も違う...なかなか楽しい...
...論文を読むと、想定していたメカニズムではないことが判明...論文による結果の相違もあるだろうと考えていたが、それもないことが判明....
...研究テーマと深く関わるため、どこに独自性を求めるか、慎重に見極める必要がある...
...しかし、やはり普遍的なメカニズムがどう動くかという視点だ...これにクローニングなどの技術が含まれると飛躍的に研究レベルが上がる...
...どんな分野でも同じだと思うが、やはり良い論文を読まないと良い論文は書けない気がする...
...良い論文とは何かと言うことをわからなければ、良い実験、論文を生み出すことができない...
...自分の研究分野に関するサイエンス哲学みたいなものがないと、良い論文はできない気がする...
...新しい分野のサイエンス哲学は前の分野よりも難しい...それをどうするか...葛藤は続く...そして枯れていく...
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