あたしという人物はあたししかいない。 だけど社会の中のあたしには代わりなんていくらでもいる。 あたしが消えたって、世界はただ進んでいく。 悲しんでくれるひとがいたって、結局はみんなそれぞれの人生をすごす。
あたしが消えて困るのは、世界のなかであたしだけ。
だからあたしはあたしのために生きればいいんだって、 そうするしかないんだって、 分ってるんだけど、
あたしがいなくなって困るというあたしは あたしがいなくなった時点でもういない。
もう20か、もう21か、もう22かって、 前を見ながら後ろをみながらただだらだらと何となく歩いて 社会の中に取り込まれてることに安心と、不信と、恐怖を感じている。
選んでいかなきゃいけない。 だけど選べないから選ばれてる。 自分に振り回されて 世界にそっぽ向かれて たまにお互い目が合っては切なくて苦しくて怖くて愛おしくて視線を逸らす。
自分の人生が自分のものと思えないから真剣になれない。 だけど自分の人生は自分のものと知ってるからもがこうとする。
それで溺れるんだ。 だから縋ってしまうんだ。
苦しいのが嫌だから、苦しさに耐えるほど悲しくないから、 ただそれだけの理由で浮かびあがろうとしてるだけ。
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