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■ 安らぎ・・・アー主(GL)
迷いの森の南の外れにアーネストが仮の居としている粗末な小屋がある。 2度の大戦を静め、世界中の人々から『グローランサー』として崇められる存在となった青年は 休暇の度にこの粗末な小屋を訪れる。
訪れたからといって特に何をするわけでもなくただアーネストと同じ空気、同じ時間を過ごすだけなのだ。 大抵は本を読むアーネストの傍らでとろとろと微睡んでいるだけ・・・。 騎士の称号を受け剣を取り戦う事に長けたルシファーが無防備な姿を晒すという事は それだけ彼がアーネストに心を許しているという証で・・・。 アーネストは知らず口元に笑みを浮べる。
「・・・・・アーネスト・・・・」
己を呼ぶ微かな声は傍らで微睡んでいた筈のルシファーのもので、 アーネストはルシファーの方へ瞳を向ける。 ルシファーはまだ半分眠りの中にいるようなぼんやりとした瞳でアーネストを見上げている。 だがその口元は微かに笑みを浮べており、その表情はとても安らいだもので。 アーネストはルシファーの手触りの良い艶やかな漆黒の髪を形の良い長い指で梳きながら応えを返す。
「・・・なんだ・・・?ルシファー・・・」
耳に心地良い低音の穏やかなアーネストの声にルシファーはうっとりと瞳を閉じて 髪を梳くアーネストの手に頭を摺り寄せる。 そしてゆるりと瞳を開きアーネストに微笑み、小さく首を振る。
「・・・いゃ・・・、何でもないんだけど・・・・ね?」
そう言葉を濁すルシファーにアーネストは無言で続きを促す。 ルシファーは小さく苦笑し、囁くように言葉を紡いだ。
「・・・ん・・・、こうやって・・・ね?アーネストの傍にいる時が・・・1番安らぐな・・・と思って・・・」
そう呟きながらルシファーはアーネストの膝に頭を凭れもう一度瞳を閉じた。 アーネストは少し驚いたように瞳を瞠りそれからゆっくりと微笑んだ。 そしてもう一度ルシファーの髪を梳きながら、「そうか」とだけ呟いた。
そうする内にもルシファーは再び微睡み始め、アーネストも先程まで読んでいた本に意識を戻した。
それは2人にとっては最早あまりにも馴染みすぎた休日のあり方・・・。
2002年06月16日(日)
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