あたろーの日記
DiaryINDEXpastwill


2006年12月16日(土) ありふれた休日。

 旧暦10月26日。
 相変わらずワンパターンな休日。夕方早めに銭湯に行き、その足でスーパーへ。今週は宅配野菜の残りが結構あったので、注文してなかったのだけど、葱やニラといった、鍋用野菜は足りないので。ところがニラは1把90円。びっくりした。いや、普通のスーパーなら普段もその値段なのだけど、いつも安いはずの八百屋スーパーでその値段だったので驚く。2把で100円をイメージして出掛けていったので。ニラはやめて、代わりに長ネギ5本ほどで78円、こっちに飛びつく。と、春菊2袋100円を買う。野菜に限らず、いちど底値で買ってしまうと、それ以上の値段では買いたくない、という意地が生まれてしまう。野菜を作っている農家の人には申し訳ないなとは思いながらも、こちらも生活者であるからして。
 そう言いながら、100円以上する発泡酒の缶と200円近くするワンカップも買ってしまう私って、矛盾してる。
 夜は鍋つつきながらインターネットで落語楽しむ休日。
 まだ風邪が治らないので、今夜も早く寝ます。いや、今夜こそ早く寝なければ。


2006年12月15日(金) 『単独密偵』

 旧暦10月25日。
 書いているのは翌土曜の昼です。
 風邪が抜け出て行かなくて、今週はずっとだるい。夕方になると特に頭痛とだるさに悩まされつつ。。。
 昨日は残業切り上げて帰ろうと支度しながら、そばの席の上司と雑談しているうちに、テレビドラマの話になり、私がドラマを見ていないと知るや、上司が最近気に入って毎週欠かさず見ている(そのために月曜だけは残業せずに早く帰っている)月曜9時の「のだめカンタービレ」というドラマの登場人物と粗筋を、身振り手振りの演技と共に延々説明してくれた。なにやら面白そうなドラマなのですが、決まった曜日の決まった時間にテレビをつけるという習慣を今の生活に取り込むのは、結構難しい。 
 
 教育基本法改正案成立。無能な野党(今の民主党に存在意義なし)。ニッポンの暗い1日。
 教育基本法じゃなくて、脅育基本法。具体的には、愛国心というスローガンの元に、統率され、管理され、個性のない子供達を量産する仕組み。愛国心を通知表で評価するようなことはしない、と言われて安心していたら大変なことになる。そのうち、子供達を国家への忠誠心溢れる臣民に育て上げるべく様々なカリキュラムが組まれ、そこにうまく適応できない子供は否応なく仲間外れにされ、非国民のレッテルを貼られる時代が来る。
 ノロウィルスも怖いけど、ノロウィルスだの(そもそもなんで今年この時期にこんなに流行ってるのか?)談合事件だのと気を取られているうちに、教育基本法改悪案はあれよあれよと成立してしまった。重要な政策決定や政府に都合の悪い事柄が取りざたされる時は、同時に国民の目を逸らすような出来事が並行して起こり、マスコミの取り上げ方もバランスを欠くのが常套。 
 自分のことで言えば、私は自分の住んでいる国が好きだし、歴史を知ること、古い時代からの文化も好きだし、それから勿論、嫌いなことも沢山あるし、嫌いなことを沢山知っているということは、裏を返せばそれだけ自分の国(国、国、っていうのは実はあんまり好きでないから、土地?場所?地域?)を愛してるってことなんだと思っている。ここに生まれて生きていてよかったと思う。海外で日本文化の一部が浸透したり認められたりしているのを知ると嬉しいし、誇りに思う。納豆ご飯や味噌汁や日本酒の無い土地では絶対生きていけない。だけど、君が代や日の丸には何の感情も湧かない。実家では今でも祝日には門柱に日の丸を掲げるけど、私はこの先家を持っても日の丸は持たないだろうし、歌詞に共感できないから君が代を歌う気にはとうていなれない。天皇制も、存続してきたから今もあるわけで、まあそれはしゃあないかなとは思うけど、あっちもこっちも人間なのに、ヘンなの、という気がする。皇太子夫妻には人間的に親しみを感じるし好きなんだけど、次男夫妻の顔を見るとなぜだかゾッとする。それと、天皇が女系だろうと男系だろうと、どっちでもいいじゃん、と思う。天皇家だろうが一般人だろうが、人間はセックスで子孫を増やす。誰だってやってることは同じなんだし。・・・と、こんな風に思う私は、きっと、非国民扱いされるんだと思う。政府の考えている「愛国心」の範疇には、上述のような曖昧で中途半端(?)な人間は含まれない。含まれ無いどころか、日の丸君が代天皇家に反応しない点で、完全に非国民とされる。そこが恐ろしい。

