2006年02月20日(月) |
トッキュー!!(真田×嶋本) |
渡された資料に目を通していると、首筋付近がもぞもぞとむず痒い。そう感じた瞬間、嶋本は背後に人の立つ気配に気がついた。
「た……隊長、何やっとんスか?」
振り向くと近距離に真田の顔があり、思わず心臓が止まりかけた。
「いや、なんか良い匂いがすると思ってな」
「はぁ?」
「お前の後を通りかかったら、何やら甘い匂いがしたんだ。記憶にはあるんだが、一体何処でどう言う状況で嗅いだ、何の匂いだったのか思い出せない」
眉間に皺がよる。何年一緒にいても真田の行動だけは予測ができない。きっとどんなレスキューより難解であろう。 先日も、嶋本の部屋に突然やってきて1時間寝たかと思うと、お茶も飲まずに帰っていった。
「で、なんの匂いなんだ、嶋本」
「知りませんよ!」
ふむと考え込む真田を無視し、嶋本はもう一度資料に目を通した。 いくら尊敬していても真田に付き合っていたら埒が明かない。無視するときは無視するに限る。 それが真田隊の副隊長をしているうちに学んだことだ。
「あっ!!」
まだ後に立っていたらしい真田の声に、嶋本はふぅと息をついて振り返った。途端、視界は閉ざされてしまった。 勢いよく真田に抱きしめられて、視界を遮られただけでなく、息もできなくなってしまう。
「ちょお……た 隊長、息できん……」
「嶋、わかったぞ」
「……」
嶋本の声など耳に入っていないかのように、満面の笑みを浮かべている。 それを見ると、沸きあがった怒りなど遠のいてしまった。
「シャンプーだ。これは、この間買ったシャンプーの匂いだな。ようやく分かったぞ」
「それは、よかったですね。ということは、隊長も同しシャンプー使こうてますよね」
呆れて口調が単調になってしまう。 確か先日の非番の時に、真田がシャンプーが無くなったと言いだして、嶋本を引っ張って近隣の大型量販店に言ったのだ。 そのとき、安売りしていたシャンプーを嶋本も一緒に買った。
「では、何故匂いが違うように感じるのだろう」
「知りませんって」
「そうか」
真田は頷くと、嶋本の脇を抱え込んで移動する。
「………」
驚くとか、怒るとか――そういう次元ではない。
「隊長、暇なんですね」
「暇と言えば、暇かな。もう直ぐ、交代の時間だしな」
そのまま、抱きかかえられるようにソファに腰を下ろす。
もう直ぐこの時間も終わる。もう直ぐ、この時間を手離さなければならなくなる。
「暇というより、淋しいんだろうな。きっと」
ぼそりと呟く声に、嶋本は真田の真意に気がついた。同時に胸が熱く、痛くなる。
「嶋、俺、あの話決めようかと思う」
「そうっスか……頑張らはってください」
「直ぐ帰ってくるから」
「気ぃ長うして、待ってます」
この温もりは、海の向こうに行ってしまう。 つまらぬ意地とかに捕らわれているのもバカらしい。
「シャンプー、俺の代わりに持ってってくださいね」
「できるなら、お前を連れていきたいな」
「アホちゃいますか……待ってますから」
「ああ…」
そっと口唇を重ねると、真田からも同じ甘い匂いがした。 手の温もりを感じながら、ただただ時が止まればと願わずにはいられない。
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
今、秘かに布教中です。 布教活動をしていたら、書きたくなる性なんです。 多分、自分が自分に洗脳されていっているのだと思います。 嶋さんが可愛くて、可愛くて。私もちまっこい身長をしているので、親近感です。 真田さんと嶋さんの身長差が素敵過ぎです。 嶋さんが、鬼なところも素敵です。
|