蛇腹食堂
書人*なび太

   

  




混雑した美術館はどうも苦手で
2004年01月22日(木)
横浜そごう内そごう美術館で開催中の
田中一村展にて。

平日の昼過ぎだというのに、
場内には人が溢れていた。
そのほとんどが中高年齢層の女性である。
外はあんなに寒かったのに、
美術館の中はなんだか妙な熱気に包まれていた。

僕は絵を見にいくと、
一つ一つの絵をじっくりと見てしまう。
だから進みが遅い。
そんな具合でなかなか進もうとしない僕の横で、
あからさまにイライラし始めるオバちゃん壱号。
手にしたマフラーを露骨にパタパタさせている。
その向うでは早くも飽き始めたオバちゃん弐号が、
オバちゃん壱号に辺りも憚らずに大声で語りかける。
どうやら二人はお友達らしい。
ついに痺れを切らしたオバちゃん壱号。
オバちゃん弐号と語らいつつ、
遠目に絵を眺める僕の前へ、敢えて侵入。

目の前に広がるオバちゃんパーマ2つ。
そこへ実に折り良く、
オバちゃん弐号のケータイに着信。
「タリラーリラリラー♪」
場内に響き渡るオバちゃんケータイの着メロ。
周囲の視線など全て跳ね除け、
オバちゃん弐号、受信。
「ああぁ、さっき買い物が終わったところぉー、うん」
会話開始。
絵の前から動かなくなったオバちゃん壱号&弐号。



ババァ
俺はアンタの
ツムジを見にきたんじゃないんだよ。
絵を見にきてんだ。
絵を見る気がないなら、

帰れ。




絵や音楽を愛でることは、
誰にとっても平等であるのだと思う。
誰がどこで何を見ようが勝手かもしれない。
しかし、絵や音楽という作品は、
作者が様々な苦心惨憺の中から、
丹精込めて紡ぎ出した可愛い子供達なのだ。
だから、僕はそれらを見る時も、
作者に敬意を表し、
誠意を持って対峙したいと思う。

買い物帰りに見るのも結構だ。
しかし、最低限のマナーという物があると思う。
どこのお父さんお母さんだって、
自分の子供が出演する発表会がある時は、
自分なりのお洒落をしていくではないか。
全身ジャージ装備に一升瓶を抱え、
濁声で「ブラボー!」を連呼してしまう、
そんなアウトローな父親はそうそう居ないと思う。
そんな可愛い我が子の発表中に、
ペラペラ喋って見てない人がいたらどうだろう。
誰だって良い気はしないんじゃなかろうか。
あまつさえ、ケータイの着メロが鳴り響いたりしたら。

自分が嫌なことは他人にもしない。
それが最低限のマナーなんではないだろうか。




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設計*しゑ(繊細恋愛詩)
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