Kozの日記
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去年のクリスマス前に先生とお母さんに、 傘をプレゼントした。
どうして傘かと言うと…。
僕と先生が会う時は、何故か雨の日が多かった。 先生と過ごした時間の25%は雨だったかもしれない。
4回に1回の確率。
春の緑の葉を濡らす雨。 月曜の朝、先生の家から一緒に出勤するときの少し暖かい雨。 秋の夜に、バス停での少し淋しい雨。 冬間近の冷たい雨。
傘は2本あっても1本はたたんだままで、 雨を避ける小さな空間に、寄り添っていた。
傘の柄を持つ先生の手を、少し大きな僕の手が包み込んだ。
雨がふたりの距離を随分と近付けてくれた。
そしていつの間にか、雨を優しく感じるようになった。
窓の外が雨で煙った日も、靴の中に入り込む雨を思うと 憂鬱になるけど、雨の冷たさを傘をさす手に感じると、 今でも先生の手の温もりを思いだす。
そしてお母さんから「返さなくていいからね」と借りた 3本の傘。そのうち1本は、おそらく亡きお父さんの傘。
幸せな時間は、雨に守られていたのかもしれない。
そんなこともあって、先生とお母さんの贈り物に選んだ。
16本骨の皇室御用達の傘。
すごくすごく喜んでくれた。 僕が先生の家にいったら親子で傘さして、 「見て、見て。傘を開く時は捌くっていうんだよ」って、 無邪気な姿がまだ鮮明に残っている。
今年の夏は雨が多かったからかどうかはわからないけど、
先日、先生のお母さんの名前で「傘」が送られてきた。 一週間前のこと。
8月9日と11日に配達があったみたいだったけど、 DMまみれのポストをそのままにしていて、 不在通知が分からなかった。
18日にポストを開けてビックリ!
お母さんからの贈り物だ…。
早速運送屋さんに連絡して、時間の都合で受け取ったのが、20日。
そしてこの日先生からのメール。
「お母さんが贈り物をしたんだけど、迷子になっているもよう。 引っ越ししました?」って。
受け取った傘は同じ16本骨のオーダーメイド。 そしてメッセージに
「先生の優しさに、心を込めて」と…。
※先生は僕の生徒なので先生とお母さんから見て僕は先生で、 先生は僕のピアノの先生だったので僕から見ても先生です。 ↑ややこしな〜!
嬉しいんだか何なんだかわからなくて、複雑な心境になった。
どちらかと言えば僕は振られたカタチになっているし、 可能性のある機会としても僕の誕生日は来月やし、 僕は先生とお母さんに対してもまだまだ未練たっぷりやのに。
きっとそんなに深い意味はないかもしれないんだろうけど、 何だか翻弄されてしまっている。
先生にメールの返事をしたけど、 思いが爆発したカタチになった。
きっとこれで距離が遠く離れたかも。 熱く未練をタラタラ語ったからなぁ〜。
先生も優しい雨の存在や4分の1の確率はしっているはずやし、 「傘」の贈り物が僕にとって未練をどれだけ増幅させるか 知っているはずなんやけど…。
どう受け止めたらいいんだろう。
「傘」の意味を…。
先生のロイヤルブルーの傘 お母さんのエンジの傘 僕の黒の傘
いつか優しい雨の中、穏やかな気持ちで、 3つの傘が優しくハーモニーを奏でることができれば… と思う僕に、やはり未練の雨は降り続く。
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