エスカレーターにて立ち止まり下っている。 前後には人が並び、右隣のエスカレーターは上がり方面。
ふと右隣のエスカレーターの2人に目をとめる。 2人は前後に並び話している。 1人が手に何かを持ち後ろの連れにそれを見せていた。
良く見るとそれは小さい護身用くらいの大きさの銃だった。 デリンジャーと同じくらいだがちょっと装飾が凝っている。 俺の目には映画ディア・ウェンディに出てくる銃、ウェンディに見えた。
モデル名の解らない銃で知りたいと思っていたので、慌てて話しかける。 「Excuse me! Is gun Wendy's!? 」 何故か英語だった。 普段全然話さないのに夢の中だからか咄嗟に発する事が出来た。 だが、エスカレーターはすれ違う方向だ。 答えを得る事無く2人は視界から外れていった。
俺はあまりにも慌てていたのだろう。 俺の後ろに並んでいた熟年の女性が何事かと尋ねてきた。 映画に出てきた銃のようだったので気になったと伝えたら、彼女は納得したようだった。
エスカレーターから降りて別れ際に、 「こんな時になんて言うべきだっけ?」 と逡巡し、 「Have a nice day!」と伝えた。 彼女はにっこり笑って遠ざかった。
形持たず 在って無く 触れずに撫でる
そこかしこで気付かれず たゆたゆとなびく
呼気に吐気に
僕は在る
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