デイドリーム ビリーバー
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「休み合わせて、どこか旅行行く?」と彼が言うので 「わーいやった!どこ行く?どこ行く?」と、うかれたら 「寒いしやっぱり温泉かな。箱根とか」
おい。それはつまり。
「それは、前の彼女と去年の今ごろ、楽しーく過ごしたところよね。 そこにまた行きたい、と。そーゆーことね」 と言ったら 「うわぁ!」 びっくりしたように、彼が叫んだ。 「ごめん!そういう意味じゃなかってん! 気にする?そら、気にするよなぁ。ほら、俺あんまり温泉知らんし。 てゆーか、よく覚えてるなぁ」
クリスマスに写真見せてもらったところだもん。 目に焼きついてるっつうの。
私がうつむいたままなので、彼は困りきってる。 「ほんまごめんな。温泉イヤやったら、他のところにしよ?」 「…」 「宙ちゃーん」
もー、困れ、困れ。いつまでも優しい私だと思うなよ。
「なぁ、宙ちゃーん。こっち見て…」
おかしー。本気で困ってやがんの。 すこし間をおいて、ちらっと目だけあげて 「ねちっこい女と呼んでくれ」ってニヤッて笑ったら、 彼は一瞬ポカンとして、それから大笑いしてた。
もうね。笑うことにしました。考えてもしかたないのかもって思って。
「ほんまにどこ行こうなぁ。行きたいところある?」 「いいよ。温泉で」 「いや。こうなったら、二人で新しい場所を…」 「なに?それは、彼女との思い出の場所には 私は連れて行けないと、そーゆーことですか」 「そーくるかな!」
これはさすがにしつこすぎたかも。 ちょっと反省。さじ加減はむずかしい。
「だってどうせ、今までだって、 どこ行っても、彼女と来たことある場所ばかりだったでしょ」 「うーん。あ、ミレナリオ、行ったことないで?」 「ルミナリエ(神戸)はあるくせに」 「…」
行ったことあるのか(今知った)。かまかけただけだったのに。 くそー。神戸って言ったら、泊りじゃないか。 しかも彼の生まれ育った町を、二人で。
「ディズニーシーも、どうせ行ったんでしょ」 「え?行ってないよ?」 「え!」
だって、オープンしてから私達が付き合うまで 2〜3ヶ月の期間があったから、絶対行ったと思っていた。 彼、テーマパーク好きみたいだし。
「なんや?気にしてたんか?じゃ今度二人で行こうな。初ディズニーシーな」
うれしすぎ。 「初めての場所」ってほとんど残ってないと思っていたし。
彼は、にやにや笑っている。 「ちなみにUSJも行ってないで〜?」 「ええー!」
USJなんて、期待全然してなくて 言い出すのもいやなぐらいだったのに。
「でも、宙ちゃんはUSJ行ったんちゃうん?仕事で」 確かに以前、ツアーでUSJに行く機会があったけど、 なにしろ私はその日、39度の熱があり。 さすがに限界がきて、お客さんを中に案内してすぐ 病院に点滴をうちにいっていました。 本当はだめなんだけど、万が一の時は ドライバーさんとガイドさんがフォローするっていってくれたし (優しい人達でよかった)。
まぁ、結局、体調管理できなかった私が悪かったってこと。 この事件以来、体調管理能力だけは上がったと思う。
あーあ。でも一度やってみたいなぁ。 風邪ひいて寝込んでいたら彼が、桃缶とかプリンもって、突然家に来るの。 で、下手ながらもおかゆとか作ってくれちゃったりして ふーふーとかもしてくれて
「えー恥ずかしいよー」 「ええやん、病人はおとなしく言うことききなさい」 とか何とか言われて、あーんとかされてさ。 キスされそうになって 「だめだよーうつるよー」 「うつってもいいよ」とかさ。
……。
…いいじゃん別に。妄想ぐらい。
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