あお日記

2002年11月28日(木) 告白を辞す


 ハマちゃんに会う目的を彼女自身は勘違いしていたので、結果的に私は救われた。いや、大人として社会で生きていくうえではどちらかといえば喜ばしいことではなかっただろう。自分の気持ちに対する責任の回避を繰り返していくうちに、まったく実行力の伴わない行動力ほどむなしいものはない。

 当時のハマちゃんはまだ我々の仲間内で起ったいくつかの事件について知らされていなかった。彼女としてはすでに仲間として認知もされそういった多少の自負もあったのだろうが、ポロッと口を滑らせたのが誰かは知らないが、そのおかげでたまたまそんな時期に連絡して割を食ったのがミルであったのだろう。ただそれがもし私であったなら彼女は私を同じように追及しただろうか? というとそうでもない。結局私はそういった対応の違いに無意味な嫉妬心を感じていたのだろう。今思うとそういった感情をぶつけ合ってこそ手に入れられるのが私自身が欲しかったものだったのだが、そこまでに至らない引き際というかあきらめの早さは褒められたもんじゃない。ハナから私の中で美化された嶋さんといっちゃんの存在は確実に私の中で有効だった。他の人間に目が向かない理由をそこへ求めたくなかった私が、何度か思い余って半端に行動した事例の記念すべき最初がハマちゃんだったのかもしれない、とっても失礼な話だが...。


 会う前は、彼女の応対次第では告白も辞さないような? くらいの強硬な鼻息だったのだが、意思も目的も手段も軟弱な上に、意に染まず部室に周さんと住吉の姿があっていっこうにサシの状況が作れないことに気持ちが萎えたのだった。この時ばかりは私と目を合わせようとしないハマちゃんの申し訳無さそうな態度に反発を感じることもなく、彼女自身がその話をしたくないという意図を十分理解した。そして何事もなくその日は去った。


 後日、ハマちゃんから詫びの電話があった。ここで話をしたことが色々と彼女と打ち解けていくことに繋がっていくのだが、残念なことに、私の無気力の加速度に抵抗できる気持ちにはならなかった。知れば知るほど彼女を見失いそうで、それは私自身を映す鏡でもあった。



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