突発的に消えたくなるときは、ある。たぶん死にたいのとはすこし違う。いや、こういうのを世間一般的に「死にたい」というのか?さて。けれど自殺がしたいわけじゃあないんだ、別に。痛いのはきらいだ。痛くなかったらするのかといわれると多少わからないが。そもそも父親の職業を考えると、ひとを殺す、ことは少なくとも俺には無理だろ、とおもう。それにも関わらず俺がじぶんで死ぬとしたらだ、ありえなく思い詰めたか、逆になにも考えてなかったかの何方かだ。そしてかなりの確率で後者だ。きっとただ何も考えずに躰だけ動くんだ。だってちゃんとなにか考えてたら、それが幾ら思い詰めてたって俺がじぶんでじぶんを殺せるわけがない。ただなんというか、ふわっと消えたくなるときがあるよね。そういうときになにも考えてないとそのまま引き摺られていくのかもしれない。とはおもう。
破滅願望ではないんだよな。なんだかとてもやわらかいやさしいものに吸い寄せられてそのまま熔けてなくなりたい願望?スカイ・ブルーのなかのくうき、といったようなもの、になりたい。ずっと微睡んでいられたらいい。変身願望プラス睡眠欲か。はて。なんにせよあんまりとげとげしたかんじの願望じゃあなくて。寧ろすごく穏やかな。あたまを撫でていて貰いたいっていうのと大差無いような。気もする。
たくさんの鴉と青い夜明け
まっさらなしろが啼く
わたしには眩しさが過ぎる
凍ったような風見鶏
薄桃いろの夕方
熔けるようにねむって
醒めたはなにもないくろ
***
視得てしまう、というのはとてもくるしい。もっと愚鈍に生きていればなにもつらくもなかったのか。ただこの眼前のせかいから眼を離してはいけないような気はする、逃げたい、逃げられない。急に視界がクリアになったときのちょっとした絶望感、この視界はもう外せない。無意識ほど怖いものはない、だって「気付いていない」。今迄生きて来た中で気付けなかったということは未だ気付いていないものも沢山あるのだということ。思い知らされると同時に、知らなくても良かったと莫迦なことをおもう、わたしが足掻いたってなにがかわるだろう、絶望的なほど此の世界に染み付いている大きな意識が。
くるしくて吐き出したことばを否定される わたしがわるい のか? わけもわからずにへこむ のどから鳩尾の辺りまでおもたくつまってのしかかる塊 なけも逃げれも せずに かかえたままで ぜんぶ閉じ込めてしずかにわらう なんだ、莫迦莫迦しい やっぱりすこしないた