 『単独密偵』(ロバート・ラドラム/山本光伸訳/新潮文庫)上下巻を読み終える。面白かった。昨夜は帰宅後、早く寝て風邪を早く治さねば、と思ったのに、布団の中で下巻を一気に読んでしまう。もうちょっと読んだら・・と思いつつ、本を閉じることが出来なかった。
 『暗殺者』から20年経った作品なので、同じくスパイものではあるけれど、登場する兵器はハイテク最新鋭のもので、ネット社会、管理社会が舞台なので、結構入り込みやすい。けれど、登場人物達の立場が一転二転三転四転する粗筋の複雑さ、登場人物の多さと相関図の見えにくさは、『暗殺者』どころではない。それでも話はスピーディでスケールが大きく(舞台が世界各国に飛ぶ)、主人公の人間的な魅力をしっかり描いてあり、読み手はどんどん引き込まれていく。
 物語を貫くテーマの大きなものは、テロや犯罪の脅威とそれに対する社会の防御壁としての、「管理・監視」といった問題。人民を恐ろしい暴力から護るために、人民の生活の全てを監視する社会、それもまた一種のテロ行為ではないか・・・情報化社会の中で管理され、気づいたらがんじがらめ、自由も奪われていた・・・そんな世の中になりつつある、という警告を、ラドラムは図らずも、9.11テロが起こる前にこの作品で発していた。読んでいて、何度も、この『単独密偵』が書かれたのはあのテロの後なんじゃないか、という気にさせられた。それだけこの作家には先のことを見る目があったと言える、と思う。
 陰謀、暴力、サスペンスをまき散らしたエンターテインメントでありながら、読後感にはなにか割り切れない深いものを残す。2作目にしてすでに大好きな作家になった。


2006年12月13日(水) まずは我が身。

 旧暦10月23日。 
 まだ風邪治らず。日記書いたらすぐに布団に潜ります。
 昨日は、会社の用事で1日お出かけ。部署で利用し始めた文書廃棄処理の会社を見学のため、埼玉へ。先方の営業さんと東京駅近くで朝待ち合わせして、用意して頂いたマイクロバスに、同じ部署のメンバー2人と共に乗り、他の会社から来た方々と一緒に案内してもらった。私はいつもデスクワークで、出張だとか客先訪問だとかいう外出の機会が滅多にないので、こういうのって、すごく嬉しくて、前日からもうわくわくしていた。課長からは「見学じゃなくって視察なんだからね、視察っていうより、査察のつもりで行きなさい。ちゃんと見てきなさい」と言われたのですが、どうも遠足気分(笑)

 行きは関越道で渋滞に遭う。上り車線でトラックと軽乗用車が衝突して2台とも炎上し、2名が亡くなった事故現場を通り過ぎる際に、下り車線の車がみなスピードを落とすため(事故現場を見るため)、下り車線が事故現場を過ぎるまで渋滞。上りは通行止めになっているので、事故関係車両しかいない。軽乗用車がトラックの前にのめり込むように横向きになっており、2台とも車内は燃えた痕で、窓ガラスも無く、特に軽のほうは骨組みだけのようにがらんとなっていた。こういうのを見ると、ほんとうに怖い。2人の方がどんな風に亡くなったのか考えると、気の毒になる。自動車は、なければないで生きていけるなら、それが一番だと、しみじみ思った。

