蛇腹食堂
書人*なび太

   

  




振り返れど見えず
2004年01月18日(日)
ふと思い立って、
散歩がてら卒業した中学校に行ってみた。
地元に住み続けていると、
こういうことを気軽にできるのが利点だ。
車で前を通過することはしばしばあるのだが、
通学路を歩くのは十数年振りになるのか。

しかし、久し振りに歩いたその道は、
3年間、通り続けた通学路のはずなのに、
何故か夢の中で行ったことのある町のような、
不確かな印象しか浮かんでこなかった。

あやふやな記憶の中でも、
そう派手に町並みが変ったという感じはしない。
しかし、ここを通って学校に行っていたという、
はっきりとした記憶もまた、浮かんではこなかった。
そんな中でも、
比較的記憶に残っていた3軒の店。
写真屋さん。
文房具屋さん。
小料理屋さん。
いずれも店は閉じていた。
1軒はクリーニング屋に鞍替えし、
残りの2軒は廃業したらしい。
記憶のインデックスが消えていく。

唯一、少しだけ心が明るくなったのは、
家の建て替え時に一年だけ仮住まいしていた、
古い家がまだそのままに残っていたことだ。
だが、それにしたって、
周りの風景というのは、
意外と記憶に残っていないものだった。

ふと立ち止まり、元来た道を振り返る。
やっぱりそこに、
僕が過ごした3年間を、
はっきりと思い描くことは出来なかった。

僕は中学校の3年間を、
そんなにぼんやりと過ごしていたのか。
10年の月日というのはこんな物なんだろうか。
今のこの生活を、
10年後の僕は思い出すことが出来るんだろうか。
少し不安になった。

今度はいつか、
4年間一人暮らしをしていた、
相模大野の町を訪ねてみようと思う。




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