++ Wasabia ♧ japonica ++

平凡で退屈な日常の中にこそ、目を向けたい一瞬がある。
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◆ 2005年06月24日(金)
地雷 元恋人の忘れ物
ドラマを見ていて自分の過去の経験を思い出すことはないだろうか。

男と女の恋愛をテーマに30分で1話、あるいは2話という限りなく短い時間で
程よくまとまっていながら、その実内容もそれなりに見せてくれるショートドラマが
再放送されていて私の最近の楽しみの一つになっている。

この間の話では男の浮気の痕跡を徐々に見つける女の微妙な心理を
描いていて、結末がまた意外だったのが面白かった。


男の部屋のベッドの下に自分のではないイヤリングが落ちている。
それを見ながら、ふと思い出したのが当時付き合っていた男のこと。


それはまだ付き合い始めてまもなくの頃だった。
男の部屋で、私は小さなポーチを見つけたのだ。
悪気もなく中をあけてみるとその中には女性物のパンティーが2枚。
柄としては、大人の女を思わせるようなシックな色合いだったのを覚えている。

「なにこれ....。」とつまんで拾い上げる私の姿を見て男が目を白黒させている。
あまりの間の悪い出来事に男も動転してしまったのか言い訳すら口に出来ずに、
ただ黙ったまま少し間の悪い空気が流れ私はまもなく、ふっと笑ってしまったのだ。

拾い上げたショーツが、その男が以前付き合っていた女の忘れ物だということは
何も言われなくても察することは容易に出来たのだけど、
よりによってそれが下着という見つかってはいけないNo1にランキングされそうなくらい
非常に複雑な嫉妬心をかきたてさせる品物だったことや、
自分の部屋でありながら、たまにしか訪れない恋人に発見されてしまったことなどを考えると、
その男も本当に運が悪いと言うかなんというかであるが、
私が笑ったのは別にその男の運の悪さではなく、
もちろん自分が見つけてはいけないものを見つけてしまった間の悪さなどでもなく、
私自身が、その前に付き合っていた男の部屋に忘れていった
更にバツの悪い忘れ物を連想してしまい苦笑を誘ってしまったのだ。



たまたまとあるきっかけで景品としてもらった小さな女の子が喜びそうな
キャラクターがプリントされた小学生対象の玩具だったと書けば、
その忘れ物を良い年をした男にとってどれほど迷惑な忘れ物だったかはわかってもらえるだろう。


キャラクターがプリントされたピンク色の箱に入ったままの状態で、
その男の部屋の押入れの天袋にしまっていることをすっかりと忘れてしまい、
その後数ヶ月して男とケンカ別れしてしまったのだが、
随分後になってその玩具の存在を思い出した時、きっと男の方でも自分の押入れの天袋に
そんなものがしまわれていることすら知らないまましばらくは放置されていたのではないかと
想像すると、一体どんなタイミングでそれが発見されたのやらとあれこれ想像してしまった。

押入れの天袋という場所は、使う頻度の少ない物を収納する場所なだけに男の方も
見つけるタイミングというものがある程度、限定されてしまう。
部屋の片付けの際に一人で見つけたのだったら、驚きはするだろうがまだ救われるだろう。

だけど私の時のように次の恋人に発見されてしまったとしたら、一体どんな言い訳が通じるだろう。
一人暮らしの30半ばの男の部屋に、小学生が喜びそうなピンク色した女の子のおもちゃ。
前の彼女の忘れ物と言われ、まずなぜそんなものを忘れていったのだと疑問に思うだろうし、
だいたいが、小学生対象のキキララのおもちゃをいい年の女性が持っていたと言う設定自体に
疑問を持たれてしまうのではなかろうか。
であるならば、それは元々男の保持していた品物ではないかと疑われても仕方がないように思う。

ある意味、下着よりも見つかって欲しくない品物ではなかろうか。

口下手な男が誤解されないように必死に言い訳している姿を想像し
悪い事したなぁとは思いつつ笑いの方が先にこみ上げてしまうのは、
別れ方が酷いものだったことも多少ざまぁみろ的な
微妙な心理が重なっているのも仕方がないことかもしれない。


しかし何にしても恋人と別れてしまった後、
自分の部屋にどんな地雷が残されているかわかったものではないので、
気持ちの整理と共に部屋の大掃除はやっておくにこしたことはない。

前の恋人の存在を全く気にしない人間なんて世の中にはそうそう居ないのだから。

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