僕の事を可哀想だと言ってくれた人がいた。
つい、泣いてしまった。
降りかかる災難を振り払う術を知らないときに受けた事故のような 心の靄は年を経るごとに濃くなっていくような気がする。
語れば楽、だと思ったときもあったし そうすればすこしは薄まるとも思っていた。 けれど白い場所に落ちた染みは消えることは永遠にないんだと知った。
既に目盛りの針は振り切れていて簡単な遣り取りを推し量ることすら 僕にはずっとできなかったしこれからもできないんだろう。 その一瞬の不快を退けるための手立てしか知りようもない。
もういっそのこと、あの時死ねればよかったと むしろ殺して欲しかったと 怠惰で甘ったるい記憶を頼りに暫く生きていくことしかできない。
今までの「事故」のことをどんなに悔やんでも 振り切れてしまっていた僕の針は直ることなんてないんだ。
事故は事故を引き寄せるみたいでこれからも回避のしようなんてないと思う。
傷つけてしまったなら、この存在全てで謝るしかないけども それさえ拒否されたら僕は一体どうすればいいんだろうか。
災いと云うべき事柄も含め、僕は可哀想でいいかと思う。 そうとでも思い込まないとやってられない。
生きていること息をすること瞬きをすること それらは果てしなく重たい。
可哀想、そうラベリングして多少楽になるならそれでいいや。
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