『欲望という名の裏通り』
ジョン&ジョイス・コリントン著
坂口玲子 訳
ニューオリンズの裏通りスラム街で生まれた人たちの抱えている闇を
描く。
凄腕警部が犯罪組織のボスや麻薬密売人を
追っていく中で繰り広げられる人間模様。
誰しもが人に言えない暗部があり、抱え生きているのを
日々の捜査とともに見事に日常に溶け込ませた描写。
淡々と時に激しく
静かに悲しく、時に感情的に心が破裂する
それでも生き抜く人たち。
そして「まるで何も起こらなかったみたい」と彼女は言う。
生活を守るため、我が子を守るため、ここから抜け出さねければならない
現実の闇。
悲しみを押し殺し、生き抜く辛さを隠し、複雑な血のつながり。
人種差別。
当初、ネットサーフィンでたまたま
ニールヤングの歌詞の1節が使われている小説であることをしり
読み始めた
ジョン&ジョイス・コリントン著
(坂口玲子 訳)の3部作
『ニューオリンズにさよなら』
『ささやかな謝肉祭』
そして
『欲望という名の裏通り』
本当は一番初めに読んだ
『ニューオリンズにさよなら』が3部作の最終章なんだが
面白かった。
淡々としてるが、各登場人物の心模様、個性、何気ない会話、
日本では感じられない土地柄の空気。
読んでいて、もう一つの現実をみた。
11月の雲ひとつない空。
朝の色。
すぐ終わりが来る。
陽が暮れるのが早くなる。
日向が遠くなっていく。
あったかい明るいおひさま。
行かないでくれ。