 予定より少し遅れて、まずは顧客である企業から廃棄され、トラックで運び込まれた文書を、紙質によって分類、破砕し、再生紙の原料として製紙工場に出荷できる状態に作り替える工場へ案内してもらう。廃棄文書といえども、運搬から再生紙の原料に生まれ変わるまでは、1枚たりとも外部に流出してはならないものなので、どの行程においても、セキュリティは万全を期している。ヘルメットを被って、持ち物を預け、工場内を廻り、説明を受ける。と、こちらもいろいろ質問をする。
 お昼はレストランで海鮮炊き込みご飯や天ぷらなどのお膳。てっきり移動のバスの中で幕の内弁当かなー、と、それはそれで楽しみにしてたのですが、それ以上の御馳走でびっくり嬉しかった。
 午後はまた関越道で移動し、千葉県にある、同じ会社の、今度は文書を保管する倉庫へ。最近は文書を外部に委託して保存してもらう会社も増えたので、需要は結構あるらしい。こちらも当然、セキュリティは厳しく、建物も真新しい。完全に機械で制御された、最新式の文書倉庫。顧客がシステムの説明を受ける部屋はなんだかハリウッドの映画に出てくるような洒落た空間で、片側はガラス戸で仕切られた膨大な文書箱が縦横に連なる倉庫空間、片側は遊び心を活かして作られた斜度を持たせた天井の応接セット、真ん中に長細い会議テーブルで、説明員の方がリモコンをかざすと、ウイーン、と、天井からパネルが降りてきて、部屋が暗くなり、システムを説明するDVDが放映される。説明する方も、顧客を案内するのに慣れているようで、何もかもスムースで、さすがっ、と思いつづけていた。で、お客から預かった文書を如何に安全に運搬し、間違いなく保管し、要求があった際に間違いなく取り出して閲覧可能な状態にするか、等々、説明を聞き、こちらも質問。実は、午前中の工場でも、午後の倉庫でも、私の頭の中には、こういう場所を舞台にした、犯罪小説の粗筋がぼこぼこぼこぼこと湧き上がってきていて(爆)、えらくいっぱい、質問してしまった。「さすが、お客様の会社はセキュリティに厳しいお仕事だけあって、細かいところによくお気づきになります」と言われた・・・というか、内心呆れてらっしゃったかもしれないのですが(すいません)、実は、質問するこっちはもうわくわくしちゃって、面白くて、顧客会社のなりすまし社員が文書閲覧しようとしたら、とか、預かった文書箱に発火性のものが含まれていたら、とか、地震や停電の際は自家発電装置があるのかとか、そういった場合に外部からの侵入をどうしたら食い止めるのかとか、はたまた運搬途中のセキュリティとか、なんかいろいろ訊きまくってしまった。訊きながらも、私の頭の中では、犯罪組織のメンバー達が、輸送トラックをジャックしたり、深夜倉庫に忍び込んである企業をゆするだけの価値がある文書を盗み出したりといったストーリーの断片がぽこぽこ浮かんできて、面白くて仕方がない。ちょうど、朝から『単独密偵』(ロバート・ラドラム/新潮文庫)の上巻を読み始めたので、しかもそれもスパイ小説なので、ひじょうに単純な作りの脳味噌を持っている私は、完全にそっちの世界の住人になっているわけで。まったく、しょうもない。
 とにかく、面白かったです。
 帰りは、千葉のとある駅で解散し、同じ部署の人と3人、とぼとぼと電車を乗り継いで都内まで帰ってきて、私は自宅直帰。実は、風邪が治らないまま、バスで遠出し、工場や倉庫など寒いところを回っていたので、頭がガンガン。20時には布団に潜り込みました。
 が、布団の中で我慢しきれず、ラドラムの続きを読んでまたわくわくしていた単純者。
 
 しかし、あれだけよそ様の会社のセキュリティについて、しつこく質問攻めにした割には、会社の自分の机上は、無法地帯であるからして、今日、これはやばい、さすがに、まずい、と、ひどく反省した。机上のみならず、自分の関係している書類の整理、真剣にやらねば。白状すると、昨夜、職場で自分の文書保管について、遠回しに非難されてヒヤリとなって、慌てて書類整理する夢を見た。見学会の後にそういう夢だったから、顕在意識のみならず、潜在意識までも、私は追いつめられているのだと、今朝起きてはっきり認識した次第であります。
 風邪が治って体調が戻ったら、本気で文書整理します。
 


あたろー |HomePage